「シニア層に向けてマーケティングを実施したいが、どのような手法をとるべきか迷っている」
「シニアマーケティングで成功した他社事例を知りたい」
そのような悩みを持っていませんか?
シニア層の市場は年々拡大しており、多くの企業がこの高齢者向けにサービスを展開しています。
特に日本では、高齢化が進む中で、シニア層の消費力が注目されていますが、シニア層は一括りにできない多様なニーズを持っており、企業は適切なアプローチを見つけることに苦労しています。そのため、効果的なシニアマーケティングを実施するためには、シニア層に向けてマーケティングを実施する際に、どのような点に着目すべきか理解することが大切です。
「シニアマーケティング」とは?
シニアマーケティングとは、一般的に高齢者層(65歳以上)をターゲットにしたマーケティング戦略を指します。この年齢層は、購買力が高く、ライフスタイルの変化に伴い、様々な商品やサービスに対して新たなニーズを持っています。企業がこのセグメントに対して効果的にアプローチするためには、単なる高齢者向けの商品提供だけでなく、価値観や行動の理解が不可欠です。
シニアマーケットの市場規模
日本は世界でもトップクラスの高齢化社会となっており、ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には34.8%、2045年には36.3%になると見込まれています。
我が国の65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は、1950年以降、一貫 して増加していましたが、2023年9月15日現在の推計では3623万人と、前年(3624万人) に比べ1万人の減少となり、1950年以降初めての減少となりました。
統計局ホームページ
下記は、高齢者人口及び割合の推移(1950年~2023年)です。
続いて、下記は高齢者人口および割合の推移です。
このシニア層は、長年の就業経験や蓄えによって強い購買力を持っており、特に健康、旅行、レジャー関連の消費が活発です。たとえば、定年退職後に自由な時間が増えたことで、国内外旅行の需要が高まっており、これをターゲットにした旅行会社やツアーが人気です。
みずほコーポレート銀行産業調査部が作成および予測した資料によると、シニアマーケットの市場規模(高齢者向け市場)は、2025年に101.3兆円に大幅増加する見込みです。
下記は、みずほコーポレート銀行産業調査部が作成および予測した高齢者向け市場の調査および予想図です。
このように、シニア層は今後さらに市場規模が拡大することが期待されており、企業がこの成長を取り込むためには、単に「高齢者向け」の商品を提供するだけではなく、生活の質を向上させるような新しいサービスを提供することが求められています。
効果的なシニアマーケティング手法
シニア層に向けたマーケティングは、他の世代とは異なり、より感情に訴えるアプローチが重要です。シニア層は「安心感」や「信頼」を求める傾向が強く、心に響くプロモーションが大事です。
また、メディアの利用が多様化しているため、オンラインとオフラインの両方をバランスよく使うことが効果的です。
一番使われているSNS媒体のLINEで集客をする
シニア層は、SNSをあまり利用していないイメージかもしれませんが、LINEの利用率は非常に高いことをご存じですか?
下記は、2024年1月にモバイル社会研究所が調査した高齢者SNS利用率(媒体別)です。
本調査の方法は、下記のとおりです。
2024年1月に訪問留置法(調査員が訪問し調査を承諾頂いた方に紙で質問票を配り後日回収)を用いて実査した結果より、SNSの利用について、分析した結果をお伝えします。
モバイル社会研究所
調査結果のグラフを確認すると、日本のシニア層は、LINEの利用率が圧倒的に高いことがわかります。60代では、男性のLINE利用率が79%であり、女性に関しては93%の利用率です。
続いて、70代では、男性のLINE利用率が64%であり、女性に関しては75%です。80代では、男性のLINE利用率が38%であり、女性に関しては45%です。
LINEマーケティングを実施することが、高齢者向けのマーケティングを成功させる要因の1つになるでしょう。
他のSNS全般のマーケティングも検討している方は、「SNSマーケティングの始め方」の記事も参考にしてください。
感情的価値を提供する(「安心感」と「納得感」を持たせるプロモーション)
シニア層にアプローチする際には、商品の機能や価格だけでなく、感情的価値を提供することが重要です。シニア層は、若い世代に比べて慎重に商品を選び、自分の選択が正しいかどうかを確認したいと考えることが多いです。特に以下の点が重要です。
オンラインとオフラインのバランスを取る(テレビや新聞とデジタルメディアの併用)
シニア層のメディア利用は幅広く、特にテレビや新聞などの伝統的なメディアに対する信頼感が強いです。一方で、最近ではスマートフォンやタブレットを使うシニアも増えてきており、デジタルメディアを活用することも無視できません。このように、オンラインとオフラインをバランスよく活用することがポイントです。
このように、シニアマーケティングを成功させるためには、彼らの心に響くメッセージと、適切なメディアの選定と活用が欠かせません。シニア層のニーズを理解し、信頼できる情報を多方面から提供することで、より効果的なマーケティングを実現できます。
シニアマーケティングの成功事例
