目次
2大リスティング広告と呼ばれるGoogleとYahoo!
インターネット業界におけるリスティング広告の二大巨頭「GoogleとYahoo!」。Googleのリスティング広告は「Google AdWords(グーグル・アドワーズ)」という名称で、Googleの検索結果のページ上部や提携サイトに表示される仕組みになっています。一方で、Yahoo!のリスティング広告は「Yahoo!プロモーション広告」という名称で展開されており、Yahoo! 関連サイトの各所で表示される仕組みです。
この2つのリスティング広告は、その広告フォーマットや入稿プロセスが極めて似通っており、双方を使い分ける企業が多い点も一つの特徴になっています。
今さら聞けない!リスティング広告の超基本
まずは、そもそも「リスティング広告とは何か?」という基本について触れておきましょう。インターネット広告の中でも極めて大きな存在感を発揮しているリスティング広告。その最大の特徴は、各キーワードに対して高い関心を持ったユーザーを狙い撃ちできる、という点です。
例えば、ユーザーが検索エンジンで「ダイエット サプリ」と検索したとします。すると、その検索結果の中身や、訪問したサイト上で「ダイエット サプリ」というキーワードに関連した広告やリンクが表示される、といった具合です。
テレビや雑誌などで放映・掲載されるマス広告は、視聴者や読者に一律で同じ広告を表示しているため、関心を持たないユーザーに対しても、同様の広告を見せ続けてしまいます。しかし、リスティング広告であれば、検索エンジンに入力したキーワードをもとに「関心度の高いユーザーにだけ」広告を見せることができるのです。
では、Google AdWordsとYahoo! プロモーション広告は、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか?ポイントをいくつかに絞って、各広告の違いを具体的に見ていきましょう。
Google AdWords5つの特徴
広告の配信先にYouTubeが含まれている
Google AdWordsの代表的な配信先は、YouTubeやamebloなど。圧倒的なユーザー数を誇る「YouTube」に広告を配信できる点は、Google AdWordsの大きなメリットの一つです。
計測ツール(アナリティクス)との連携が容易
Google AdWordsは、国内でも多くのユーザー数を誇るGoogleアナリティクスとの連携が容易で、即座に分析が開始できます。やはりGoogleが運営するツールということもあり、その利便性は大きなメリットになっています。
広告表示オプションが多彩
Google AdWordsの検索連動型広告は、「電話番号」「住所表示」「レビュー」といった様々な情報を広告と同時に表示できます。広告の目的が問い合わせを増やすことにある場合などには、大きな影響力を発揮してくれるはずです。
入稿規定により「!」は制限されている
これは大きな差にはならないかもしれませんが、Yahoo!プロモーション広告が「!(感嘆符)」を使えることに対して、Google AdWordsは「!」を使用することができません。また、見出しの文字数は「半角25文字」となっており、Yahoo!プロモーション広告よりも5文字少なくなっています。
スマホユーザーの伸びが大きい
ニールセン株式会社が2015年に行った調査によると、Googleはスマートフォンからの利用者が国内No.1となっており、Yahoo!よりも多い傾向にあります。市場シェアから見ると、多くのユーザーへのリーチを狙うならばGoogle AdWordsに軍配が上がります。
Yahoo!プロモーション広告5つの特徴
広告の配信先はGYAO!やexcite、Bingなど
広告の配信先を見てみると、YouTubeに見劣りする点は否めません。しかし、国内のユーザーが多いサイトや中心となっているため、特定のターゲットを狙う場合には活用の幅を広げることができます。
計測ツールとの連携には手動設定が必要
Yahoo!プロモーション広告も、Google AdWordsと同様にGoogleアナリティクスとの連携が可能です。しかし、その設定は手動で行う必要があるため、初心者には少し難易度が高いかもしれません。
広告表示オプションは2種類のみ
Yahoo!プロモーション広告の場合、広告表示オプションは「クイックリンク」「電話番号」の2種類のみ。
Google AdWordsと比べると若干見劣りしますが、「電話番号かWebフォームから資料請求」を目的とする場合などには大きな差は出ないかもしれません。
入稿規定で鍵括弧(「」)が制限されている
Yahoo!プロモーション広告では、鍵括弧(「」)が使えないため、Google AdWordsと比べるとメリハリのある表現がしづらいかもしれません。その分、Google AdWordsと異なり「!(感嘆符)」が使えます。
男性よりも女性ユーザーが多い
クロスフィニティ株式会社が2015年に行った調査によると、Yahoo!は女性ユーザーの割合が多いことが明らかになっています。その比率から考えると、Yahoo!はGoogleよりも女性にリーチしやすいようです。そして、視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタル社の調査によると、パソコンからの利用者数はYahoo!がGoogleを上回っていることがわかっています。
GoogleとYahoo!をどのように使い分けるべきか?
