『リテンション率を向上させたい』
『リテンション率の計算方法は?』
リテンション率とは、従業員や顧客が企業にどれだけ長く留まるかを示す指標です。人材不足が深刻化する中で、リテンション率の向上は企業の競争力を高めるために大切です。
リテンション率の計算方法や、高めるために必要なことを、分かりやすく解説するよ!
リテンション率の基本
リテンション率とは、顧客がどれくらい長く商品やサービスを使い続けているかを示す指標です。リテンションは「維持する」「保持する」という意味なので、リテンション率は「どれだけ多くの人がサービスを続けて使ってくれているか」を見るために使われます。
たとえば、アプリをダウンロードした人が、その後も使い続けている割合が高ければリテンション率が高いということです。逆に、一度使ったけどすぐにやめてしまう人が多いとリテンション率は低くなります。
既存のお客さんやユーザーがサービスを続けて使ってくれることで、安定した収益が期待できるので、リテンション率は大事です。新規のお客さんを獲得するのはコストがかかるので、一度サービスを使ってくれた人がそのまま継続して利用してくれるほうが、効率がいいでしょう!
例えば、アプリの運営者であれば、ダウンロード数だけでなく、アプリをどれだけ長く使い続けてもらえるかが大切です。新しいユーザーを獲得するよりも、既存ユーザーに満足してもらい、リピーターにすることで、ファンが増え、ネット上での口コミも広がるでしょう。
リテンション率は、しばしばリピート率や顧客維持率と混同されることがありますが、少し意味が異なります。
簡単に言うと、リテンション率は「続けて使ってくれている人の割合」、リピート率は「もう一度利用してくれた人の割合」と考えるとわかりやすいです。
リテンション率の計算方法
リテンション率の計算は、実はとてもシンプルです。リテンション率を求めるためには、ある期間における継続してサービスを利用しているユーザーの数を、その期間の初めにサービスを利用していたユーザーの数で割り、その結果をパーセンテージで表します。
リテンション率の計算式
基本的なリテンション率の計算式は次のようになります。
リテンション率 = (期間終了時点でサービスを利用しているユーザー数 ÷ 期間開始時点でのユーザー数)× 100
この計算式を使うと、どれだけのユーザーが一定期間内にサービスを継続して利用しているかがわかります。
具体例①アプリにおけるリテンション率の計算
例えば、アプリを100人がダウンロードし、そのうち30日後にまだアプリを使っている人が60人だったとします。この場合、リテンション率は次のように計算されます。
リテンション率 = (60人 ÷ 100人)× 100 = 60%
この例では、30日後のリテンション率が60%となり、ダウンロードした人のうち60%が引き続きアプリを使っていることになります。
具体例②人事領域でのリテンション率の計算方法
リテンション率は、アプリやサービスだけでなく、人事や社員の定着率を測るためにも使われます。例えば、1年の初めに100人の社員がいたとして、その年の終わりに90人が残っていた場合、社員のリテンション率は次のように計算されます。
リテンション率 = (90人 ÷ 100人)× 100 = 90%
この場合、1年間で90%の社員が残っていることになります。つまり、社員の定着率を示す指標としてもリテンション率が活用できるのです。
リテンション率とリピート率の違い
リテンション率とリピート率は似たように使われることがありますが、実は意味が異なります。リテンション率は、ユーザーや顧客がどれくらい長くサービスや商品を使い続けているかを示す指標で、一方、リピート率は、顧客が再度商品を購入したり、サービスを利用した頻度を示すものです。
リテンション率とは?
リテンション率は、一定期間内に、サービスを使い続けているユーザーの割合を示します。たとえば、アプリのダウンロード後に何日間使い続けているか、サービスに加入したユーザーがどのくらいの期間利用を継続しているかなどがリテンション率で測定されます。
リピート率とは?
