目次
サイト経由の売上を最大化する3つの手法
Web・ECサイト経由の売上最大化を狙う場合、その手法は大きく分けて3つあります。まずは各手法の概要を押さえましょう。
①訪問者数の最大化
売上最大化を狙うにあたって、最も王道になる手法は「訪問者数の母数を増やす」ということです。SEOやSNS、リスティング広告を用いた集客施策がこれに該当します。まずは一定数の訪問者を集め、その上で商品の訴求を行うことで、徐々に顧客との関係構築を図るスタンスが求められます。
②回遊率の最大化
サイトを訪問したユーザーが突然、申込や購入アクションを起こすことは稀です。多くの場合、複数の情報を閲覧し、商品への関心を深め、比較検討を繰り返した上で申込・購入アクションに至ります。すなわち、そのプロセスを円滑化すること(動線づくり)が重要であることがわかります。
③CVR(コンバージョン率)最大化
ユーザーが商品の購入を決意しても、その購入プロセスが複雑だったり、入力項目が多かったりすると購入を断念してしまうことがあります。コンバージョンに至るまでの操作は極力簡単かつシンプルにすることが、売上最大化のポイントです。
レコメンド機能は、上記の「②回数率」「③CVR(コンバージョン率)」の2点を最大化することに貢献する仕組みです。その一方で、レコメンド自体を「機能」ではなく「概念」として捉える見方も存在します。
CVR(コンバージョン率)を改善するために必要なことや、改善のための施策について知りたい方は、「Webサイトのコンバージョン率を高めるための施策とツール特集」をご覧ください。
おさえておきたい「レコメンド機能の本質」
冒頭で、レコメンドは「いわゆる関連商品を表示する機能」とお伝えしましたが、実はその本質は別のところにあります。レコメンド自体は表層的に「同カテゴリの商品」を表示するだけではなく、ユーザーの深層にある「本当に欲しい商品」を探る役割も備えているからです。すなわち、ユーザー以上にユーザーのことを知っているコンシェルジュのような役割を果たすケースさえあるのです。
この観点を「狭義のレコメンド」と「広義のレコメンド」として捉えることもできます。レコメンドの本質的な価値を追求するにあたっては、後者の「広義のレコメンド」にこそ、売上拡大や新規顧客獲得の可能性が眠っていると言えるでしょう。
モノではなく「人」を基点にしたレコメンド手法
広告の領域においては「枠ではなく人に対して最適な広告を表示する」というトレンドが近頃の主流。それと同じように、レコメンドも「モノではなく人」という観点から表示の出し分けをする手法が普及しています。
モノを基点とするレコメンドは「コンテンツベース・フィルタリング」という手法を用いるもので、あらかじめ決められたルールにしたがって同カテゴリの商品をレコメンドするなどの活用方法が挙げられます。
一方で、人を基点とするレコメンドは「協調フィルタリング」という手法を用いており、機械学習や相関係数に基づいたレコメンドを前提としています。アパレルや本など、趣味嗜好が出やすい分野で多く用いられています。
例えば、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社が提供している「アイジェント・レコメンダー」というサービスもそのうちの一つです。AI技術を活用したサービスは、従来型のルールをプログラミングする必要があったものと異なり、自動学習してくれることにより、運用工数が大きく低下、かつ、精度の高いOne to One型のレコメンドを実現してくれます。
加えて、近年注目されているのは、実際の店舗の接客にも近い「インテンションベース・フィルタリング」という手法です。
例えば、「今日入荷したオススメ商品」や「本日の割引商品」をレコメンド表示して、ユーザーに新たな気付きを与えるといったケースが挙げられます。ここではユーザーの行動履歴・購入履歴は意識せず、ユーザーの体験価値と店舗の売上最大化を目指した運用がなされることになります。
カスタマージャーニーから考える動線設計
レコメンドの手法が複数用意されている今、やみくもにレコメンドを活用しても成果には繋がりません。必要な観点は、レコメンドを表示する最適なタイミングを見極めるために、ユーザーの行動プロセスを洗い出すことです。
そのために有効な手法が「カスタマージャーニーの作成」です。カスタマージャーニーとは、ユーザーがサイトに訪問してから比較検討、購入に至るまでの過程を、各プロセスにおける「具体的なタッチポイント」「ユーザーの思考/感情」といった側面から分析する手法です。この手法を用いることで、どの動線に観点の不足があるか、などの確認ができます。
詳細な実施方法については本記事では割愛しますが、デジタルマーケティングを行う上で大切な観点が詰まった手法なので、ぜひ一度は取り入れてみてください。
「パーソナライズ」をどこまで追求できるか
前述のモノではなく「人」を基点にしたレコメンドが登場しているように、ここ数年でマーケティングは一律で行うものではなく、One to Oneの思想の元で「パーソナライズ」するものへと進化を遂げました。しかしながら、その思想を具現化するためには、緻密なマーケティング戦略と具体的な戦術が求められます。その意味でレコメンド機能を適材適所に用いることは、実にスマートな方法と言えます。
新たな機能だけに捉われるのではなく、目的に立ち返った上でその本質を見極め、マーケティング施策を実践していきましょう。