企業が業績を上げるために取り組むマーケティングには、さまざまな種類がありますが、大きくは3つの系統と9つの種類に分けられます。 今回の記事では、アナログ時代からデジタル時代への移り変わりにも触れながら、マーケティングの種類について解説します。
企業が業績を拡大してゆくために取り組むマーケティングには、さまざまな種類があります。大きくは3つの系統と、9つの種類に分けられます。 今回の記事では、アナログ時代からデジタル時代へのマーケティング手法の移り変わりにも触れながら、マーケティングの種類について解説します。
■マーケティングの系統を大分類
マーケティングは、大きく次の 3 つの系統に分けられます。
各系統の概要を見て、アナログ時代からデジタル時代にどのように移行したかを説明しましょう。
セールス系マーケティング
セールス系マーケティングは昔からどのような販促施策を行い、どのような広告で売上につなげるかがメインでした。今でもそれは部分的に踏襲されています。競合他社との価格差で攻める価格戦略、価格はそのままに仕様やサービス内容を充実させる高付加価値戦略、関連する他の分野の企業との提携戦略など、さまざまな手法があります。
現在、こうしたことに加えて、豊富なデジタルデータに裏打ちされた販売戦略がBtoCとBtoBの両分野に広がっています。
ここからは、3つの系統ごとにマーケティングの種類を解説していきます。
情報系マーケティング
ひと昔前の情報系マーケティングは、新聞や雑誌、テレビCMを主な情報発信の舞台としていました。そこではエンドユーザーが生産者から情報を受け取るという、一方通行の形が基本です。
どのような媒体で自社商品のイメージやコンセプトを発信し、ブランドイメージや認知度を向上させ、購買意欲を高めるかというマーケティング手法です。マスメディアを活用した広告を出したり、個別訪問で情報を届けたりです。
逆に言えば、消費者の声は「カスタマーダイヤル」など一部のコミュニケーションチャネルでしか集まりませんでした。
しかし、前述のように、インターネットの発達に伴い顧客接点(タッチポイント)が多様化し、それに伴い情報戦略がWebをベースに行われる機会が増えてきました。
特にSNSや動画サイトでの情報発信は共有・拡散につながるので、やり方次第では大きな効果が期待できます。社会や経済の情報化、デジタル化、グローバル化が急速に進む中、消費者の興味をそそる情報に反応してもらう戦略が生まれています。
チャネル系マーケティング
チャネルは「経路」を意味します。「流通チャネル」「販売チャネル」「コミュニケーションチャネル」という3つのチャネルがあります。従来は流通チャネルが主戦場でした。商品を最終消費者に届けるまでのルートや組織を効率的に管理・運用する方法です。
しかし、商品を作って売るだけの時代は終わり、消費者が複数の類似商品を比較して購入を決定する時代では、販売チャネルでの広告宣伝・販促プロモーションが重要になってきています。
やがて、ITやインターネットが普及し、デジタル要素がビジネスに浸透することで、消費者とのコミュニケーションチャネルは店舗に限定されなくなります。
企業サイトやオウンドメディア、SNS企業アカウント、メールマガジンなど、スマートフォンを持つ消費者は、いつでもどこでも企業や店舗とつながることができます。さらに、デジタル系のチャネルは多くの場合に、双方向(インタラクティブ)です。
そのため、コミュニケーションチャネル(顧客接点)を活用したキャンペーンやアンケート調査、資料のダウンロード、問い合わせへの対応などの手法が注目されています。
■セールス系マーケティングの種類
現代のセールス系マーケティングの代表的なものは以下の種類です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
デジタルセールスマーケティング
文字通りデジタル技術を駆使したセールス手法です。これまでは、営業が見込み客に対面して提案するのが当たり前でした。しかし、IT化の進展やSFA(営業支援システム)の登場、パンデミックによる非対面需要の拡大などにより、営業のオンライン化やデジタル化が加速しています。
デジタル営業に取り組むことで、遠方や海外などの物理的にアプローチできなかった見込み客への営業アプローチが可能になります。デジタルセールスマーケティングの特徴の一つは、商圏を一気に拡大できることです。
また、1 日あたりの販売アプローチの数も劇的に増加します。さらに、データに基づいた科学的な営業アプローチができる点も見逃せません。
根拠のない継続的なアプローチを排除し、明確な証拠のある販売アプローチを開発できます。アメリカで生まれ、日本でも広まり始めたインサイドセールスも、デジタルセールスにおける戦術の一つです。
コンサルティングマーケティング
従来の売り手目線の戦略ではなく、消費者の課題解決を中心に、解決策を模索・提案するコンサルティングを通じて販売につなげるマーケティングです。主にBtoB企業が行っており、売る側のスタンスを大きく変えた戦略と言えます。
コンサルティングマーケティングの良いところは、消費者に寄り添った誠実な対応であるため、成約時に関連商品を追加購入(クロスセル)したり、より高額な商品を購入したりできることです。本来の推奨品よりグレードアップした購入(アップセル)が期待できます。
信頼も築けるので、長期的な取引を続けられます。それには担当者のコンサルティング力、たゆまぬ努力、真摯な姿勢といったヒューマンスキルが求められます。
アカウントベースドマーケティング(ABM)
BtoB企業が大企業など大規模な取引が見込める顧客(アカウント)に着目し、狙いすまして最適なアプローチを行う販売戦略です。「2割の顧客の売上が全体の8割を占める」という有名なパレートの法則の2割に着目します。ムダなアクションを避け、成果を出しやすい戦略として注目されています。
