サードパーティーcookie規制により、リタゲ広告が利用できなくなる未来が近づいています。来たる規制に備えて、デジタルマーケティング・Web広告のあり方を見直しましょう。cookie規制の内容や背景、リタゲ広告に代わる対応策をご紹介します。
自社サイトを訪問したユーザーを追跡し、サイトを離れた後にも特定の広告を露出させられるのが、リターゲティング広告(リタゲ広告)です。対象となる見込み客の購買意欲を育成し、商品・サービス購入のチャンスを逃さない仕組みとして広く取り入れられています。
しかし、現在では個人情報保護の観点から問題があるとされ、制限する動きがあります。特に、サードパーティーcookieの利用に関する規制が進んでおり、各社の規制が完全に強化された後は、リターゲティング(リタゲ)自体ができなくなる可能性が高いのです。
マーケティング担当者、広告運用担当者であれば知っておきたい、リターゲティング広告とcookie規制との関係および対応策をご紹介します。
■そもそもcookie規制とは?
Web広告で、データを活用した効果的なターゲティングを行うために用いられている仕組みの1つが、cookieです。cookie自体は、ユーザーのブラウザに自動で保存される小さなテキストファイルにすぎません。
サイトを訪問したユーザーのブラウザにcookieを設定し、他にどのようなコンテンツに興味を持っているのか、消費パターンはどうかなどの行動データを収集します。自社のサイトを離れた後もユーザーの動きをチェックできることから、cookieの仕組みはトラッキング(追跡)と呼ばれています。
企業はマーケティング戦略を立てる際に、cookieが集めたユーザーの行動パターンデータを分析・活用するといった流れです。
cookieは主に2種類
cookieの種類は、主に次の2つです。
ファーストパーティーcookieは、ユーザーからも拒否される確立が低く、精度の高いトラッキングが可能です。主にショッピングサイトのお気に入り登録や買い物かご機能、会員ログインの維持機能などに用いられています。
対するサードパーティーcookieは、サイトのドメインを横断したトラッキングができるのが特徴的です。違うサイトを訪問している間にも、サードパーティーcookieを利用すれば自社広告を表示させられます。
今回ご紹介するcookie規制の問題と深く関連しているのが、2つの型のcookieのうちサードパーティーcookieです。サイト側に負荷をかけることなくcookieを付与できるメリットがありますが、個人情報の保護の観点やユーザーファーストの動きに関連して、規制が強化される動きが出ています。
■リタゲ広告|cookie規制とは?
企業のマーケティング戦略としては魅力的な存在であった、サードパーティーcookieを使ったリターゲティング広告(リタゲ広告)ですが、ユーザーの立場で考えた場合には少々の不安や不便さが残るのが事実です。
そこで、サードパーティーcookieの利用に関して、規制をする動きが強まっています。
規制が強化される背景
サードパーティーcookieが、ユーザーに対して不利益を与える可能性があるとされるには、次の3つの背景があります。
まず1つ目に上げられるのが、プライバシーの問題です。どのようなジャンルに興味を持っていて何を購入したのか、どのような検索を行って何をクリックしたのかを見知らぬ第三者に知られている状況は、ユーザーにとってあまり心地の良い経験ではないでしょう。
購入の意思に関係なく継続的に情報や広告が目に入ることによって、ユーザー自身の思想が知らず知らずのうちにコントロールされてしまう危険性もあります。また、リターゲティング広告(リタゲ広告)は属性や行動パターンに合った情報が提供されるため、望むと望まざるにかかわらず接触できる商品やサービスに偏りが出てしまう懸念がなされています。
ユーザーにとって「自由で公平な情報の接触」という面では、サードパーティーcookieを利用したリターゲティング広告に問題があるのは事実です。
■各社のcookie規制の内容
実際に次の3つの会社が発表している、cookie規制の内容をご紹介します。
世界的な企業の相次ぐcookie規制の方針発表によって、リターゲティング広告(リタゲ広告)が運用できなくなる状況が現実化しようとしています。
日本で圧倒的なユーザー支持率を誇る検索エンジン、Googleでは2024年後半頃に段階的にサードパーティーcookieを廃止する可能性があると発表しました。当初は規制の実施を2022年1月としていましたが、期限が延期される形となっています。実際に2024 年1月4日には、Chromeブラウザのランダムな対象約1% で、サードパーティCookieを無効化しています。対象となったChromeでは、特に費用などを必要とせずにサードパーティCookie無効化の設定がテストできます。
