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今注目を集める「動画コマース」という新たな手法
動画コマースは、動画を視聴しながら「その動画上で」商品を購入できる、新たなECの形態です。従来型のECサイトでは、写真と説明文のみで商品の特徴を把握しなければならず、実際の質感や大きさ、デザインを把握しづらい、といったデメリットがありました。
その点、動画コマースでは、モデルやインフルエンサーが動きを加えながら商品の説明を行うため、実際の使用感や質感、角度によって異なるデザインなどを把握しやすい、という特徴があります。
イメージとしては、テレビショッピングの番組に近いかもしれません。実際に動きの中で商品を確認できるため、利用イメージが湧きやすいといった評価の声も出てきています。
動画コマース3つの特徴
動画コマースの特徴を3つにまとめると、次のようになります。
静止画よりも、よりリアルに近い情報を得ることができる
静止画の世界(2D)ではなく、動画の世界(3D)で商品を確認することができるため、より実際に近い情報を得ることができます。動きの中で視覚的に確認できることで、商品の上質さや手軽さ、その他の詳しい情報も細かに得ることができます。
よりリアルな利用シーンを想像することができる
実際の動きの中で商品を見ることで、従来は「静止画と静止画の間にあった動き」も把握できるようになり、実際に利用する場面に近い形で商品を確認することができます。例えば、インテリア用品や機械用品であれば、組み立てや起動方法なども確認することができ、購入前に抱いていた不安を解消することも可能になります。
購入やシェアなどのアクションに繋がりやすい
実際に動いている場面を見ながら購買を決めることができる他、そのままSNS上でのシェアを行うこともできるため、「自然な流れで次のアクションに繋がりやすい」といった利点が挙げられます。
TwitterやFacebookよりも、YouTubeなどで動画を見ている時のほうが気分が高揚しやすい、といった感覚をイメージすると、動画コマースがもたらす影響力を理解しやすいはずです。
動画コマースの象徴事例
海外と中心に新たなトレンドとなりつつある動画コマースですが、国内での既に始動しているサービスがいくつかあります。例えば、次のようなものが挙げられます。
フリマアプリ「メルカリ」が展開する「メルカリチャンネル」
「メルカリチャンネル」は、出品者と購入者を直接繋ぐCtoC型の動画コマースです。従来は交渉が発生することも多いメルカリですが、動画コマースを取り入れることによって、出品者は新たな商品の訴求手段を得ることができます。また、ユーザーは相手の顔を見て購買の判断を行うことができるため、これまでよりも安心感を持って買い物を行うことができる、という仕組みです。
YouTuberに特化したプロダクション「UUUM」が展開する「ムー・ドットコム」
YouTuber専門のマネジメント・プロダクションである「UUUM」も、「ムー・ドットコム」という動画コマースを開始しています。若年層向けに食品やコスメ、ファッション商材など幅広く販売しており、今後もYouTuberを基点にした新たな展開が期待されています。
ネットTV「AbemaTV」が展開する「買えるAbemaTV社」
サイバーエージェントとテレビ朝日が運営する「AbemaTV」が放映する番組名でもある「買えるAbemaTV社」。ハンバイヤー(販売員)がおすすめの商品を番組上で紹介し、その場で売る、というスタイル。「新たな通販番組」との位置づけ通り、番組の構成自体にもオリジナリティがあり、これまでにない買い物体験を生み出しています。
動画コマースに向いている商材とは?
様々なサービスが立ち上がりつつある動画コマース市場ですが、現段階では、食品からファッション、玩具まで、商材を限定せずに展開されています。動画の特性上、視点が移動できることから、今後は放映・録画場所をスタジオに限定しないケースも増えてくるのではないでしょうか。
プラットフォームの決め手は「ユーザーへの動機付け」
まだプラットフォーム型のサービスやソリューションこそ多くないものの、肝になるのはやはり「サイトや管理画面のUX」と言えるでしょう。多くの場合、コンテンツは出品者が用意することになるため、いかに簡単に動画を作ることができるかが重要になります。同時に、購入者はいかに簡単に購入できるか、という点が肝になります。
今後、動画コマースの各サービスが利用者・出品者にどのような体験をもたらすのか、一向に目が離せません。