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マーケターなら即答したい「コンバージョンの常識」
コンバージョンとは、Webサイトにおける何らかの成果を示す用語です。しかし、それをどのように測定することが必要なのでしょうか?まずは、コンバージョンの考え方にもいくつか種類があることをおさらいしましょう。
同一ユーザーもカウントに加える「総クリックスルーコンバージョン」
コンバージョンタグを設置したページが表示された回数を示す考え方が「総クリックスルーコンバージョン」です。これはすなわち、Aさんが2回コンバージョンすれば「総クリックスルーコンバージョンは2回」と数えることを示します。この方法で測定したコンバージョンは、実際に影響を与えることのできた人数よりも多く見えてしまうことに注意しなければなりません。
重複をカウントしない「クリックスルーコンバージョン」
複数回のコンバージョンの中には、同一ユーザーが混じっているケースが多々あります。そこで、同じユーザーが広告のクリックと商品購入を2回行った場合でも、クリックスルーコンバージョンは1とする方式が「クリックスルーコンバージョン」です。この数え方では、「コンバージョンの回数」ではなく、「コンバージョンしたユーザーの人数」をカウントします。
広告以外のルートを示す「ビュースルーコンバージョン」
Googleディスプレイネットワークのバナー広告が表示されたユーザーのうち、バナー広告以外からコンバージョンした回数です。これはすなわち、「バナー広告をクリックしなかったが、バナー広告がコンバージョンに貢献したこと」をカウントに加えるための概念です。
通常、コンバージョンの測定は、「特定のバナーやリンクをクリックした」もしくは「特定のページを訪れた」といういずれかの方法で行われます。しかし、前者の方法では「クリックしなかったけど、購買意欲が高まった」というユーザーを測定することができません。そこで、「ビュースルーコンバージョン」といった概念が活用されている、という背景があります。
これらのようなコンバージョンの概念があることを念頭に、コンバージョンにまつわる課題について見てみましょう。
コンバージョン率が上がらないサイトにありがちな課題
様々なWebマーケティングツールが登場し、それらを使いこなす企業が存在する一方で、長らく成果が上がらずに悩んでいる企業も多く存在します。その差は一体どこにあるのでしょうか?
「問い合わせが増えない」という問題を「コンバージョン率が上がらない」と定義するならば、それらの企業は多くの場合、次のような課題を抱えています。
課題① 訪問者に十分な情報提供ができていない
Webサイトを見たときに「なんだか情報がごちゃごちゃしている…」「そもそも知りたい情報がどこにあるかわからない」という印象を抱く場合、訪問者に十分な情報提供ができていない可能性があります。ナビゲーションに掲載した情報が整理されていなかったり、そもそも各コンテンツへの動線がきちんと整備されていなかったりするケースがこれに当てはまります。
課題② 訪問者の関心を高められていない
情報が理路整然と並べられていても、それらの表現が魅力的でなければ、ユーザーはコンバージョンにまでは至りません。大切なのは、インフォメーションではなく「コミュニケーション」。ユーザーの関心を高めて、コンバージョンを後押しするコンテンツや動線の設計が求められます。
課題③ 訪問者の問い合わせ行為を阻害している
3つ目に挙げられるのは、問い合わせ行為のモチベーションを下げてしまうケースです。問い合わせや資料請求を行う際の入力項目が20項目以上あったり、せっかく入力した内容が一度のエラーで全部消えてしまったりすると、ユーザーは問い合わせを諦めてWebサイトから離脱してしみます。
このような課題をクリアするためには、どのような考え方が必要でしょうか?
