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カスタマーエクスペリエンス

品質・価格よりも購入プロセスを重視、顧客経験価値がビジネスを成功に導く

商品/サービスを購入した顧客に対し、商品/サービスそのものの品質や価格だけでなく、購入に至るプロセスも含めて満足してもらうための取り組みを「カスタマーエクスペリエンス(CX)」という。

購入プロセスの“経験”を重視し始めた消費者

 購入プロセスにおける体験、あるいは商品/サービスの利用経験を通じて得た満足感といった心理的・感覚的な価値は、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」と呼ばれる。日本語では「顧客経験価値」と訳されることが多い。

 “モノの豊かさ”よりも“精神的な豊かさ”を重視する成熟社会となった現在、消費者の志向も「モノよりコト」へと変化している。すなわちモノを所有することよりも、体験・経験を重視するようになりつつあるのだ。例えば「車を所有するためにお金を使うよりも、旅行に行くためにお金を使い、車は必要なときだけレンタカーを借りる」といった消費行動へとシフトし始めている。

 こうした時代、企業努力によって高品質・低価格な商品/サービスを開発しても、必ずしもビジネスの成功に結び付くとは限らない。商品/サービスの品質は、ヒットすればすぐにコモディティ化するので差別化を図ることが難しい。さらに価格競争にも限界がある。

 どこで商品/サービスを購入しても品質や価格に違いがないのなら、消費者は何を基準に選ぶのか。それは、購入に至るまでのプロセスである。このプロセスにおける体験・経験は、ときに品質・価格よりも重視されることがある。

 店員が無愛想な店よりも親切丁寧で親身になってもてなしてくれる店で買いたいと思うのは自然な消費者心理だ。企業は製品/サービスを提供するのでなく、ユーザーがそれを使ったときに得られる経験や満足を提供する時代になりつつあるともいえる。

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