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4つの国内事例から見るチャットボットの基礎知識

自動でWEB接客を可能にする「チャットボット」。近年、急速に導入企業が増えている分野ですが、具体的にどんなメリット・デメリットがあるかは意外とわかりづらいもの。また、導入した結果「何を得られるのか?」という点も、具体的に説明できる人はまだ少ないはず。

今回は、チャットボットの特徴や導入前に検討するべきポイント、国内での活用事例をご紹介します。

目次

  1. チャットボットとは?

    1. チャットボットのメリット

    2. チャットボットのデメリット

    3. チャットボット活用のその他留意点

  2. チャットボットの日本国内での活用事例

    1. 【埼玉県】救急相談の利便性向上と医療機関の負担軽減を実現

    2. 【H.I.S】サポートによる顧客満足だけでなく売上アップにも活用

    3. 【ナノ・ユニバース】事前に学習を行わせたことで自然な会話を可能に

    4. 【北陸銀行】チャットボットでWebサイト上の質問に24時間365日質問に回答する

  3. チャットボットと問い合わせフォームで大きく異なるポイント

チャットボットとは?

チャットボットは、人間同士がリアルタイムにメッセージをやり取りすることのできる「チャット(chat)」と、ロボットの略称である「ボット(bot)」を組み合わせた言葉です。チャットボットは人間が送信したテキストや音声に対して、人間ではないボットが反応する、自動対話プログラムのことを指します。

開発された当初のチャットボットは、特定の言葉に定型文を返す「人工無脳」タイプ。しかし、近年ではAI技術の発達により、過去のデータから利用者の求めている情報に合致する回答ができる「人工知能」を搭載したより高度なものが開発されています。

近頃は、CS向上のため接客ツールとしてのチャットボット活用が進んでいます。
チャットボットはこれまで人が対応してきた顧客対応を担う可能性を持ち、業務の効率化や人員削減に寄与すると考えられています。コールセンターなど比較的決まった対応が多い分野への導入だけでなく、マーケティング分野でも注目されており、導入事例も続々と増えています。

今まで、人間が対応していた顧客の質問へ返答するという仕事をチャットボットで自動化することで、より効率的なWebマーケティングが見込める可能性があるのです。

チャットボットのメリット

チャットボットは、企業側と顧客側両方に上図のようなメリットをもたらします。

●企業側へのメリット:「24時間いつでも顧客に対し、迅速な対応をすることが可能になる」

顧客からの質問を受け付ける窓口を「24時間可能」にするためには、深夜勤務を担ってくれる人材の採用や、人件費といったコストがかかります。また、日中から深夜勤務にかけて業務品質を一定以上に保つためにも、研修コストが発生します。このような理由で、人による24時間対応は準備や運営が難しいとされてきました。

しかし、チャットボットを活用することで、人材の採用や、運営・維持のための膨大なコストをかけずとも、24時間迅速に対応してくれる顧客対応窓口を設けることができます。また、顧客の各種情報を活用することで、顧客1人1人に合わせたWEB接客も可能となります。

より人間の温かみが感じられるコミュニケーションが可能になったことで、今後、サポートデスクの業務もより自動化へ近づいていくといえそうです。

●顧客側へのメリット:「質問するまでの心理ハードルの低下と返答までの待ち時間の減少」

顧客側からすると、ちょっとした質問をしたいときに、連絡先と手順を調べ、電話を行う工程や、メールをするといった工程は、面倒と感じるものです。更に、企業側の担当者と電話やメールでやりとりする中でも、待たされる時間が一定数あることで、問合せすることに対しストレスを感じる恐れもあります。

そこで、問い合わせフォームの代わりに「チャットボット」を通して対話を行ったり、必要な情報への誘導をしたりすることで、情報を探す手間を削減、待ち時間を減少させることに繋がるのです。

チャットボットのデメリット

一方、デメリットもあります。

複雑な内容については、人工知能でも最適な回答ができないという問題もあります。
その場合には人間へ引き継ぐなどといった工夫が必要になるので、完全な無人化はまだ期待できないというのが現状です。また、AI搭載型のチャットボットは今までに蓄積されたデータを基にした情報判別をしているため、その2つの紐付けがとても大切になっていきます。