リピート率は、顧客が再度商品を購入したり、サービスを利用した頻度を測る指標です。リピート率が高いということは、顧客が満足して、何度もその商品やサービスを利用していることを意味します。特に、ECサイトや小売店などで、同じ顧客が何回も買い物をしているかどうかを評価する際に使われます。
使い分けのポイント
リテンション率は、顧客がどれだけ長くサービスや商品を使い続けているかにフォーカスし、リピート率は、顧客が再度利用したかどうか、つまり購入や利用を繰り返す頻度に焦点を当てています。
会社の目標やサービスの性質によって、どちらの指標を重視するかが変わります。
リテンション率の目安と改善方法
リテンション率は、業界やビジネスモデルによって理想的な数値が異なります。例えば、アプリやサブスクリプションサービスでは、初回の数日間や1ヶ月後のリテンション率が非常に重要です。一方、ECサイトや小売業では、長期的な顧客の継続利用を示すリテンション率が重視されます。
リテンション率を改善する方法
下記は、リテンション率を改善する方法です。
- 初回体験を向上させる
リテンション率を向上させるためには、ユーザーの初回利用時の体験を改善することが重要です。アプリの場合、ユーザビリティを高め、分かりやすいガイドやチュートリアルを提供することで、初回の離脱を防ぎます。 - パーソナライズされたサービスの提供
ユーザーが自分に合ったコンテンツや製品を見つけやすくするために、パーソナライズされた提案を行いましょう。ECサイトでは、過去の購入履歴を基におすすめ商品を表示したり、アプリではユーザーの興味に応じた通知を送ることで、継続利用を促進します。 - 定期的なコミュニケーション
ユーザーに対して、定期的にメールやプッシュ通知を送ることで、関心を持続させることができます。新商品やサービスの更新情報を提供し、再度利用してもらう機会を増やしましょう。 - ロイヤルティプログラムの導入
リテンション率向上のために、顧客のロイヤルティを高める施策も有効です。例えば、ポイント制度や特典プログラムを導入し、継続的に利用することで得られるメリットを提供することで、再訪を促します。
改善策の効果を測定する
改善策を実施した後は、定期的にリテンション率を追跡し、効果を測定することが重要です。例えば、初回体験の向上を図った場合、7日後や30日後のリテンション率にどのような変化があったかを確認し、さらに施策を調整していく必要があります。
GA4でのリテンション率の活用方法
GA4(Google Analytics 4)では、ウェブサイトやアプリのユーザーがどれだけ継続的に利用しているかを確認するために、リテンション率を簡単に測定できます。GA4を活用することで、ユーザーの行動を分析し、どのタイミングで離脱するか、どの施策がリテンション率を向上させるかを理解することができます。
GA4でのリテンション率の測定
GA4では、リテンション率を追跡するためのレポートや機能が組み込まれています。リテンション率は、ユーザーが初めて訪問した後に、何度も戻ってきているか、または継続してアプリやウェブサイトを利用しているかを測定するために使われます。
GA4でリテンション率を確認する手順
GA4では、ユーザーの継続利用がどの程度維持されているかを追跡するため、日数ごとのリテンション率(1日目、7日目、30日目など)を表示して、ユーザーの再訪率を把握できます。
ウェブサイトやアプリでのリテンション率の改善
GA4のリテンションレポートを活用することで、ユーザーが特定の期間にどのようにウェブサイトやアプリを利用しているかを把握できます。特に以下のようなポイントに着目すると効果的です。
- 初回訪問後の1週間に注目
GA4のデータを活用して、1週間以内にユーザーが戻ってきているかを確認します。この期間でリテンション率が低い場合、初回体験の改善やユーザー誘導を強化する必要があるかもしれません。 - 特定のページや機能の効果を確認
リテンション率が高いページや機能を特定し、これらを他の部分にも活用できるか検討します。ユーザーにとって魅力的な要素を特定し、強化することで、リテンション率向上に繋がります。 - 通知やリマーケティングでリピート促進
GA4でリテンション率が低いタイミングを確認し、その時期に再訪を促す施策(プッシュ通知やメールキャンペーンなど)を行うことで、ユーザーを再度引き戻すことができます。
リテンション率改善のためのGA4活用ポイント
下記は、リテンション率改善のためのGA4活用ポイントです。
- 新規ユーザーとリピーターの比較
GA4では、新規ユーザーとリピーターの行動を比較することができます。リピーターの行動パターンを理解し、それを基に新規ユーザーをリピーターに変えるための施策を検討します。 - エンゲージメントの追跡
リテンション率だけでなく、エンゲージメント率(ユーザーがどれだけ深くサイトやアプリを使っているか)も追跡することで、ユーザー体験の全体像を把握し、改善につなげます。
アプリのリテンション率