比較の観点① 広告配信先の広さ
まず検索連動型広告の配信先ですが、Googleは個人サイトを含めた200万以上のWebサイトとアプリです。一方で、Yahoo!プロモーション広告の場合には、信頼度の高い法人だけに絞られます。
・「広く広告配信先を行いたい」 ⇒Yahoo!プロモーション広告が最適
・「法人サイト上だけに表示させたい」⇒Google AdWordsが最適
・参考:Yahoo!プロモーション広告 広告掲載サイトページ
比較の観点② 広告表示オプション(表示フォーマット)
表示されるオプション(表示要素)の数でいうと、Googleが圧倒的に多いと言えます。しかし、費用がかかるため、この点は広告出稿の目的や予算(CPAとの兼ね合い)と合わせて、検討する必要があるでしょう。
・「住所/メッセージ/レビュー」を表示させたい」⇒Google AdWordsが最適
※ただし別途費用が必要。
比較の観点③ 管理画面の操作性
管理画面の操作性でいうと、「何の広告を出稿管理するか(リスティング/検索広告以外も管理するか?)」「何名体制で管理するか(1名か、複数名で分担するか?)」によって観点が異なります。Google Adwordsでは一つの管理画面上でリスティング(検索)広告とディスプレイ広告を管理することになります。一方で、Yahoo!プロモーション広告では、検索広告ととディスプレイ広告で管理画面が分かれているため、複数名で分担して管理する場合には、意識することなくそれぞれ別画面で管理することができます。
・「一つの画面ですべての広告を一元管理したい」⇒Google AdWordsが最適
・「複数名で、種類別の広告を管理したい」⇒Yahoo!プロモーション広告が最適
比較の観点④ ユーザーの特性
クロスフィニティ社、ニールセンデジタル社の調査を総合すると、「女性」「PC利用」という観点ではYahoo!が優れており、「男性」「スマートフォン」「アプリ」という観点ではGoogleが優れていると言えるでしょう。
参考:TOPS OF 2017: DIGITAL IN JAPAN|ニールセンデジタル社
予算配分を調整し、検証しながら使い分ける方法
ここまでGoogle AdWords とYahoo!プロモーション広告の特徴を見てきましたが、マーケティングのゴールを「ターゲットユーザーの態度変容」とするならば、やはり「ターゲットや目的に応じて使い分ける」という考え方が重要になるでしょう。
効率的に広告運用を行うことができても、ターゲットとするユーザーに望ましい影響を与えることができなければ、マーケティングの成果には繋がらないからです。そこで議論のテーマになるのは「どのような予算配分で使い分けるか?」という点です。
しかし、初めから広告配信ツールを1つに絞り込むと、成果が出ない理由が外的要因にあった場合にそれ以上の手を打てなくなってしまいます。だからこそ、双方の広告配信サービスを併用することが求められます。そこで実践したいのは、仮説思考の広告運用です。
「ユーザー分析×ABテスト」で仮説を立証する
仮説思考型の広告運用といっても、そのプロセスは極めて基本的です。具体的には次のようなプロセスをたどりましょう。
ステップ1 自社サイトへの流入経路を比較する
まず初めに、自社サイトに流入してくるユーザーの経路を確認しましょう。そもそも、GoogleとYahoo!では検索エンジンを利用しているユーザー層が異なるため、それぞれから流入してくるユーザーのニーズや価値観は同一ではありません。
ニールセン デジタルコンテンツ視聴率(2018年発表)によると、「Yahoo! JAPANとGoogleの利用率は53%」とされており、どちらも6,600万人超のユーザーに利用されていることが明らかになっています。そして、直近のデータこそないものの、かつては「女性向けならばYahoo!」「スマホユーザーを狙うならスマホ」といった傾向もあったため、ターゲットに応じてデータの裏付けを取った施策を行うことの意義は大きいと言えます。
ステップ2 一定期間内での流入数が多い記事を確認する(興味対象を探る)
次に、自社サイトの中で多くのユーザーが閲覧している記事を確認します。例えば、次のような具合でチェックします。
①直近1ヶ月で最も多くのユーザーが閲覧したページはどれか?
②そのページには、GoogleとYahoo!のどちらから多くのユーザーが流入しているのか?
③GoogleとYahoo!、それぞれから流入しているユーザーの検索キーワードにはどのような傾向があるか?
このような点をチェックすることで、自社サイトを訪れているユーザーが何に関心を持ち、どのような期待を抱いてWebサイトを訪問しているのかわかります。
ステップ3 仮説を検証し、自社サイトのポジションを定義する
最後に、ここまでで探った「ユーザーが関心を抱きやすいキーワード」を元に、Google・Yahoo!プロモーション広告の双方に広告を出稿します。1週間など期間を区切り、それぞれでどのような成果が出たかを検証したうえで、データドリブンのアクションを起こしていきましょう。
自社データを元に競争優位を築くために
外部の統計データを収集し、大きなトレンドを掴むことも大切ですが、やはり最も重要度が高いデータは「ファーストパーティデータ(自社データ)」。ファーストパーティデータの問題点として「絶対量が少ないこと」が挙げられますが、それを差し引けば「自社の見込み客に近いユーザー」とも表現できるでしょう。
「GoogleかYahoo!か」という問いに、絶対的な答えが出る日は訪れないかもしれません。最終的には、自社のユーザー像をきちんと見極め、収集したデータに基づいたタイムリーな意思決定をすることが大切です。