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デジタル化する世界で勝ち抜くために~デジタル・トランスフォーメーションにおけるマーケティングのミッション~

ますますデジタル化が進んでいく環境において、顧客に良質のエクスペリエンスを提供し、その期待に応えていくためには、マーケティングを軸にしたビジネスモデルやプロセスの変革が必要だ。では「デジタル・トランスフォーメーション」と呼ばれるこのような変革を、企業はどのように実現していけばよいのだろうか?

自社内だけでデジタル変革を実現するのは困難?

「日本企業がマーケティングにおけるデジタル・トランスフォーメーション(デジタル変革)を実現する場合に4つの課題に直面しがち」と指摘するのは、アクセンチュア・インタラクティブの槇 隆広氏。
 その課題の1つ目は「自社における“デジタル化”が具体的に何を表すかが明確に定義できていない」こと。「一口にデジタル化といっても、企業によって実現することやその実現方法は異なります。そのため、まず戦略・属するマーケット・提供すべき顧客体験、および現状を踏まえた変革テーマとアジェンダを定義する必要があるのですが、従来の業務プロセス改善とは異なり、顧客のニーズや課題を発見・整理することは、ヒアリングだけでは十分でないため、進むべき方向性や打ち手を捉えにくい」からだという。2つ目が「マーケティングやそのデジタル化に対する経営層の理解が十分に得られておらず、トップマネジメントレベルでマーケティング戦略の立案と実行に責任を持つCMOが存在せず、全社的な取り組みになっていない」ことだ。3つ目は組織に関するもので「マーケティング部門が、営業、特定の事業部門、または広報・宣伝の一部として組織されていて、横断的にマーケティングをやっている部門がない」という問題。そして4つ目は「顧客像を的確に捉え、部門を横断して変革を推進するスキルを持った人材が不足している」ことだ。
 いずれも根本的な問題だが、これを「自社内で解決することは困難」だと槇氏は断言する。また現在のデジタル化のスピードを考慮すると、「目の前の状況だけにフォーカスせず、少し先を読みながら迅速かつスムーズに改革を行わないと、実行時にはそのコンセプト、サービス、仕組みがすでに時代遅れ」ということもあり得るだろう。
 そのような状況の中、デジタル変革を実現しようとする数多くの企業から注目されているのが、槇氏がマネジング・ディレクターを務める「アクセンチュア・インタラクティブ」のサービスだ。アクセンチュア・インタラクティブでは、エクスペリエンスデザイン、サービスデザインの手法を用いて顧客体験を定義し、マーケティング、コンテンツ、コマースに関する具体的な施策に落とし込む。またそれらの実行において、「構想策定、実行計画立案から、トランスフォーメーション実行と運用の継続的な改善による効果の最大化までEndto-Endでサービスを提供する」のだ。もちろん、アクセンチュアがこれまで手がけてきたシステム構築のノウハウを生かし、フロント系システムの構築から基幹系などのバックエンドシステムとの統合もお手の物である。つまり、デジタル化という抽象的なコンセプトに対して、自社で取り組むべき具体的な施策、テーマを定義するためのコンサルティングから、実行および効果の最大化までをワン・ストップで依頼できるというわけだ。
 また、従来からある業務委託契約に加え、事業運営のパートナーとして価値創出に取り組む成果報酬型の契約を行うケースも増えつつある。このような契約方式により、リスクの共有や初期投資の軽減を実現することも可能になっている。

マーケティング部門のあり方をこれまでとは変えるべき

 さて、グローバルマーケットでビジネスを展開している、ある日本企業では、デジタル活用が進む欧米の事業会社からの要望をきっかけに「アクセンチュア・インタラクティブ」の支援を受けながらデジタル変革を行った。
 具体的には「各地のマーケティングマネージャを本社に招集してワークショップを開催し、海外のマーケティング事情と現地担当者の要望を理解し、ディスカッションで出た意見を基に3年間のロードマップを作成。そして、1年目のテーマを”仕組み作り”と設定し、業務プロセスの見直し、グローバルで使えるシステムの導入、本社マーケティング部門の新設とグローバル横断のバーチャルチームの設置を行いました。世界各地の文化や商習慣に合うように業務プロセス、ガバナンスモデル、役割分担を整理」した。この結果、各地でWebを起点にした新規案件の獲得が加速。さらに商習慣や営業手法の違いからデジタル化の恩恵をそれほど期待していなかった日本国内でも同様の成果が出ているという。
「マーケティングの仕事は明日の売り上げを作ることで、その役割は単に販促、宣伝という限定的な機能を担うことではありません。そのために、今ある製品のブランドイメージをどう創り上げるか、どこに持っていったら売れるか、どんなサービスを付け加えたらもっと売り上げが上がるか、顧客との関係をどうやって強固にするかを考えなければならないのです」と槇氏。そして、デジタル化が進む環境において、それを実現するためにはデジタル・テクノロジーやデータの活用が必要不可欠なのだ。また、それに伴うプロセスや組織の変革とともに、それらの活動を担うマーケティング部門は、多様化するデジタルチャネルや高度化するテクノロジーへの対応はもちろん、部門を横断して戦略を練り上げることなどが求められる。
 また、現在、海外のマーケットで苦戦している日本企業は多いが、「マーケティングが期待される役割をカバーできていないことがその要因の1つ」だと槇氏は指摘する。つまり、年々競争が激化するグローバルマーケットで日本企業が戦っていくために必要なのが「マーケティング力の強化とデジタル変革の実現により競争力を高めていくこと」にほかならない。
 とはいえ一足飛びにそれを実現することは不可能である。言うなれば、アクセンチュア・インタラクティブはこれらの役割を、水先案内人として、ときにはマーケティング部門とタッグを組んで、変革推進の手助けをするパートナーなのである。

Professional Profile

アクセンチュア株式会社
デジタルコンサルティング本部 アクセンチュアインタラクティブ マネジングディレクター
槇 隆広(まき たかひろ)

1975年生まれ。法政大学経営学部卒。
大学卒業後、日系の独立系システムインテグレータを経て、2005年にアクセンチュアに入社。
大規模基幹システムの構築、デジタルマーケティング・営業領域のシステム企画・導入に携わったのち、2014年3月の新組織立ち上げに伴ってAccenture Digitalに異動。
コンシューマビジネスからハイテク企業におよぶ幅広い業界において、デジタル化戦略立案から、プロセス変革や組織改革を含むトランスフォーメーションの計画・実行、およびデジタルプラットフォームのシステム化計画・構築まで、多数のプロジェクトに従事している。

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