目次
エリアマーケティングは「企業やお店の地域戦略」
簡単に言うと、エリアマーケティングとは「企業や店舗の地域戦略」のことです。
これからお店を出す予定がある人や既にお店を出している人が、その出店予定または出店している地域の特色を分析し、その地域に合わせて戦略的に事業を展開していくために必要なマーケティングです。
その地域の世代構成、人口の分布といった住民に関するものや、外から訪れる人がその地域に抱いているイメージなどの様々な観点から、商圏の特色について分析していきます。
商圏の定義
ちなみに、商圏とは何かと尋ねられた時に、あなたは答えることができますか?
商圏分析の詳しい方法を知る前に、まずは商圏の定義を知る必要があります。
商圏とは、商業施設において集客ができる地域のことを指します。
商圏は単純な距離だけでなく、交通にかかる時間や、周辺環境をふまえた上で設定されます。商圏はできるだけ正確に把握することが大切です。
商圏分析が重要視されているのは、商圏が店舗でものを売るという仕組み、いわゆるマーケティングの基礎となる考えだからです。基礎をしっかりと組まなければ、そこから置かれる状況に対応することも難しくなっていきます。逆に言えば、基礎である商圏について詳しく知っていれば、顧客の変化など、店舗を取り巻く状況に柔軟に対応することができるということです。
商圏分析によって、必ずしも大幅な利益の増加が見込めるわけではありません。しかし、商圏エリアを知れば、折込チラシなど効率的な販売促進が可能になるのです。また、新たに店舗を出店する際、商圏が被って顧客を取り合うという事態も防ぐことができます。
エリアマーケティングの勝機は、「商圏分析」にあり
具体的にエリアマーケティングを進めていくことを考えたときに行うのが商圏分析です。
商圏分析とは商圏、すなわち前述しました”集客範囲”を設定し、その範囲の情報を集め分析し、収益を期待できる事業の進め方を検討していくことであり、エリアマーケティングのメインと呼べる活動です。
商圏分析では、その地域にある様々な特性に関するデータを集めていく必要がありますので、次に商圏分析のポイントについて解説します。
商圏分析における4つのポイント
商圏分析の方法として、まず最初に商圏の調査・分析をしなければなりません。世帯数や所得など、商圏内に存在する顧客の具体的な情報を知ることが、商圏分析の第一歩です。
情報は集めるだけではなく、分析し、顧客の傾向や様子を構築することで、より確実な店舗戦略につながります。どの年齢層が一番多いのか知るだけでも、入荷する商品の目安にもなりますし、顧客分布が分かれば、DMやチラシなどを配布する地域がより明確になります。需要の予想や販売促進は、店舗開発のための欠かせない礎です。これらは、顧客の情報なくして成り立つものではありません。商圏分析で最終的に求められるものは、店舗ごとの環境に見合った経営方法を組み立てることです。確かな情報の分析による裏付けがされた経営と、環境を知らないまま固められた経営とでは、収益や効率の面で大きな差が出ることが予測できます。
そこで、次にエリアマーケティング活動における商圏分析を行う上で、外してはならない3つのポイントについてご紹介します。
【商圏分析のポイント①】対象地域のマクロ環境分析
まずは、対象となる地域のマクロ環境を分析します。これは、人口とその人口の構成比率など地域の市場としての成長性が分かるデータのことです。
例えば、このデータを分析する事で、店舗を出店する場所がこれから人口が増え市場規模が拡大していく場所なのか、反対に過疎化して縮小していく場所なのかが分かります。
【商圏分析のポイント②】住人のライフスタイル調査・分析
そして、次は、そこに住む人のライフスタイルの調査・分析も有効です。
住民の多くが選択する移動手段や、週末の過ごし方などから地域の特性が分かってきます。住民の行動の特徴から需要を見つけ出すことが可能なのです。
また、買い物についてどのような考え方を持つ人が多いかという点も重要なデータになります。買い物は大抵、大型のショッピングセンターで済ませるのか、又は小型の食品のみを扱うスーパーも頻繁に利用されているのかなど、さらには通販の利用頻度などから有効な商品の販売の仕方をつかめる可能性があります。
【商圏分析のポイント③】競合企業の調査・分析
顧客だけでなく、ライバル企業の存在についてのデータを集めることも重要です。競合店の販売する商品や提供するサービスの内容などから、消費者がお店を選ぶ際の判断基準などが分かります。対抗していくために必要な自分の店舗が取るべき戦略が競合分析をすることで見えてくるのです。
【商圏分析のポイント④】商圏バリアの存在を調査・分析
商圏分析の際に、数値など理論上の情報だけでは分からないものもあります。それが商圏バリアと呼ばれる、顧客が店舗を利用する際、障害となりうるものの存在です。
例としては、大きな山や川、線路などが挙げられます。しかし、一般に商圏バリアとされるものが存在していたとしても、それらが来店の障害にならないこともあります。たとえば、商圏バリアに山があったとして、山向こうに適切な店舗がなく、購買の必要性にかられた場合などです。ですが、もし山向こうに競合店が存在していた場合には、よほどの動機、つまり障害を越えてでも来店したいと思わせるほどの魅力が店舗にないかぎり、商圏内にあっても集客は望めないでしょう。このような商圏バリアを知るために一番効果的であるのは、現地に足を運ぶことに限ります。実際に現地へ赴き、状況確認を行うことも商圏調査の一環として視野に入れておくことが重要です。
このように、自然や風土の特性、その他、歴史的に受け継がれてきた価値観などからも出店戦略の構築に役立つ情報が得られることがあります。商圏分析をする際は幅広い視点を持って重要になるであろう情報を把握していくことが求められます。
エリアマーケティングから、有効な広告戦略を考える
商売をしていくうえで、広告も重要な活動の一つです。
しっかり、商圏分析を行うとその地域の市場としての特性が分かります。それは、有効な広告手法は何かを導き出すことにもつながるのです。
お店のウェブサイトを作ってインターネット上で広告をするなら、何をキーワードにするかを考える必要があります。商圏に住む顧客がインターネットで検索をするときに検索エンジンに入れるキーワードを想定し広告を出すことをリスティング広告と呼びますが、この手法を取る際もエリアマーケティングで獲得した情報を活用することができます。インターネットを利用した広告には大きな可能性がありますが、地域によっては折込チラシが有効であったり、バスのアナウンスなど交通機関を使った広告が力を発揮することがあります。
エリアマーケティングをもとに、どの広告手法に主にお金をかけていくのが良いかを考えていくと無駄な費用をかけずにより多くの消費者にアピールするという、効率の良い広告戦略を立てることが可能になります。
また、商圏分析は地域ごと、店舗ごとにふさわしい経営の指針を導き出すことが可能です。これから新たに店舗を展開したいという方だけでなく、すでに経営をしていて、いまひとつ売り上げに伸び悩んでいる、という方は、一度店舗の環境と商圏について照らし合わせて見るのもいいかもしれません。また、今から新しく店舗の開業を考えているという方も、ぜひ商圏の詳しい調査・分析を実地してみてください。商圏分析によって固められた地盤があれば、経営戦略は明確なものとなって、より効率的なマーケティングが可能となります。