マーケティングの現場で「パレートの法則」という言葉を聞いたことはありますか?実はさまざまな場面で使われる一般的な法則で、この考え方を知ればマーケティングやビジネスへの理解がより一層深められるでしょう。
本記事では、パレートの法則について徹底解説します。具体的な内容は、次の通りです。
パレートの法則とは?
パレートの法則(パレートの原理)は経済学者のビルフレッド・パレート氏が1896年に提唱した「経済において全体の80%の成果を、特定の20%の要素が⽣み出している」という考え方です。「80:20の法則」「2:8の法則」「ばらつきの法則」とも呼ばれています。
パレート氏はヨーロッパにおける経済統計の分布を調査したところ「全体の富の8割を上位2割の人口が保有しており、8割の人口で残りの2割を分けている」という所得分布の経験則を発見しました。
そしてパレート氏は園芸家でもあり、育てていたえんどう豆の収穫量について「収穫の8割が全体の2割のサヤから収穫された」ということに気づいたともいわれています。
パレートの法則に似た法則
パレートの法則と似た法則には、次のようなものがあります。
働きアリの法則(2:6:6の法則)
「働きアリの法則」とは、集団を「よく働く」「普通に働く」「働かない」の3つに分類したときに、よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、働かないアリが2割に分かれるという性質のことです。よく働く2割のアリだけ集めたとしても、しばらくするとその中で「2:6:2」の割合に戻ってしまいます。
ユダヤの法則(78:22の法則)
「ユダヤの法則」とは「世の中のすべては78:22で成り立っている」という思想に基づいた法則です。例えば地球上の海の面積と大陸の面積、正方形に内接する円の面積とそれ以外の四隅の面積合計の割合、人間の身体の成分で、水とそれ以外の成分比などが「78:22」であるという思想に基づいています。
パレートの法則:身近なシーンで例えると?
パレートの法則は、私たちの身近なシーンにも当てはめられます。ビジネスシーンと日常的なシーンに分けて、パレートの法則の例をご紹介しましょう。
ビジネスシーン
- 全顧客の20%が、売上の80%をもたらしている
- システム利用者の80%は、20%の機能しか使いこなせていない
- トラブルの80%は、全体の20%の部分で解決できる
- 結果の80%は、取り組んだ時間の20%で生み出している
- 納税額上位20%の納税者によって、税収の80%が賄われている
- 20%のリーダーが、80%の社員を指導している
- 20%の顧客が、口コミの80%を投稿している
- プロジェクトの問題の80%は、20%の要因によって引き起こされている
日常的なシーン
- 普段着ている服の80%は、持っている服のうちお気に入りの20%である
- 部屋で過ごす時間の80%は、部屋全体のスペースの20%の場所を使用している
- 1冊の本に書かれている内容の80%は、20%読めば理解できる
- 家庭における支出の80%は、20%の項目に集中している
- スーパーで買うものの80%は、20%のリピート商品である
- 噂の80%には、20%の真実が含まれている
- 雑談の80%のうち、意味があるのは20%に過ぎない
パレートの法則の活用方法
パレートの法則は、ビジネスにおけるさまざまなシーンで活用可能です。
パレートの法則で重要な「2割」の部分を洗い出せば、リソースやコストの配分が最適化できるでしょう。また注目すべき点が明らかになれば、仮説を立てたり次のアクション計画を立てたりしやすくなるでしょう。
ここではマーケティングと組織開発について、具体的な活用方法をご紹介します。
マーケティング
マーケティングにおいて活用できるのが「20%の商品が、全体の80%の利益を生んでいる」または「20%の顧客が、全体の80%の売上に貢献している」という考え方です。
その考えをもとに売上の80%を占めていると思われる上位20%の顧客とそれ以外の80%の顧客を分類して、それぞれの層に適したマーケティング施策を立てます。顧客を分類して施策を検討することで、より効率的に売上アップが図れるでしょう。
組織開発
パレートの法則では「会社の売上の80%は、20%の社員が生み出している」とされます。売上を生みでしている2割の社員は、会社にとって非常に重要な存在です。失うと大きな損失につながりかねないため、離職防止や育成の特に力を入れなければなりません。
成果を生み出す2割の社員が十分に能力を発揮できるよう、体制や待遇などの見直しと改善も必要でしょう。
パレートの法則活用時の注意点
パレートの法則をビジネスで活用する際には、次の2点に注意しなければなりません。
“8割”が不要というわけではない
パレートの法則の活用では、より利益を生み出す2割にリソースやコストを集中するのが効率的です。
しかし残りの8割は不要というわけではありません。例えば「店の売上の80%は、全客数の20%の顧客が生み出している」としても、残りの80%の顧客が購買行動をとらなければ売上は減少してしまいます。
大切なのは、20%の顧客と80%の顧客を分析して、それぞれに合った施策を検討することです。決して8割を切り捨てていいわけではないので注意しましょう。
あくまでも経験則である
パレートの法則は、あくまでも経験則です。そのため必ずしも「80:20」になるとは限りません。偏りがあるということを示しているにすぎず、「80:20」という数字が絶対的なものではない点は把握しておきましょう。
パレートの法則まとめ
パレートの法則を正しく理解できれば、マーケティングや営業の戦略立案に役立ちます。必ずしも「80:20」に なるわけではなく、あくまでも経験則の法則にはなりますが、おおまかな傾向が把握できれば リソースの最適化にもつながるはずです。
今回取り上げた身近な例を参考に、パレートの法則を活用していきましょう。
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