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  2. 高密度なエリアマーケティングを展開するUSENの新規開業店舗の成約数110%UPを支えた脅威のSFAとは

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広範なエリアに潜在する新規顧客とのエンゲージメント(つながり)を強めるためには、高精度な顧客情報を組織内で共有して、最善のアプローチを図ることが求められる。地図情報に紐づいた顧客情報をリアルタイムに共有するビジネスクラウド「cyzen」を活用して、新規開業店舗の成約数110%UPを実現した株式会社USEN事業推進統括部 統括部長の貴舩靖彦氏と同営業サポート部 部長の片岡真一氏に、エリアマーケティングの売上を向上する秘訣を伺った。

全国規模で展開される新規顧客開拓営業を支えるもの

かつて日本全国に有線放送ネットワークを構築した株式会社USENは、現在日本最大のシェアを誇る業務用BGMサービスを中心に、インターネット接続サービスやWi-FiスポットなどのICTインフラ、POSレジなどの業務用システムや集客支援サイトなど、業務店運営を支える多彩なサービスを提供している。

全国にチェーン展開する大手企業に対しては法人営業部が対応し、個人経営のリテール店舗に向けては日本全国に展開する約150の支店が各地域市場の特性とニーズを踏まえて的確なワンストップ・サービスを実現する中で、“店舗を構えるお客様の声に耳を傾け、抱える課題を解決する”というUSENの企業使命から考えると、営業活動の改善点は顕在化していたと片岡氏は語る。

「各支店の営業スタッフはそれぞれ担当エリアを振り分けられますが、キャンペーンの際には繁華街に集中して人員が投入される場合もあり、同じお客様に複数の人間が訪問してしまう事態が発生しがちでした。こうした場合、お客様の手を煩わすことになりますので、営業サイドでもそれぞれの顧客情報を共有することの必要性を強く認識していました」

事業推進統括部にて全国の支店営業のサポートを統括する貴舩氏も「そうした顧客情報は各支店で独自の管理を行っていたため、本社で掌握できるのは報告される数値結果のみとなり、エリアごとに最適化された指示を出すことができませんでした」と述懐する。日本全国で均質化されたエリアマーケティングの展開を目指す事業推進統括部にとって、各支店の営業活動の進捗状況を可視化するSFA(営業支援システム)の導入は必然の課題とされていた。

位置情報に特化したSFAだから実現できること

そこで事業推進統括部では、自社の基幹業務システムとも柔軟に連携できるSFAの導入を検討。各営業担当者が随時携行するiPhoneもしくはiPadに正確な地図情報を表示し、それに紐づけた営業進捗状況をリアルタイムに報告できるビジネスクラウド「cyzen」を選定するに至った。

「各営業スタッフは、エリア内に存在する膨大な店舗の中から新規に開業した店舗を発見し、アプローチを図ることがメインの業務となります。その場合エリア内のどのテナントが空室になったかなど、店舗位置情報と紐づけて営業進捗状況を可視化していく必要がありますので、文字情報ではなく位置情報をベースに機能を構成するSFAであったことが選定の決め手となりました」(片岡氏)

redfox社が提供するビジネスクラウド「cyzen」は、端末に表示される地図上に顧客情報をマッピングすることで、視覚的に顧客情報を可視化する。商談の進捗状況や顧客の属性に応じて独自にスポットタグ(アイコン)を設定し、地図上に表示することもできるため、膨大な量となるリテール店舗への営業進捗状況をグラフィックに可視化し、営業担当者-支店-本社統括部の間のリアルタイムな情報共有を促進していく。

ただし、このスポットタグ情報は各営業担当者の日々の報告操作により更新されていくため、日本全国の支店の営業担当者が「cyzen」を使いこなしていくことが、精度の高い情報を共有する前提条件となる。そのために、常に営業現場からの改善要望を反映しながら、より使いやすいシステムへのバージョンアップを行っているという。

組織内の情報共有がエリアマーケティングの生産性を高める

こうして各営業担当者の「cyzen」活用が定着することにより、各エリア内の顧客情報の高精度化と可視化が促され、日本全国で展開するエリアマーケティングの生産性は飛躍的な成果を示し始める。

「地図上のスポットタグの変化により、営業担当者だけでなく支店の上長も本社も営業の進捗状況をリアルタイムに確認できるようになりました。これにより1件1件の顧客情報に基づいて現場は的確な営業活動が行えますし、管理サイドでは具体的かつ戦略的な指示を出すことができます。結果として新規に開業される店舗を発見できる割合は前年比で120%増加し、そのお客様に対しての成約数も110%伸びています」(貴舩氏)

飲食店、小売、理美容だけでも全国に300万規模のリテール店舗が存在する中で、各エリアの地域市場特性をとらえて個別集中的な営業活動を展開するUSENにとって、位置情報とリンクさせた顧客情報の集約は、高密度なエリアマーケティングを展開するためのナビゲーターの役割を果たす。

「cyzen」により組織内の情報共有が図れたことで他の部署からのフォローも得られやすくなり、営業担当者が提案した商材が失注した際には、より適切な商材をお客様に提案することができるようになりました。当社の営業ならば担当するエリア内の繁華街、ビルの中のテナント、さらにはその店舗の業態から運営形態までの詳細な顧客情報を収集することができますので、より精度の高いマッピング情報を完成させて“お客様の抱える課題に応えるUSEN”を実現していきたいと考えます」(片岡氏)

高次元なマッピング情報がUSENの進化への挑戦を支える

高精度な顧客情報の共有による組織の連携強化は、顧客に提供する付加価値を高め、より深い信頼関係を紡いでいく。事業推進統括部でも、現在は新規顧客開拓のみに適用する「cyzen」の活用範囲を広げ、既存顧客も含めて全社的に顧客満足度向上を目指す仕組みの構築を予定している。

「これから2020年の東京オリンピックに向けて、新規に店舗を開業されるお客様が増えていくものと思われます。当社は現在“音楽放送の会社”から“音楽放送も扱う会社”への飛躍を目指し、お客様の課題に応える新規商材・サービスの開発を活発化していますので、高次元なマッピング情報を活かしてお客様と成長を共有していきたいと考えます」(貴舩氏)

地図情報の進化とともに企業と顧客とのエンゲージメントを強化するビジネスクラウド「cyzen」が、時代の変化を捉えて進化し続けるUSENの挑戦を力強く支えていく。

Professional Profile

株式会社USEN
事業推進統括部長 兼 地区営業副統括部長 兼 海外事業推進部長
貴舩 靖彦(きふね やすひこ)

1995年、同社に入社。2004年に西新宿統括支店長、2006年に首都圏営業部長を経て翌年の2007年には西関東支社長を歴任。

2014年には、中国事業推進室長として海外事業展開に携わり、2016年9月より現任。

Professional Profile

株式会社USEN
事業推進統括部 営業サポート部長
片岡 真一(かたおか しんいち)

1999年、同社に入社。2006年に神戸第二支店長、2012年に新宿支店長 兼 新宿営業課長を歴任。

2014年には、中国地区営業部、2016年9月より現任。