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そもそもWeb接客を活用するメリットとは?
Web接客は多くの場合、「売上の最大化」や「購入者数の最大化」を最終ゴールに据えて活用されています。しかし、マーケターであれば、KPIにも据えられることがあるより細かなメリットを把握する必要があるでしょう。具体的に説明すると、次のようになります。
コンバージョン率(CVR)の向上
1つ目は、最もメリットに挙げられることが多い「コンバージョン率の向上」です。過去には、Web接客ツールを導入することで10~20%CVRが改善したとされる事例も珍しくはなく、より一人ひとりに最適化したコンテンツの出し分けをすることのメリットは大きいと言えます。過去の事例から見てみても、実店舗の接客と同じように「個々のユーザーの状態に合わせて接客を行うこと」は、リアル・デジタル問わず実践する段階に来ているといえるでしょう。
離脱率の低下
ユーザーに適切なタイミングで訴求を行い、商品サービスの魅力を伝えることは、購買意欲を高めることに繋がります。例えば、ファミリー層の主婦Aが「コンパクトで左右開きのドアがあり、野菜室が付いている冷蔵庫が欲しい」というニーズを持っていたとして、そのユーザーに「年末だけ!家電セール実施中」「省エネ冷蔵庫特集」といったバナー画像を表示すれば、
短期間で購買に至る可能性が高まります。また、「真空チルド機能ならば、肉や魚の鮮度も保つことができ、家族もハッピーに」といったコンテンツを配信してアップセルを図ることで、より高付加価値・高価格な商品の販促を行うこともできます。
これらのように、顧客の顕在ニーズ・潜在ニーズを捉えることで、Web接客は高いマーケティング効果を上げる可能性を秘めているのです。
顧客単価の向上
TOPページの他、商品検索画面、商品詳細画面、LP、特集コンテンツ、問い合わせフォーム、FAQなど、ページ毎の目的に応じて異なるバナー画像やリンクを表示します。
各社Web接客をどう活用しているのか?
様々なマーケティングの成果が期待できるWeb接客ですが、どのように活用できるのでしょうか?いくつかの活用シーンから見てみましょう。
初回訪問時の訴求
ユーザーがWebサイトやECサイトに訪問した時に関心を抱く要素としては、「他にない面白いコンテンツがあるか?」「他のユーザーに人気なコンテンツ(商品サービス)はどれか?」ということがあります。だからこそ、多くのサイトでは初回訪問時のユーザーには、人気商品や特集などのバナー画像を表示しています。一方で、既に目的を果たしているユーザーに対しては表示する必要のない情報も存在します。具体的には、メルマガ登録が完了しているユーザーには「メルマガ登録を促すバナーを表示しない」といった具合です。
サイト上の限られたスペースを有効活用するためにも、ユーザーが求めていない情報を意図的に省くことができることもWeb接客の有効な活用にあたります。
離脱行為の防止
ユーザーがサイトを離脱するのはどのようなケースでしょうか?例えば、「もうちょっと検討したいから、後で買えばいいか」というように、判断を先送りすることもあるでしょう。一方で、商品を買う気があるにも関わらず、思いがけずサイトを離脱しようとしてしまうユーザーもいます。そのようなユーザーのためにも「カートに商品が残ったままですが、よろしいですか?」という具合にメッセージを表示することも可能です。
購入前の後押し
ユーザーを確実に購入アクションにまで導くためには、商品の限定感やお得感を演出し、購入を後押しすることは大切です。例えば、タイムセールや期限付きのクーポンがそれにあたります。購入を迷い、決断を先送りにした結果、他社で同等の商品を購入する、というケースは枚挙にいとまがありません。だからこそ、私たちマーケターには、ユーザーが購入するタイミングを逃さずに、そっと背中を押してあげることが求められているのです。
全マーケターが理解すべきWeb接客「5つの構成要素」
そもそも一般的なWeb接客では、どのようなことが行われているのか、今一度おさらいしましょう。Web接客が目指すコミュニケーションは「顧客の属性や状態、タイミングに応じたアクション」というものです。例えば、会員顧客には先行セールのバナー案内を出し、非会員顧客にはメルマガ登録を促すバナーを表示する、といった形です。このようなコンテンツの出し分けを行う背景には、次のような「5つの構成要素」が存在しています。
①ユーザー情報
ユーザーの属性や行動履歴(何回目の訪問か、特定のページを見たかetc.)を元に、コンテンツを出し分けます。PCやスマートフォンなどのデバイスによって異なるコンテンツを出すことも有効です。
②コミュニケーション方法(チャネル)
Webサイトやメルマガ、プッシュ通知など、チャネルに応じて最適なコンテンツの配信を行います。
③ページ分類
TOPページの他、商品検索画面、商品詳細画面、LP、特集コンテンツ、問い合わせフォーム、FAQなど、ページ毎の目的に応じて異なるバナー画像やリンクを表示します。
④経過した時間
