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ARRRA(アーラ)モデルから考えるアプリ活性化施策
グロースハックをご存知の方であれば、アプリを活性化させるためには「AARRR(アー) モデルが有効」と答えるでしょう。
しかし近年は、ユーザーの体験価値を重視した 「ARRRA(アーラ)」モデルなるものがマーケターの間で広まりつつあります。
このフレームは次の要素から構成されています。
A:Activation(利用開始)
R:Retention(継続)
R:Referral(紹介)
R:Revenue(収益化)
A:Acquisition(獲得)
順を追って一つずつ見ていきましょう。
利用開始(Activation)段階では「サービス価値」を確認
まず始めに行うことは「そもそも、私たちが解決しようとしている課題を抱えている顧客はいるのか?」という根本的な問いに対する検証です。このプロセスを 「PSF:Problem Solution Fit」 と言い、そのサービスの価値を確認するための施策を行います。
具体的には、次のようなアクションが挙げられます。
●「β版アプリ」を先行リリースし、ユーザーの利用状況を確認する
●商品サービスの「ティザー動画」を公開し、ユーザーの反応を確かめる
この段階ではまだ全てのサービスを提供していないため、ユーザーの心の中には「このアプリは面白い(かもしれない!)」「このアプリならば、自分が困っていることを解決できる(かもしれない!)」という期待を含めた評価がなされるはずです。後のプロセスでは、ここで得られた期待を裏切ることなく、継続的に価値を提供していくことが大切です。
ここで確認できる反響やユーザーの行動を見て、手ごたえが感じられた場合には、次のステップへと進んでいきましょう。
継続(Retention)では「繰り返し」使ってもらう
続いて、継続を示す「リテンション(Retention)」で行うべき施策です。この言葉は言い換えると ”顧客維持” ですが、
「ほとんどのアプリはインストールして1日で71%のユーザーを失う」というくらい、継続利用を維持してもらうことは困難を伴います。
この重要なステップでは、次のような施策が考えられます。
●「商品購入に使えるポイント」をユーザーがアプリにログインするたびに付与する(例:1日1回が上限)
●ゲームをプレイすることで、アプリ内の通貨(コイン)が入手できる
毎日決まった時間や似たようなタイミングでアプリが開かれるようになれば理想的です。その状態が実現すれば、ユーザーはアプリ利用を習慣化させていると判断できます。
紹介(Referral)段階ではユーザーがシェアしたくなるオファーを
ユーザーに繰り返しアプリを使ってもらえるようになった次のステップでは 「紹介(Referral)」 に関する施策を実施します。
既存ユーザーが新規ユーザーにサービスを紹介し(=口コミの発生)、誘導してきてくれることを「紹介(Referral)」と呼びます。SNSが普及した現代、より多くの人にアプリを使ってもらうためには、口コミの活用は必要不可欠です。そこで、
このステップではもう一歩踏み込んで、次のような施策を実施します。
●新規ユーザーを紹介してくれたユーザー(紹介者)に「特典サービス」をプレゼント
●witterやFacebookでコンテンツをシェアしてくれたユーザーに「有償サービスを無償で提供」
この段階では、ユーザーが喜ぶオファーを真剣に考え、何らかのインセンティブを惜しみなく与えることが鍵になります。
収益化(Revenue)はタイミングの見極めが重要
既存ユーザーの継続に加えて、新規ユーザーの利用が十分に増えてきた段階から、課金に踏み切ります。ここでの課金は、必ずしも大きな利益を得ることを目的としているわけではありません。場合によっては、アップセル・クロスセルを目的とした商品ラインナップを揃えて、最適なタイミングで次のようなオファーを出す必要があります。
●2回目の購入ではクーポンを使ってもらい、「クロスセルによる売上確保」を図る
●アップセルを狙うために、料金表に「上位の価格プラン」を用意する
ユーザーのLTVを踏まえた上で、長期的な視点で収益最大化するためのプランを模索していきましょう。
獲得(Acquisition)段階ではPSFを再検証しよう
収益化に成功した次の段階では、真の意味でのユーザー獲得を目指します。すなわち、定期課金を行うユーザーや「ロイヤルカスタマー」と呼ばれるユーザーの獲得を意味します。
この段階でユーザーを獲得できるかどうかは、利用開始段階でユーザーが抱いた期待に応えられているかどうかが肝です。
一方で、「PSF:Problem Solution Fit」の状態を作れていないようであれば、アプリが提供する価値自体を再検討・再定義する必要があります。
「KPIへの意味付け」がマーケティング成果を最大化する
各ステップで行う施策とその検証は、KPI(成果指標)に基づいて評価します。アプリの活性化が実現しない場合、その多くは、「PSF」が実現していないか、KPIの定義が不十分か、そもそもKPIの達成に至るまでの最適なアクションができていない、という点に起因します。そして、「KPIの定義が不十分」という点については、十分に意味付けをできていないケースが大半でしょう。
「そのKPIがどんな意味を持つのか」「アプリの活性化を目指すうえでそのKPIが有効なのか」。面倒であってもこれらの問いから逃げずに議論を重ね、グロースハックのフレームを活用していくことが、アプリの活性化を目指す一番の近道となります。