アプリのリテンション率(維持率)は、アプリをダウンロードしたユーザーがどれだけ長期間アプリを利用し続けるかを示す重要な指標です。
リテンション率は、アプリの成功を測る上で欠かせないものであり、特に初日、1週間、30日目などの各タイミングでのリテンション率が注目されます。ここでは、さまざまなデータを基に、アプリのリテンション率のベンチマークとその改善に向けた方法について詳しく解説します。
初日のリテンション率
初日のリテンション率は、ユーザーがアプリをダウンロードした直後にどれだけの人が再度アプリを利用しているかを測る指標です。いくつかの調査によると、平均的な初日のリテンション率は25%前後となっています。以下は主要な調査結果です。
- Statistaの調査では、iOSとAndroidのアプリの初日の平均リテンション率は25.3%でした。
- Adjustテクノロジーを利用したアプリでは、初日のリテンション率が26.5%でした。
- AppsFlyerによるサンプル調査では、初日のリテンション率は24.33%でした。
これらの結果をまとめると、初日のリテンション率は25%前後がベンチマークとして適切であると考えられます。この数字は、アプリをダウンロードしたユーザーの約4人に1人が初日に再びアプリを開くことを示しています。
7日目のリテンション率
次に重要な指標は、ユーザーがアプリをダウンロードしてから7日目のリテンション率です。ユーザーが初日を超えてアプリを使い続けるかどうかは、アプリの価値や使いやすさに大きく依存します。7日目のリテンション率は通常、初日よりも大幅に低下しますが、リターゲティングや再エンゲージメントキャンペーンを行うことで、再度利用を促すことが可能です。
- Adjustのデータによると、7日目のリテンション率は12%です。
- 他の調査によると、アプリの種類によって7日目のリテンション率は7%から12%の範囲に収まることが多いです。
7日目までにリテンション率が半分以下になることが一般的であり、この時点でユーザーに対する追加のエンゲージメント施策が効果を発揮します。
30日目のリテンション率
リテンション率の最も重要な指標の一つが30日目です。30日間にわたりアプリを使い続けたユーザーは、長期間の利用が期待できるため、アプリビジネスにとって非常に価値があります。調査によると、30日目のリテンション率は平均して5%前後です。
- Statistaによる30日目の平均リテンション率は5.7%。
- Adjustのデータでは6.5%。
- AppsFlyerの調査では、30日目のリテンション率は3.36%とされています。
30日目までのリテンション率が5%以上であれば、一般的なアプリとしては良好な結果と言えます。これを達成するためには、アプリ内での価値をユーザーに提供し続けることが重要です。
OSや地域によるリテンション率の違い
リテンション率は、プラットフォームや地域によっても異なります。たとえば、iOSユーザーはAndroidユーザーに比べてリテンション率が高い傾向があります。これは、iOSデバイスを使用するユーザーがアプリに対してより高いロイヤルティを持つことが要因と考えられています。
- iOSユーザーのリテンション率は、最近の調査で向上しており、30日目のリテンション率も安定しています。
- 一方で、Androidユーザーのリテンション率は、過去1年間で16%減少しており、特に30日目のリテンション率が低下しています。
また、アプリのリテンション率は地域ごとに大きな差があります。例えば、日本では30日目のアプリのリテンション率が約5.8%であるのに対し、中国では1.22%と非常に低い数値が報告されています。一般的に、先進国ではリテンション率が高い傾向があります。
業界別のアプリリテンション率
アプリのリテンション率は、業界によっても大きく異なります。同じベンチマークをすべての業界に適用することは難しく、業界ごとの基準を理解することが重要です。以下は、主要な業界ごとのリテンション率です。
業界によってリテンション率は大きく異なるため、同業界の他のアプリとの比較が重要です。特にゲームアプリやエンターテインメントアプリでは、初日のリテンション率が高い一方で、30日目までに大きく低下する傾向があります。
リテンション率向上のための施策
リテンション率を向上させるためには、アプリの設計やマーケティング戦略を工夫することが重要です。具体的には、以下の施策が効果的です。
リテンション率を高める施策を実行しよう
リテンション率は、ビジネスや教育機関において、顧客や学生がどれだけ長くサービスや関係を維持しているかを示す重要な指標です。リテンション率が高いほど、顧客や学生がそのサービスや学習環境に満足し、継続的に利用・在籍していることを意味します。
大学におけるリテンション率の活用
リテンション率は、ビジネスやアプリだけでなく、大学や教育機関でも非常に重要な指標として活用されています。ここでのリテンション率は、学生がどれだけ継続して在籍しているかを示すものであり、学生の満足度や学習環境の質を測るための指標となります。
大学でのリテンション率とは?