コンバージョン率を上げるために有効な「5つの施策」
コンバージョン率を上げるための方法は極めてシンプルです。最も大切なことは、前述した3つの課題を解消し、一度高めたユーザーの関心を下げることなく、スムーズにコンバージョン(問い合わせ、申し込みなど)に導くことです。
どうすれば二度手間にならず、ストレスなくコンバージョンまで導くことができるのか――。それを考え続けて、次のような施策を施すことで、コンバージョン率は必ず高めることができます。
鉄則① コンバージョンを増やすための魅力的なオファーを出す
コンバージョン測定の多くは「問い合わせフォーム」や「資料請求フォーム」といった入力の一手間を完了させたユーザー数をカウントしています。つまり、ユーザーは「入力が面倒だな…」「自分の個人情報を企業に渡すのは気が引けるな…」という心理的なハードルを乗り越えて、入力フォームの項目を埋めているのです。逆にいれば、このハードルを越えられないユーザーは、コンバージョンにまで至ることはありません。だからこそ、コンバージョン数を増やすためには、魅力的なコンテンツの提供(例:マーケティング担当者1000名の意識調査をまとめたレポートを進呈します!)を行うなど、適切なオファーを出す必要があります。
鉄則② 動線を簡素化し、クリック数を減らす
より多くのコンバージョンを得たいならば、Webサイト内部のレイアウトや動線をわかりやすくし、より少ないクリック数でコンバージョンにまで至るようにする必要があります。クリック数が増えると、その分画面の読み込みにかかる時間も増え、結果的にユーザーの離脱を招きやすいのです。工夫の結果が顕著に結果に表れるやすいからこそ、動線の簡素化は必須事項と言えるでしょう。
鉄則③ フォームの入力負荷を下げる
フォームの入力が20項目ある場合と5項目しかない場合、どちらがコンバージョンに至りやすいでしょうか?多くの人が「5項目」を選ぶはずです。特に、スマートフォンの利用が主流となった現代、入力項目を削減することの重要性はより一層増しています。
鉄則④ リードナーチャリング施策を実施する
コンバージョン数を増やすためには、当然ながらユーザーをコンバージョンさせるための動機づけを行わなければなりません。そこで求められるのが顧客育成(リードナーチャリング)の観点です。リードナーチャリングの施策として行われることが多いのは、メルマガ配信やホワイトペーパー提供など。ユーザーが求めるコンテンツを提供することで、着実に育成を図れば、問い合わせや資料請求を行うまでの距離も徐々に縮めることができます。
鉄則⑤ コンテンツ品質を絶え間なく向上させる
5つ目の鉄則は、当然のことながら多くの企業で十分に実施されていない点です。例えば、過去に配信したメルマガや執筆記事、ホワイトペーパーの品質を2倍に上げるためには、どのような具体策が必要でしょうか?魅力的な文章表現を追求する、よりビジュアライズされたコンテンツを増やす、動画などの新たな表現フォーマットを取り入れる・・・など、品質向上のために実施できる施策はまだまだあるはず。競合他社と比較したときに、自分たちが提供するコンテンツがどの程度勝っているか、常に意識して改善を行うことが、コンバージョン率の改善にも繋がります。
続いて、鉄則を踏まえた上で、コンバージョン率を高めるための代表的な施策をご紹介していきます。
コンバージョン率を上げるために有効な「5つの施策」
LPO(ランディングページ最適化)
LPOは、ランディングページの構成や内容の改善を繰り返し、コンバージョンを高めるための施策のことを指します。その改善範囲は大きく2つです。
1つ目は、動線や構成の変更。ユーザーはランディングページを見てから数秒でその内容を判断し、閲覧を続けるか離脱するかの判断を行います。だからこそ、最初に何を見せるか(ファーストビューの改善)や、どのような順序で訴求を行うか(構成の工夫)が重要になります。
2つ目は、デザインや文言の差し替えです。訪問者の関心を高める写真やコピーライティングを工夫することで、いかにコンバージョンを高めることができるか追求することも大切です。
A/Bテスト
LPOとも関連する点が多いのが「A/Bテスト」です。A/Bテストは、WebページのデザインをAパターン、Bパターンと2つ用意し、それらを2つのグループに分けて表示することで、その成果の差を比較する方法です。一定期間A/Bテストを行った後、成果の高いページを利用することで、LPの成果を最大化することが狙いです。
Web接客
Web接客は、Webサイト上でユーザーひとりひとりに最適なコミュニケーションを行う施策の総称。一定の情報を元にユーザーをグルーピングし、そのグループに所属するユーザーにあった接客アクション(例;バナー表示、ポップアップ表示)を行うことで、ユーザーのコンバージョン率を最大化します。
レコメンド
レコメンドとは、ユーザーの関心にあった商品やサービスを表示する手法。アップセルやクロスセルといった戦略に最適なマーケティング手法で、ECサイトなどのコンバージョン率のアップに最適な方法です。
EFO(入力フォーム最適化)
EFOは入力フォームの各項目をわかりやすく表示したり、入力支援を行ったりする手法です。入力の手間を嫌がりWebサイトを離脱するユーザーは非常に多く、EFOの施策実施の有無がコンバージョン率に大きな影響を与えるケースは非常に多く存在します。
どの施策にも共通していることは、その背景に「ユーザーの関心を高めて、スムーズにコンバージョンに導く」という思想があることです。そして、全体に共通して重要な点として「指標の測定・管理」が挙げられます。
押さえておくべき重要指標
コンバージョン率の最大化を狙うためには、施策の種類を問わず「指標の測定・管理」が欠かせません。ユーザーに対してどのような施策を行い、どのようなKPI(成果指標)を高めれば、CV(コンバージョン率)の最大化に繋がるのか。これらを定量的に押さえておくことが、成果創出の近道になります。
ユーザー視点が全ての結果を左右する
今回ご紹介した施策は全て「ユーザー視点を欠かさない」という点は共通しています。提供側の論理に縛られず、いかにユーザーに利便性を提供できるかが成果を出し続ける鍵になります。
「思うようにコンバージョン率が上がらない…」と悩むWeb担当者は、まずユーザーの気持ちになっていろいろなサービスに触れ、第三者の視点を借りることが効果的です。