一般的なBtoB企業では、幅広い潜在顧客(リード)を集めて育成し、成約確率を上げてから本格的に商談に臨むという考え方です。一方、アカウントベースドマーケティングは、最初から絞り込んだ、質の高いリードにしかアプローチしない点が大きな違いです。
大口取引をねらった、大企業に特化した販売戦略自体は昔からありました。デジタル要素を取り入れてアプローチの精度を上げていく環境が整ったことから、現在のビジネストレンドとしてアカウントベースドマーケティングが、今新たに注目されています。
企業ごとの反応を効率的に分析し、施策の精度を高めることができます。
■情報系マーケティングの種類
今日、企業が取り組む主な情報系マーケティングは、以下の3種類です。
ひとつずつ見ていきましょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、Webコンテンツを武器に潜在顧客を集め、顧客として育てる考え方です。主に「オウンドメディア」をベースに展開しています。
ホームページ(コーポレートサイト)が企業情報を発信する場であるのに対し、オウンドメディアはユーザーに有益な情報を客観的・中立的な立場から発信し、ブランドイメージの向上や潜在顧客のファン化を図ります。
SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツを作成し、自社メディアの記事を検索結果上位に発信することで、自分の課題やニーズをインターネットで検索するユーザーが訪れます。
客観的な立場から質の高いコンテンツを発信し、メディアのヘビーユーザー、そしてファンになり、商品に興味を持ってもらうことを目指します。ポイントは、SEO(検索エンジン最適化)対策で流入数を増やし、訪れたユーザーにファンになってもらえるように、質の高いコンテンツを用意することです。
しかし、それは簡単な作業ではないため、多くの人が SEOコンサルタントに助けを求めたり、経験豊富なディレクターやライターに外注したりしています。
データドリブンマーケティング
データドリブンマーケティングとは、Webサイト、SNSアカウント、ウェビナー、バーチャル展示会、メールマガジンなど幅広い情報源から収集・分析し、施策内容や実施時期を決定する戦略です。
コンピュータの機能向上やアプリケーション解析技術の発達により、収集したデータをより効率的に活用できるようになりました。
人の経験と「勘」に頼っていた部分を、裏付けデータに基づく精度の高い判断で組み立てます。利用可能なすべてのデータの包括的な分析と「視覚化」により、アプローチが以前よりも成功する可能性が高くなっています。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングとは、こちらから営業アプローチを掛けるのではなく、多様な顧客接点(タッチポイント)を最大限に活用することで、顧客側からのアクションを促すマーケティングです。
興味を引きそうな資料を散りばめ、見込み客(リード)としてアクションを起こした潜在顧客を育成します。消費者にとって望ましい信頼関係を築き、寄り添いながら悩みや問題を解決していく姿勢を貫きます。
■チャネル系マーケティングの種類
現在盛んに行われるチャネルマーケティングは、以下の3種類です。
それぞれの内容を見ていきましょう。
マルチチャネル マーケティング
マルチチャネルマーケティングとは、企業が複数の販売チャネルを通じてビジネスを展開するという概念を指します。
例えば、店舗を展開する企業は、同時にオンラインショッピングチャネルとしてオンラインモールに出店したり、ECサイトを運営したりすることがあります。あるいは、卸売業を営んで小売業者に製品を販売し、直営店を通じて顧客に直接販売することもマルチチャネルマーケティングです。
この手法は、各販売チャネルが独立して機能します。店舗は店舗として完結し、オンラインショップはオンラインショップとして完結し、在庫管理と顧客管理は連携していません。
クロスチャネルマーケティング
一見マルチチャネルマーケティングと似ていますが、違いは、各チャネルの在庫情報と顧客情報が連動している点です。
この手法のスタンスは、ECサイトで購入した商品を実店舗で情報連携し、修理・メンテナンスを行うことです。 コミュニケーションチャネルであるSNSを利用した実店舗への誘導も、この範疇に入ります。
オムニチャネルマーケティング
オムニチャネルマーケティングは、上記2つのマーケティングの行き着く最終形となるマーケティングです。
実店舗、ECサイト、SNSアカウント、企業サイト、オウンドメディアなど、1社が持つ複数の販売チャネルおよびコミュニケーションチャネル(顧客接点:タッチポイント)の情報を連携統合する手法です。消費者はどの窓口でも違和感なく、スムーズにサービスを受けることができます。
■まとめ
マーケティングは、時代とともに進化してきました。特にデジタル技術とインターネットは、情報化とグローバル化を促進し、マーケティングに多大な影響を与えています。
この記事では、マーケティングを3系統に分けて、それぞれの主なマーケティングの種類を解説しましたが、必ずしも別々に存在するわけではありません。複数の戦略の多くの要素が重複し、相互に関連しています。
マーケティング担当者のみなさんは、ここで紹介したマーケティングの情報を参考に、柔軟で斬新な戦略を構築して、ビジネスの拡大に取り組んでください。
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