ページに訪れてから一定時間が経過してからバナー画像を表示したり、一定のエリアまでスクロールしたりするタイミングでバナー画像を表示するなど、細かな設定を行うケースもあります。
⑤コンバージョンの内容
コンバージョンをどこに位置付けるのかはサイトによって大きく異なります。購入や申込の他、会員登録やメルマガ登録など、中間コンバージョンを設けるケースも珍しくはありません。
これらの5つの構成要素を分解すると、状態の違いや度合いの違いが生まれてきます。その「違い」にフォーカスして、その「違い」に応じた最適なコンテンツを提供することがWeb接客の目指すところです。
このような前提をもとにWeb接客の形態を分類すると、大きく2つのタイプに分かれます。1つは「ポップアップ型」、もうひとつは「チャット型」です。
『ポップアップ型』のWeb接客ツール
「ポップアップ型」は、ユーザーがサイトを利用しているときに、商品のクーポン情報や紹介画面をポップアップとして表示するタイプのツールのことを指します。表示するポップアップには、サイトにやってきたユーザー全員に対して共通の内容を表示するものもあれば、特定の属性や行動履歴を持ったユーザーに対してのみ表示を行うタイプなどもあり、様々な種類が存在しています。
特定のユーザーに対してのみポップアップを表示する場合には、そのユーザーが欲しているであろう商品の分析ができている必要があります。この分析はユーザーがサイトに登録した住所や年齢などの個人情報をはじめとして、サイトで購入したものの履歴や、閲覧した商品の履歴、利用しているSNSなどといった、WebサイトやWebサイトのCookieから得られるユーザー情報を収集した上で行われます。この分析結果をもとに、最適なポップアップを提案してくれるのがこのタイプのツールの特徴です。
多くの場合はこのユーザーの情報を徹底的に収集・分析をした上でユーザーに商品の提案をするといった提案を行うため、コンバージョン率の高い「効率のよい商品の宣伝」がおこなえるといったメリットがあります。
また、表示するポップアップには細かな設定を施すことができ、ユーザーが購入しそうな商品だけではなく、サイト運営者が売り込みたい商品だけを積極的に表示させ紹介するなど様々な用途での利用が可能です。
さらに、ポップアップの大きさだけでなく、エフェクトも調整ができることから宣伝目的ではなくサイトの飾り付けとして利用することも不可能ではありません。このツールにはポップアップの表示回数やクリック回数および割合も記録されるので、ユーザーの動向を分析する目的でも使えます。
ポップアップ型のWeb接客ツールを有効活用する場合はユーザー情報の徹底的な分析と情報の蓄積が基本となります。そのためポップアップ型のツールは利用するユーザーの多い大規模なサイトにおける活用に向いているツールと言えます。
『チャット型』のWeb接客ツール
もう1つのWeb接客ツールが「チャット型」です。
こちらはサイト上にチャットウィンドウという画面を表示して、そこでユーザーについて様々な質問をおこない、得られた返答内容をもとにオペレーターが適切な商品やサービスを提案します。
内部の仕組みとしては、従来型のものではオペレーターがサイトに常駐し、やってきたユーザーに対して様々な質問をするので人の手による介入が必要となりますが、近年はAIを活用したチャット型のツールが台頭してきており、一切人の手がかからないタイプも登場しています。
チャット型の場合は、ユーザーがほしいものをその場で聞き出すことができるので、今までユーザーが購入・閲覧した商品やサービスの履歴にとらわれることなく、リアルタイムで顧客が求めている商品をすぐに提案できることが魅力です。また、ユーザーが行いたいことを複数回に分けて聞きだすことも可能で、得られた回答から徐々に必要な商品・サービスを推測して提供することもできるので、膨大な商品・サービスを用意しているサイトにおいては豊富な商品・サービスのラインナップのなかから顧客ニーズに最も適した商品・サービスを提案することも可能となります。
チャット機能はユーザーとオペレーターが文章でのメッセージによってやり取りをすることから、電話をするのが面倒だと思っている人や、電話や対面での会話における隙きのない問答でのやりとりが苦手で相手に不用意にも個人情報を漏らしてしまうことを懸念している人達でも気軽に利用することができます。
チャット型のWeb接客ツールの特徴としては、リアルタイムでユーザー要望を聞き出して提案をすることが挙げられますが、個人情報をサイト内で大量に保持する必要がないという点では小規模なサイトでの運用にも向いてるとはいえ、それとは反対に、提供しているサービスが多種多様でユーザーが迷ってしまうことが多いサイトにおいてもじっくりと最適な商品・サービスの提案を行うことを可能としており、活用方法次第ではどのような規模のサイトでも役に立つツールとすることができるといえます。
いかがでしたでしょうか?Web接客には多数のメリットと様々な活用シーンが存在します。このような特性を理解した上で、自社に合った最適なWeb接客ツールを選定し、マーケティングの効果を極限まで高めていきましょう。