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いまや国内で月間3,500万アクティブユーザーを誇るコミュニケーションプラットフォーム「Twitter」。利用者の拡大とともに、集客などビジネスに活用することは当然になったものの、日本では経営者自らが活用するケースは少ないようだ。しかし経営者がTwitterを利用する価値は低くない。そこで、4万人を超えるTwitterのフォロワーを持つライフネット生命 代表取締役会長 出口治明氏とTwitter Japan代表取締役 笹本裕氏にその価値や魅力について語っていただいた。
経営者である出口氏が「Twitter」を始めたきっかけは?
笹本: まずはTwitterを始められた経緯を教えていただけますでしょうか?
出口: 開業して3年たった頃、20歳代の社員にやるように言われたのがきっかけです。しかし、最初は説明を受けて「なぜそんなことをしなければいけないのか?」と答えました。するとその社員が「出口さんは日頃からライフネットは小さい会社だから、大きい保険会社にはできないことを考えるようにと僕らに言っています。調べたところ保険会社の経営者でTwitterをやっている人はいないのでやるべきではないでしょうか?」と言う。筋が通っているので「分かった」と。
笹本: 最初、ルールなど決めていましたか?
出口: 話を聞いた時は既にアカウント登録がされていて、僕がツイートするだけになっていたのですが、その時に受けた指示は「最低1日5回はツイートしてください」ということだけ。あとは、フォローしてくれた人にはできるだけフォロー返しをするようにしたくらいです。「一期一会」を大切にすることは僕の信条の1つですが、これも同じだと思って――。
笹本: ツイートを拝見させていただくと、そんな出口さんの人柄がよく反映されているように感じます。さて、話は少し変わりますが、Twitterを使っていてよかったなとお感じになることはどのようなことでしょうか?
出口: やはりファンの方と言いますか、支持してくださる方が増えたことでしょうか。また僕は大の歴史好きですが、ある時、母校の京大で歴史をテーマにした講演をすることになり、そのことをツイートしたらフォロワーの方々が「私も聞きたい」と言ってくれて、さらに事務局をやるという人が出てきた。そして人が集まって講演することになったのです。この講演会は今も継続していて、Twitterなどで募集を行っているのですが、それを出版社の方が見て参加され、歴史の本を出すことにもなりました。このようなTwitterによる情報の広がり方はすごいなと思っています。
Twitterが醸成する生保会社にとっての価値とは?
笹本: SNSは、思いもよらない出会いがあって、またそれが広がっていくというところが特徴ですが、まさにそれを体現されているお話です。中でもTwitterはつながっていない人でも閲覧できるので広がるスピードが速い。それ故、消費財のマーケティングには非常に向いていると言われています。一方で、生命保険というのは非常に検討期間が長い高関与商材ですが、そこに対するTwitterの価値というのはどのようなことが考えられますか?
出口: 僕も時々欲が出て、Twitterで会社のサービスや保険商品を大々的に紹介したくなる。ところがそれをやっても反応
はあまり良くないですね。それよりも、素直にこういう人間が経営していますということだったり、こういう会社ですということを、Twitterを通じて、見える化していくことで「いい会社だな」と思っていただけたらよいと考えています。ですので、Twitterは公私使い分けず、普段思っていることを飾らずにそのままツイートしています。特に生命保険は、形が見えない商品ですから、会社を信頼してもらうことがとても重要です。その点ではTwitterによるコミュニケーションは大きな価値があると考えています。
笹本: 確かにその通りですね。おそらく本名だろうが、匿名だろうが、アカウントというのは1つの人格なんですよね。だからこそ、そこにファンがついていくのだと思います。そして、そういう部分が会社の経営価値につながることを理解している米国の経営者はTwitterで一般に向けて積極的に自己表現をしています。しかし、日本の場合はそこにハードルがあるような感じがあります。
出口: それは習慣の問題だと思います。サラリーマン時代に海外赴任を経験しましたが、あちらのトップは例えば自分で車
を運転して1人で移動します。一方で、日本では常にお付きがいる。日本ではトップは厳重に守られているという商売のスタイルがあるわけです。そういう部分が影響しているような気がします。自由に発言することが難しい雰囲気があると。しかし、グローバル化が進む現在、そういうスタイルも変革しなければいけない時期に来ているような気がします。
笹本: また、例えば大企業になればなるほど、新入社員が現役の社長の話を直接聞いて、その人となりを理解する機会はほとんどないと思いますが、社内に向けたメッセージ発信ということにも活用できるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか?
出口: おっしゃるように、外向きだけでなく、たくさんの人をマネージするリーダーがメッセージを内向けに発信するのにもよいツールだと思います。また、人のツイートを過去に遡っていくつか読んでいくと、なんとなく「この人はこういう風な人だな」ということが分かりますよね。そうすると「この人はおそらくこういう発想でモノを考えるだろう」ということが分かる。そういうことをマーケティングに活用できるとは思います。Twitterは皆さんが本当に気楽にツイートされているので、より素顔が見えやすいですよね。
笹本: その点でTwitterの匿名でも結構ですという部分は有効だと考えています。
出口氏はTwitterを使ってみてはじめて自分流の使い方や要領がわかるという。また同氏は、継続的に使うことでお面白さが生まれるため、その価値を実感し大きな期待を寄せていることがお分かりいただけただろうか?
企業価値を高めたいと考えている経営者やリーダーは早速の活用をおすすめしたい。
Professional Profile
ライフネット生命保険株式会社
代表取締役会長
出口 治明(でぐち はるあき)@p_hal
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年6月より現職。
主な著書に、「生命保険入門 新版」(岩波書店)、「直球勝負の会社」(ダイヤモンド社)、「生命保険とのつき合い方」(岩波新書)、「『働き方』の教科書」(新潮社)、「人生を面白くする 本物の教養」(幻冬舎新書)、「働く君に伝えたい「お金」の教養」(ポプラ社)、「日本の未来を考えよう」(クロスメディア・パブリッシング)、「「全世界史」講義Ⅰ・Ⅱ」(新潮社)など。
生年月日:1948年4月18日(68歳)
出身:三重県 美杉村(現・津市)
学歴:京都大学法学部(専攻:憲法)1972年卒
Professional Profile
Twitter Japan 株式会社
代表取締役
笹本裕(ささもと ゆう)@yusasamoto
2014 年2月、日本法人代表取締役として就任。それ以前は 2007 年よりマイクロソフト株式会社にて常務執行役員、オンラインサービス事業部ジェネラルマネジャー、アジア太平洋地域統括責任者を務めた。また、MTV ジャパン株式会社で代表取締役社長兼 CEO、株式会社クリエイティブ・リンクの設立者および COO などの経歴を持つ。タイのバンコク生まれ。獨協大学法学部卒、ニューヨーク大学経営修士。
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