シニアマーケティングで成功した日本企業の事例を5つ紹介します。これらの企業は、高齢者層に特化した商品やサービスを提供し、シニア層のニーズに応えることで、大きな成功を収めています。
成功事例①大人の休日倶楽部(JR東日本)
JR東日本が提供する「大人の休日倶楽部」は、60歳以上のシニア層を対象にした特典付きの旅行サービスです。鉄道運賃の割引や、特別なツアーパッケージを提供することで、シニア層の旅行需要を喚起しました。
「自由でアクティブな旅行スタイル」を提案し、定年後に時間的余裕ができたシニア層に「第二の人生」を楽しむライフスタイルを提案したことが、JR東日本の成功事例です。旅行の魅力と共に、安心して利用できるサービスを提供したことで、シニアの支持を集めました。
参考文献:JR東日本|「シニア世代」を対象としたターゲット戦略を展開 ~ジパング倶楽部に「大人の休日」誕生~
成功事例②RIZAPグループのシニア向けプログラム
RIZAPは、主に若年層向けのボディメイクサービスとしてスタートしましたが、シニア層向けの健康維持プログラムも提供しています。シニア向けに特化したトレーニングメニューや、体力を維持するプログラムが人気を博しています。
シニア層の「健康維持」への強い関心を捉え、無理のない運動プランと個別指導を組み合わせたサービスを展開したことが、RIZAPの成功要因です。特に、専属トレーナーによる健康管理のサポートが安心感を提供し、長期的な利用につながりました。
成功事例③ニトリのシニア向け家具
家具小売業のニトリは、シニア層に配慮した使いやすい家具の開発を行いました。特に、軽量で取り扱いが簡単な家具や、収納がしやすいデザインの家具が、シニア層に人気です。
シニア層のライフスタイルや体力に合わせた機能的な家具を提供し、快適な生活をサポートしたことが、ニトリの成功要因です。家具の安全性や簡単に扱える設計を強調し、シニアに優しい商品としてブランドイメージを高めました。
成功事例④すかいらーくグループのシニア向けメニュー
外食チェーンのすかいらーくグループは、60歳以上からのプラチナパスポートの優待券を用意したり、シニア層向けにヘルシーで食べやすいメニューを充実させました。カロリーを抑えたメニューや、塩分控えめの料理が、健康志向の高いシニア層に受け入れられています。
高齢者の健康への配慮を重視し、食べやすさや栄養バランスを考慮したメニューを提供したことがすかいらーくグループの成功事例です。シニア割引などの特典も導入し、家族や友人と一緒に楽しめる空間を提供したことが集客につながりました。
また、プラチナパスポートは、店内飲食の場合に、60歳以上のシニアの方と、同伴者の方を含めて6名まで有効であり、家族連れで「ガスト」や「バーミアン」や「ジョナサン」などのすらいらーくグループの10ブランド、2,200店舗以上で利用することができます。
成功事例⑤パナソニックの「Jコンセプト」家電シリーズ
パナソニックの「Jコンセプト」シリーズは、日本のシニア層をターゲットに開発された家電シリーズです。操作が簡単で、使いやすい家電製品がラインナップされています。特に、炊飯器や掃除機などの製品がシニア層に人気です。
高齢者の生活に必要な「簡単操作」「高い機能性」に焦点を当てた商品開発がパナソニックの成功事例です。さらに、シンプルなデザインと、日本人の生活に合った機能を提供することで、シニア層の信頼を獲得しています。
健やかに、和やかに、ニッポンの暮らしを楽しめるように機能とデザインに徹底的にこだわりました。
ニッポンの心づかいと美意識をかたちにした新しいコンセプト家電。
「ジャパン」の“J”と、こだわりをもった「上質」の“J”から「Jコンセプト」と名づけました。
パナソニックグループ
これらの成功事例に共通するポイントは、シニア層のニーズやライフスタイルに応じた商品やサービスの提供です。企業は、シニア層が安心して利用できる商品を提供し、感情的価値と機能的価値をバランスよく訴求することで、シニアマーケティングを成功に導いています。
シニアマーケティングで意識すべきポイント
シニア層を一括りにせず、個々のニーズに応じたアプローチが重要です。
シニア層の消費行動は非常に多様で、年齢やライフステージ、価値観によって大きく異なります。以下は、シニアマーケティングで意識すべきポイントです。
これらの購買動機を理解し、適切なプロモーションを行うことで、シニア層のニーズに応えるマーケティング戦略を構築できます。
シニアマーケティングを実践する上で企業が取るべき行動
今後のシニアマーケティングは、デジタル化と個別対応の重要性がますます高まると考えられています。これから企業が取るべき行動について見ていきましょう。
デザインと表現の工夫(UI/UXや言葉選びの配慮)
シニア層にとって使いやすいデザインや、わかりやすい表現が求められます。具体的には、次のポイントに注意が必要です。
シニア市場でのデジタル化と個別対応
デジタル化が進む中、シニア層もスマートフォンやタブレットを活用するケースが増えています。企業は、これに対応した戦略を取る必要があります。
シニア市場は今後も成長が期待されており、企業は柔軟な対応と進化が求められます。
シニアマーケティングを実践したいと悩んでいる企業担当者は、シニア市場を理解し、過去の成功事例や、現在の流行っているマーケティング手法・マーケティング戦略をチェックすることが大切です。
マーケメディアでは、マーケティングに関する様々な資料を掲載しているので、高齢者向けのマーケティング手法の参考になります。ぜひ一度ご覧ください。
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