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ブランディングの成功事例から見る!他社に差をつけるブランド戦略法

商品スペックやサービス内容では競合他社との差別化が難しいと言われている昨今。「商品のブランド力を高めたい」「ロイヤルカスタマーを獲得し、確固たる市場競争力を手に入れたい」と考える企業は少なくないはずです。

このような課題を解決する手法が、他社との圧倒的な差別化を実現する「ブランド戦略」です。しかし、一言に「ブランド」といっても、その抽象度は極めて高く、決して簡単に実現できるものでもありません。では、ブランド戦略を実践する企業は、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?

今回は、ブランディングの成功事例を通して、その背景にある戦略や戦術について見ていきましょう。

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目次

  1. 競争優位性を高めるブランディングとは?

  2. ブランド戦略を実践する前に知っておきたいこと

    1. ブランディングとマーケティングは「視点」が異なる

    2. ブランディングはコモディティを回避し「指名買い」されるための取り組み

  3. ブランディング成功事例3選

    1. ①ユニクロのインナーブランド「ヒートテック」

    2. ②世界観で選ばれ続けている「スターバックスコーヒー」

    3. ③自社の認知を再定義した「IBM」

  4. ブランド力がうまく機能しなかったケース

  5. 成功するブランド戦略の共通点

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競争優位性を高めるブランディングとは?

そもそも「ブランディング」とは、どのような取り組みのことを指すのでしょうか?一つは、ある商品やサービスに対して「認知度」を高めることです。その上で、「商品Aといえば●●」と連想される状態にまで至ることを「ブランド想起」と呼びます。

このように「ブランド認知」から「ブランド想起」にまで発展させる一連のプロセスがブランディングです。その過程では、CMや広告を流したり、SNS上での評判を向上させたり、業界のシェアを拡大させたりするなど、様々な施策の実施が求められていきます。

まずは、ブランディングに取り組む前に、基本的なポイントを押さえておきましょう。

ブランド戦略を実践する前に知っておきたいこと

ブランディングとマーケティングは「視点」が異なる

「ブランディング」とよく比較される用語が「マーケティング」です。この違いの一つは「視点」にあります。ブランドは「消費者の心に描かれるもの」と例えられることがありますが、ここでは主語が「消費者」であることに注目しましょう。一方で、マーケティングの主語は、常に「企業」です。だからこそ、マーケティングには「ターゲティング」という用語が頻出しますが、ブランディングの文脈ではこの視点とは正反対にあることに注意しましょう。

ブランディングはコモディティを回避し「指名買い」されるための取り組み

マーケティングでは競合他社との比較を通じて、自社にしかない優位性を明らかにします。ここでは、前提として「買い手から比べられる」というシーンを想定しています。しかし、ブランディングが目指す姿は「指名される状態」です。つまり、ブランドは買い手にとって唯一無二の存在を目指すプロセスと表現できます。

上記はブランド戦略を考える上で必要な視点の一部にすぎませんが、おぼろげにでもブランド戦略の輪郭を捉えてもらえればと思います。続いて、ブランド戦略に成功事例をいくつか見ていきましょう。

ブランディング成功事例3選

①ユニクロのインナーブランド「ヒートテック」

2017年、累計売上が10億枚を突破した「ヒートテック」。単純計算で、日本国民1人当たり約8枚買っている、という規模の数字です。今でこそ様々な類似商品が発売されていますが、発売から15年という時を経て人々に選ばれ続けていることからも、当商品が「ユニクロ」という企業名と同様に、肌着のブランドとして成り立っていることが見て取れます。

この成功の秘訣はどこにあるのでしょうか?一つの要因として挙げられているのは「流行に流されず、普遍的な定番商品を追求し続けた」ということ。同社の大苫直樹取締役が記者会見で「大半の方がリピーターであり、新しいモノが欲しいというニーズが高い」と述べていたように、スタンダードかつ高品質な商品でリピーターの心を捉え続けている点が、ブランド確立のポイントといえそうです。

②世界観で選ばれ続けている「スターバックスコーヒー」

他のコーヒーショップよりも高単価でありながら、今も多くの消費者を魅了し続けているスターバックスコーヒー。その人気の所以は、ショップ店員から店舗のデザインに至るまで一貫された「世界観」としてある「スタバらしさ」です。

特に、同社は自社の社員に対して行う「インナーブランディング」に注力しており、この活動がサービス品質の向上・離職率の低下、さらには企業イメージの向上までも実現しているのです。「顧客に選ばれ続けたいのならば、まずは社員から」という視点は、他の領域にも応用できそうです。

③自社の認知を再定義した「IBM」

3つ目にご紹介するのは、BtoB領域の事例です。「コグニティブ・コンピューティング」という新たなコンセプトを掲げ、交通広告からアド・ネットワークまで、新たな認知拡大を図っているのは、IT業界の巨人「IBM」。同社の定義する「コグニティブ・コンピューティング」とは、人間の意思決定を支援する ”自然なコミュニケーション” を実現する仕組みのこと。この定義は人工知能(AI)とは似て非なるとされており、AI活用を強調する他社とは明確な違いを押し出すブランディング活動の一環と言えそうです。

この理論に基づいて開発された「Watson」の売れ行きはまだまだこれからと言えそうですが、この仕組みが搭載されたヒューマノイドロボット「Pepper」の認知度の高さから見ると、まだまだこれからが期待できると言えるでしょう。

ブランド力がうまく機能しなかったケース

成功事例が存在する一方で、ブランド力がうまく発揮できず失敗に終わったケースも多々存在します。例えば、ソニーの最高級ブランドシリーズ「QUALIA(クオリア)」。圧倒的な高品質を強みとして、液晶テレビ・カラーモニタ・MDプレーヤーなど様々な商品を展開していきました。中には単価が100万円を超えるものもあり、大きな話題になりました。

しかし、問題はその中身。「とにかく人の心を感動させる」というコンセプトは支持されたものの、生み出されたプロダクトはどれも作り手目線のものばかり。「ソニーのウォークマン」にあったような消費者が求める体験を生み出すものではありませんでした。

「新しいムーブメントを作る」という志が、社内ではいつのまにか「高級ブランド」へと変わっていってしまったのです。この事例は、自社のブランドに求められる価値を見極め、きちんと定義・共有することの大切さが感じられるものでした。

成功するブランド戦略の共通点

ブランド戦略の構成要素は多岐にわたります。しかし、どの事例も「顧客に求められる価値を自社で適切に解釈し、明確に再定義している」という点は共通しています。

「ブランド戦略」は、消費者やユーザーからの期待を肌で感じ、消費者目線を追求した先にあるものを捉えるプロセスを意味します。作り手の都合に捉われず、社内外の様々な視点を取り入れながら、いかに自社商品を多面的にとらえられるかが、ブランド戦略を成功に導く鍵といえるでしょう。

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