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デジタル時代に求められるブランドコミュニケーションとは?
インターネットの発展は、情報爆発と称されるほど大量の情報流通を生み出しました。その結果、企業が消費者に情報を届けることの難易度は、日々上がり続けています。大量に広告を出せば消費者の行動変容を促せる時代は終わりを告げようとしているのです。
そんな中、各種デジタルチャネルを用いたブランドコミュニケーションが重要視されるようになりました。この手法は、ブランドサイトやSNS、タイアップ広告などを駆使したブランド訴求を広く行い、オムニチャネル型のコミュニケーションを展開するものと言えます。
かつては、「クロスチャネル」 「マルチチャネル」と呼ばれる概念のもと、チャネルごとに最適なメッセージが発信されていました。しかし、オムニチャネルが前提となっている今、消費者の行動は多様化の一途を辿っています。SNSで商品に関心を持った消費者が実店舗で買い物をすることもあれば、スタッフブログでブランドに興味を持ったユーザーがリアル・イベントに参加した後、ECサイトで商品を購入することもあるのです。
チャネルごとに行っていたマーケティングを統合的に実行しなければ、施策の効果は薄れてしまい、顧客を他社に奪われかねません。そこで求められているのが「ブランドコミュニケーション」の視点です。
ブランディングがもたらすメリット
ブランディングは、企業経営やマーケティングに数多くのメリットをもたらします。今回ご紹介するのは、そのうち代表的な3つです。
機能面・価格面の競争に巻き込まれない
ブランディングが成功し、顧客に支持されるブランドが確立できると、他社・競合商品と比較されづらくなります。それはすなわち、他社商品と機能・価格を比較軸した競争に巻き込まれづらくなることを意味します。
マーケティングコストが下がる
他社商品と比較されづらくなることは、マーケティングにかかる金銭コスト・人的コストを最小化することに繋がります。
顧客のLTV向上を実現しやすい
顧客にとって唯一無二のポジショニングを獲得することで、長期的な関係性を築くことが可能になり、顧客生涯価値が向上します。
このように、ブランディングには多くのメリットが存在する一方で、マーケティングと混同されてしまうことも多々あります。
マーケティングとブランディングの関係性
ブランディングは、消費者に対して「自社と他社の商品を明確に違う」ということを認識してもらうための行為、さらに言えば「他社と比較されない状態をつくること」です。一方で、マーケティングは「認知から購入までのプロセス」や「リピーターを生み出すためのサイクル」を指しており、そもそもの概念が異なっていることがわかります。優れたマーケティングを実践した結果として「ブランドの確立」が実現されるものであるため、これらの概念を別々のものとして捉えた上で施策検討を行うことは極めて重要です。
これらの前提を踏まえた上で、ブランド価値を高めるために有効な施策をご紹介します。
ブランド価値を高めるために行うべき施策5選
広報・PR
いわゆる「戦略PR」と呼ばれることの多い手法。テレビ・雑誌・Webメディアなど、視聴者・読者にとって価値ある情報を届ける「メディア視点」での文脈に沿って、自社ブランドのメッセージを届ける手法です。
ブランディングサイト構築
ブランディングサイトとは、ブランド・アイデンティティ(ブランドのビジョンや世界観、コンセプトなど)をユーザーに伝えるためのWebサイトです。サイトの要素をブランドメッセージやビジュアルイメージに絞り、ブランドイメージの確立を目指すために有効な施策です。近年は、キャラクターやマンガを用いたブランディングも増えています。
タイアップ(メディアタイアップ・著名人タイアップ)
タイアップ広告、記事広告と呼ばれる手法で各メディアの世界観に沿って読者とのコミュニケーションを図る手法です。メディアのアイデンティティや編集力を借りる形でブランディングを行えるため、自社ブランドとの相乗効果を発揮できれば高い効果が望めます。
SNSマーケティング
SNSで支持・拡散されるコンテンツを発信することで、顧客にとってより親しみやすいブランド・アイデンティティの確立を狙う手法です。TwitterやInstagramなどを利用するユーザーのコメントが付加されて情報が拡散されていくため、アンコントローラブル(制御が困難)な側面もあります。綿密な戦略とユーザーとの十分なコミュニケーションが求められる手法です。
企業出版・書籍発行
企業出版は、書籍の出版を通じて読者からの信頼獲得を狙う手法です。そのハードルは決して低いものではありませんが、近年は電子書籍の発行や、在庫を持たずに行えるオンデマンド出版など、実現手段も多様化しています。
施策の精度を高めるために行うべきこと
ブランドに関する定義や施策には様々なものがありますが、1つ間違いなく言えることは「消費者や顧客の期待を120%超える価値」が確立されていない状態では、効果的な施策の実施はままならないということです。
消費者が自社の商品に「特別感」を抱いてくれたとしても、実際に商品を購入した後に不満や不便さ、不足感を感じさせてしまうようでは、高い評価に繋がることはなく、再購入にも繋がらないでしょう。もしもあなたの会社のブランドが「商品の実態価値」を大きく下回っているようであれば、どんなに優れたブランドコミュニケーションを行ったとしても、やがてしわ寄せがきます。
デジタルコミュニケーションでも現実世界のコミュニケーションでも、ブランドを築くための原則論は変わりません。顧客の信頼を醸成し、それを最大化・長期維持できるように、デジタルチャネルを駆使したコミュニケーションを追求していきましょう。