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インフルエンサーマーケティングの難しさ
そもそも何故、インフルエンサーの活用は困難を極めるのでしょうか?SNS自体は私たちにとって身近な存在に思える一方で、事実、その実態や特性の把握に苦労するマーケターは非常に多いのです。
サイバーエージェントがマーケター115人を対象に行った調査によると、「インフルエンサー・マーケティングを行ったことがある」と答えた担当者は全体の56%。そして、その取り組みに対する課題を聞いたところ、最も多い回答(42%)が「最適なインフルエンサーの選び方がわからない」というものでした。続いて、「効果がわかりづらい(38%)」「効果計測ができない(23%)」という回答も続いており、費用対効果を図ることの難しさが垣間見えます。
このような状況下で、マーケターは次の紹介する「3つの壁」に直面しています。
インフルエンサー選定の際に直面する「3つの壁」
①インフルエンサーの特徴が理解できない
まず1つ目は、インフルエンサーごとの違いについてです。インフルエンサーはそれぞれの「らしさ」を醸し出しながらフォロワーとコミュニケーションを行っています。つまり、投稿の履歴やコミュニケーションの内容をしばらく追い続けないと、特徴を把握することはできません。商品やサービスではなく、人のキャラクターによるものが大きいため、その特徴を言語化することのハードルも高いのです。
②目的に合った最適なインフルエンサーを選べない
インフルエンサーの特徴が理解出来なければ、当然ながら自社商品との相性も判断できません。単純にフォロワー数を見ても、フォロワーが自社商品に興味を抱き行動を起こしてくれるかどうかはわからないのです。
また、Twitter/Instagram/YouTube/ブログといったチャネルごとに、著名なインフルエンサーも異なり、プロモーションに最適な商材も異なります。一定以上の経験・知見なくして、これらの変数を把握し最適解を導くことは困難を極めます。
③費用対効果を社内に報告できない
インフルエンサーやその影響力、相性を判断できなければ、ビジネスインパクトも評価できません。どの程度費用を投じれば目的を果たせるのか、自社だけで判断することは極めて難しいといえます。
このような「3つの壁」を乗り越えるために、見落としてはならないいくつかのポイントがあります。初めてインフルエンサー・マーケティングに取り組む際には、ぜひ次のチェックリストを参考にインフルエンサー選定を行ってください。
インフルエンサー選定のチェックリスト
①フォロワーが1万人以上付いているか?(10万人を超えているか?)
②インフルエンサーの投稿に対して、フォロワーはどの程度反応しているか?
(いいね!、コメントなど)
③フォロワーのポジティブな反応はどの程度あるか?
④逆にネガティブな反応には、どのような内容があるか?
⑤実体験に基づき、自分の言葉で商品PRを行っているか?
⑥ステルスマーケティングと受け取られる言動はあるか?
⑦商品PRを行う際には、広告表記がなされているか?
⑧過去に炎上した形跡があるか?
⑨インフルエンサーのアカウント名で検索をかけたとき、どのようなページがヒットするか?
⑩連絡先は掲載されているか?(仕事を受けているか?)
上記のうち①~③は、インフルエンサーの影響力をチェックするためのポイントです。そして④~⑧については、インフルエンサーが抱えるリスクを事前に把握する上で欠かせません。⑨については、インフルエンサーのライフスタイルやメディア出演経験を把握する上で必要な調査です。
“階層化されたインフルエンサー群” を理解することの重要性
前述のチェックポイントを見てわかる通り、インフルエンサーのビジネスインパクトは定量的な数値だけでは測れません。一人ひとりのキャラクターやライフスタイル、フォロワーとの関係性を踏まえた上で、自社商品・サービスとの相性を判断する必要があるのです。
特に、近年重要な位置を占めているのは「インフルエンサーの階層構造」です。①に記載した「フォロワーが1万人以上」という点は、インフルエンサーの影響力を測る上での一つの基準となりますが、例えフォロワーが1万人以下でも、特定のコミュニティで驚異的なエンゲージメント(≒影響力)を発揮しているケースもあるのです。
このように特定の領域で ”狭く、強い(深い)” インパクトを発揮するインフルエンサーを「マイクロインフルエンサー」と呼びます。一人のインフルエンサーに多数のマイクロインフルエンサーがフォローしているとすれば、そのインフルエンサー群は驚異的な拡散力を発揮することになります。
このように、インフルエンサーが発揮するネットワーク効果は計り知れないため、ある程度マーケティングの要点を掴んだ後には、専門性を持ったパートナー企業を見つけてしまうほうが成果への近道になるかもしれません。
インフルエンサーとwin-winの関係を継続するためにすべきこと
近年は「なりたい職業ランキング」の上位にYouTuberがランクインするほど、SNSを活用した働き方が社会的に認知されてきました。「インフルエンサー」という職業は、旧来型のビジネスの枠組みでは捉えづらい存在かもしれません。しかし、マーケティング界隈に与える影響力はもはや無視することはできない段階にまで来ています。
彼らとwin-winの関係を継続するためには 「各人の個性や得意領域を理解し、その良さを引き出す依頼方法」 を追求するに限ります。日本の悪しき慣習ともいえる「御用聞き」のようなスタンスで仕事をしているインフルエンサーは、極めて少ないと考えたほうが無難でしょう。
もちろん、一定のレギュレーション(注意事項や表現を規定するガイドラインなど)は必要ですが、インフルエンサーのパフォーマンスを最大化するためには各SNSの世界観を踏まえた表現技法が求められます。その前提を踏まえた上で、インフルエンサーとの関係性を深めていきましょう。