チャットボット活用のその他留意点

チャットボットを導入する際には、データとのシームレスに連携した運用方法も視野に入れて、事前に入念な検討を重ねておく必要があります。また、インターネットに不慣れな老年層への対応も考えておくことが必要です。顧客の年齢層によっては、高度で機能的設備が裏目にでることもあります。

チャットボットの日本国内での活用事例

では、さっそく今回は日本国内におけるチャットボット活用の4つの事例をご紹介します。

【埼玉県】救急相談の利便性向上と医療機関の負担軽減を実現

埼玉県では、24時間365日体制で医療機関の案内を受け付けられる救急電話相談を実施しており、年間当たり約15万件の利用があるとのことです。このような状況がある中、救急相談の利便性向上と適性診断の推進を目的として、スマートフォンから利用できる「AI救急相談自動応答システム」を導入したといいます。

チャット形式で入力された文章構造をAIが解析し、症状別のデータベースと照合。適切な対処方法を回答したり、緊急度の判定を行ったりするとしています。高度な言語解析処理の実現は、AIを活用することで実現できるメリットの一つ。このような事例が全国的に普及すれば、慢性的な医師不足に悩まされる業界の課題解決にも貢献してくはずです。

【H.I.S】サポートによる顧客満足だけでなく売上アップにも活用

H.I.SではFacebookとサポートページ内でSENSY株式会社が提供する「SENSY」を利用したチャットボット「おおじろう」を提供しており、よくある質問に対応する対話サポートの役割を担っています。このチャットボットの特徴はそれに加えて営業の役割も担っているようです。問い合わせに回答するだけでなく、学習した知識を活かして、利用者が求めていると判断した旅行の情報を提案することで売上にも貢献しています。

また、チャットボットが対応できない内容はオペレーターにスムーズに接続するシステムがあり、利用者はストレスを感じることなく利用できます。対話サポートで人員を削減し、売上アップのための接客も行い、難しい部分は人が補完する。人とチャットボットが共存し効果を高めている事例です。

【ナノ・ユニバース】事前に学習を行わせたことで自然な会話を可能に

アパレル界では非常に高い数値であるEC化率40%以上を実現していたナノ・ユニバースは、深夜帯の問い合わせにも対応できるように「SENSY」を利用したチャットボット「nano-bot」を導入しました。
利用者から愛着を持ってもらえるよう新入社員というキャラクター付けを行い、導入にあたっては蓄積した問い合わせの9割以上を学習させ、当初から自然な受け答えができる下地を作りました。導入後も学習を継続させることで接客品質を向上させており、チャットボットだけで完結する問い合わせは約70%とのことです。

ナノ・ユニバースは、問い合わせ対応で得たデータを販売戦略に活用することで、購入単価約2倍、年間購入回数約1.7倍という成果を得ました。チャットボットが行っているのは対話サポートだけですが、蓄積したデータをマーケティングに活用している事例です。

【北陸銀行】チャットボットでWebサイト上の質問に24時間365日質問に回答する

北陸銀行は北陸3県の地方銀行として初めて、ホームページに人工知能(AI)を使ったチャットボットを導入。ITリテラシーがあまり高くないユーザーの利用にも耐え得るように、表現の揺らぎもAIが修正するという仕組みです。これは、「窓口がすいている時間は?」という質問と「窓口に並ばない時間は?」という質問で同じ回答が返ってくることを意味します。

銀行というと、コールセンターの問い合わせも平日の営業時間内としているケースがほとんどですが、チャットボットの導入により、夜間でも質問への回答ができるようになりました。

チャットボットと問い合わせフォームで大きく異なるポイント

今回、チャットボットの導入事例や先進的な取り組みをご紹介しました。これらの中には、チャットボットの中でキャラクターを付けているケースが多数存在しており、元々人が担っていた問い合わせ対応や営業を行う以上、利用者が親しみやすいということは重要な要素となっていることがわかります。また、入力フォーム項目が列挙されたような煩わしさもなく、気軽でクイックにコミュニケーションできることもチャットボットの魅力の一つです。

マーケティングを行う上では「人工知能タイプ」のチャットボットが望ましいですが、対応パターンがある程度特定されているようであれば、「人工無脳タイプ」を選択することで、コストを抑えてチャットボットを導入することも可能になるでしょう。

学習型のチャットボットは、導入後も学習を続けることで品質を向上させ続けるシステムです。早い時期に導入することで市場の機先を制することができるかもしれません。

マーケティングのサプリ編集部

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