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広告配信を大幅に効率化した「アドネットワーク」
アドネットワークとは、広告媒体となる複数のWebサイトを束ねてネットワーク化し、各広告枠のパフォーマンスに応じて広告配信を行う手法です。アドネットワークの登場により、広告主は個々の媒体に掲載依頼をすることなく、多くのトラフィックを確保することが可能になりました。
この仕組みを実現する上でのポイントは、ネット広告黎明期に登場した「アドサーバー」です。アドサーバーとは、広告配信管理専用のサーバーのことを指します。この仕組みが登場したことで、広告在庫や配信管理だけを媒体(Webサイト)から独立させて行うことができるようになりました。
そして、アドネットワークを提供する企業の特徴として、各媒体(メディア)の余った広告在庫(=余剰在庫)を活用している点が挙げられます。各媒体は、常に広告在庫に余りが出るように広告枠を販売しているため、この余りの部分をアドネットワークが束ねて管理しているわけです。
かつては、純広告に次ぐ広告形態であったアドネットワーク。しかし、ネットメディアの増加に伴う生活者行動の多様化に伴い、アドネットワークはネット広告のメインストリームへと変化していきました。そして、そのスケールメリットと管理の効率性から、今や純広告以上に活用の幅が広がっている仕組みといえます。
アドネットワークを利用するメリットとは?
広告主がアドネットワークを活用するメリットとしては、次の3つが挙げられます。
メリット① 広告掲載の手間が省ける
複数媒体を選定して純広告を出稿するよりも、アドネットワークを選んだほうが、広告掲載の手間が省けます。
メリット② 予算管理や成果測定の手間がかからない
複数媒体の広告に対して予算管理・成果測定を行おうとすると、消化した予算額や成果指標を複数のチャネルで計測し続ける必要があります。しかし、アドネットワークであれば、データが一元管理できるため、それらの手間はかかりません。
メリット③ トラフィック量を最大化できる
複数の媒体を束ねたアドネットワークであれば、例え特定のメディアのトラフィック量が減少したとしても、他のメディアで補うことができます。このスケールメリットは、単体の媒体では賄うことのできない点です。
続いて、アドネットワークの大手5社の特徴を個別に見ていきましょう。
マーケターが押さえるべき大手アドネットワーク5社
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク
Yahoo!JAPANや、幅広い提携サイト(excite、ソネット、AllAbout、Naverなど)に配信ができるアドネットワークです。ターゲットユーザーの基本属性(年齢・性別・地域)を絞り込んだ配信や、検索キーワードとの連動配信、リターゲティングも可能です。
GoogleDisplayNetwork
Googleが提供する世界最大のアドネットワークです。様々な広告形態に対応しており、ユーザーの興味関心(インタレストカテゴリ)に基づく配信も可能です。テキストや画像以外に、動画広告にも対応しており、あらゆるターゲティングに対応可能であると言えるでしょう。
BEYOND X (旧ADJUST)
株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)が展開するアドネットワーク。自社開発のマーケティングプラットフォームを軸に、各社のDSP・SSP・DMP・3PASと柔軟に連携・最適化し、ブランドセーフティにも注力した高付加価値な広告配信を行っています。
MicroAd
株式会社マイクロアドの提供するアドネットワーク。国内の主要なAdexchangeやSSPに広告配信を行っており、PC・スマホのみならず、デジタルサイネージ等の新たなタッチポイントも設けています。また近年、オフラインの購買データや位置情報等とのデータ連携の推進を掲げているユニークなサービスです。
楽天アドネットワーク
楽天株式会社の展開するアドネットワークで、楽天市場の購買データを元に、様々なセグメントへの広告配信を可能としています。楽天オーディエンスデータが基盤になっていることから、楽天市場との相性の良い商材には最適なアドネットワークと言えるでしょう。
アドネットワークを選ぶ上での「3つのポイント」
アドネットワークの選択を行う上では、いくつかの選定軸が挙げられます。
まず1つ目は、自社のターゲットセグメントとマッチしているかどうかです。アドネットワークが登場して以降、広告配信は「枠」ではなく「人」に対して行う手法が主流となりました。広告効果の最大化を狙うためには、自社のターゲットセグメントがどの程度、アドネットワークのオーディエンスに含まれているか、事前に見極めが必要でしょう。
2つ目は、広告形態です。昨今、動画広告の反響の高さが注目されつつありますが、動画広告の制作・出稿プロセスは、画像形式の広告と比べると複雑にならざるを得ません。配信したい広告形態と出稿プロセスに係るコストを比較したうえで、アドネットワークの選定に取り掛かりましょう。
3つ目は、成果指標の計測とPDCAの回しやすさです。アドネットワークの効果を常に最大化できるかどうかは、アドネットワーク・サービスの管理画面の機能性・操作性にも大きく関係してきます。自社で運用するならば、この点をきちんと調査した上で、運用開始に臨む姿勢が必要です。
データ活用でアドネットワークは進化を続ける
アドネットワーク・サービスの品質の差は、提携している媒体やオーディエンスの質・量から生じることは間違いありません。しかし、一度運用を開始してからは、やはりPDCAサイクルをいかに円滑に回せるかにかかっています。短期的な成果のみならず、アドネットワークを通じて中長期にわたりどのような成果を創出したいのか、その点を具体化した上でサービス選定・パートナー選びを進めていきましょう。