大学におけるリテンション率は、学生が入学してから何年後に在籍しているか、またはどのくらいの学生が卒業まで続けて通っているかを測るものです。特に、初年度のリテンション率は重要です。入学した学生が1年目で退学するか、それとも2年目以降も継続して在籍しているかは、大学の評価や教育の質に大きな影響を与えます。
リテンション率が大学に与える影響
リテンション率が高い大学は、学生の満足度が高く、教育やサポートが充実していると考えられます。一方、リテンション率が低い大学では、学生が退学してしまう割合が高く、学習環境やサポート体制に改善の余地がある可能性があります。学生のリテンション率は、大学運営において以下のような重要な影響を及ぼします。
- 評価の向上
リテンション率が高い大学は、外部からの評価が高くなり、新規学生の入学にもプラスの影響を与えます。 - 財務的な安定
学生が継続して在籍することで、学費収入が安定し、大学の運営がスムーズに進行します。
大学のリテンション率を改善するための施策
- 学生サポート体制の強化
学生が学業や生活面で困ったことがあった場合、適切にサポートできる体制を整えることが、リテンション率向上の鍵です。例えば、メンタルヘルスサポートや、学習面での補習制度など、学生が安心して学べる環境を提供することが重要です。 - 学業プログラムの充実
学業プログラムが学生の期待に合っていないと、退学を考える学生が増えます。多様な学習プログラムや柔軟なカリキュラムを提供することで、学生が自身の興味に合った学習を続けやすくなります。 - 学生同士のコミュニティの形成
学生が大学に愛着を持ち、継続的に通うためには、友人や仲間とのつながりが重要です。大学側が、クラブ活動やイベントを通じて学生同士の交流を促進することで、リテンション率を高める効果が期待できます。 - 定期的なフィードバックの収集
学生からのフィードバックを定期的に収集し、その意見を基に学内環境を改善することも、リテンション率向上に繋がります。学生が自分の声が反映されていると感じることで、大学への信頼感が増し、継続して在籍する動機付けになります。
リテンション率と学生の成功
リテンション率は、学生が学業を継続するかどうかの指標であり、学生の成功に直結しています。リテンション率が高いほど、学生が学業に集中し、無事に卒業できる可能性が高まります。また、大学にとっても、学生が成功することが評判の向上に繋がり、さらなる発展を促す要因となります。
人事で重要になるリテンション率
リテンション率は、従業員の定着率を示す重要な指標であり、人事部門において特に注目されるべき要素です。企業が成長し、競争力を維持するためには、優秀な人材をいかにして長期間にわたって定着させるかが大切です。特に、従業員のリテンション率が高いと、知識やスキルが社内に蓄積され、組織全体のパフォーマンスが向上します。
リテンション率が人事に与える影響
- 採用コストの削減
従業員の離職を防ぐことで、採用活動にかかるコストを大幅に削減できます。人事部が新たな人材を採用する頻度が減れば、その分社内リソースを他の重要な業務に充てることができ、効率が向上します。 - 社内の知識とスキルの維持
優秀な従業員が長く在籍することで、業務に必要な知識やスキルが社内に蓄積されます。これにより、新たな従業員が育つまでの時間を短縮でき、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。 - 企業文化の強化
長く在籍する従業員が増えることで、社内文化がしっかりと形成されます。新しい従業員が入社した際も、既存の従業員が企業文化を伝える役割を果たし、組織の安定性が高まります。
人事がリテンション率を高めるために行うべき施策
- 柔軟な働き方の提供
ワークライフバランスを重視し、リモートワークやフレックスタイム制度を導入することで、従業員の満足度を向上させ、長期的な定着を促します。 - 評価と報酬制度の見直し
公正で透明性のある評価制度や適切な報酬を提供することは、従業員が企業に対して満足し続けるための大きな要因です。定期的に評価制度を見直し、従業員のモチベーションを維持しましょう。 - メンタルヘルスサポートの強化
定期的なストレスチェックや、従業員が気軽に相談できるメンタルヘルスサポート体制を整えることで、働きやすい環境を作り、離職率を低下させることができます。
また、マーケメディアでは、リテンションを高めるために、マーケティングのプロが様々な資料を掲載しています。
ぜひ、チェックしてみてはいかがでしょうか?
コメント