Googleがサードパーティーcookieに代わる施策として準備を進めているのが、「プライバシー・サンドボックス」です。匿名性を保ちながら、効果的な広告運用ができる機能とされていますが、いまだ開発やテスト実施には時間がかかると予想されています。
Apple
Appleはすでに検索エンジンsafariの機能として、2017年からITP(Intelligent Tracking Prevention)を実装しています。テストの実施を繰り返し、条件に合わせて頻繁にアップデートが行われてるのが特徴的です。
2020年3月時点で、サードパーティーCookieは完全にブロックされています。早くもcookie規制が進められている事例です。
Firefox
Firefoxでは、「Windows」「macOS」「Linux」向けの「Firefox」ブラウザにおいて、プライバシー保護機能である「Total Cookie Protection(包括的Cookie保護)」を採用しています。
デフォルトの状態でcookieを規制する機能がオンになっており、サイトを横断して情報を入手しようとするcookieの遮断が可能です。ユーザーが快適にWebサイトを利用できるようなサポートがすでに導入されています。
■cookie規制がWeb広告に与える影響
cookie規制が実施された場合、具体的に想定される影響は次の2つです。
サードパーティーcookieは、ユーザーをトラッキングして関連情報を集められるという強みをもっています。その利点が利用できなくなることで、商品やサービスを効率的に売り出したいと考えている企業マーケティングには、いくつかの影響が出る恐れがあります。
1.リタゲ広告の運用ができなくなる
検索エンジンとしてトップクラスのユーザー数を誇るGoogleが本格的にcookie規制を実施すれば、現実的にリターゲティング広告(リタゲ広告)ができなくなる可能性が高まります。リターゲティング広告は、サードパーティーcookieを利用して収集した情報から、ユーザーが興味を持つであろう情報をサイトドメインを横断して表示させる宣伝手法です。
すでにcookieの規制が進んでいるsafariではリターゲティング広告が表示させられない状況になっており、マーケティング戦略の転換が求められる時期が訪れています。特に日本でユーザー数の多いGoogleがサードパーティーcookieを廃止すれば、リターゲティング広告を利用している企業は何らかの対策を取らざるを得ないでしょう。
2.ユーザーのトラッキングデータを利用した分析ができなくなる
リターゲティング広告(リタゲ広告)が利用できなくなる他にも、サードパーティーcookieの規制によりサイトを訪問したユーザーの詳細な行動パターンの取得が難しくなります。サイトのコンバージョン率をアップさせるためには、離脱したユーザーがその後どのような行動を取っていたのか調査することが欠かせません。
ユーザーのトラッキングに利用していたサードパーティーcookieが廃止されてしまうと、詳細なユーザーデータがリセットされ、分析の精度が落ちてしまう可能性があります。代替的な分析方法を導入するなど、トラッキングに頼らない方法を新たに模索することが大切です。
■リタゲができなくなる後の対応策5選
リターゲティング広告(リタゲ広告)が活用できなくなるからといって、マーケティング戦略の全てが振り出しに戻るわけではありません。次にご紹介する対応策を準備することで、新しい時代のマーケティング施策を繰り出せるでしょう。
1.プラットフォームを活用したターゲティングを行う
サードパーティーcookie規制の目的は、あくまでドメインを横断したcookieの利用を禁じ、個人情報があいまいに活用される状況を消すことであるため、GoogleやYahooといった大規模プラットフォーム内での利用は維持されます。つまり、プラットフォームを上手く利用することで、これまでと変わらない精密なターゲティングを行うことができるのです。
Googleが実施している施策の1つとして、ユーザーの興味関心を広告運営に活かす仕組みである「Topics API」の開発が進められています。ユーザー自身が透明性のある仕組みを利用して、選択的に情報を提供することに重きが置かれており、ユーザーに負担をかけることなく有益な情報を得られるのがメリットです。
大型プラットフォームでは、このように独自開発した機能や技術を使った情報収集の仕組みが作り上げられていくでしょう。
2.自社のデータ分析力をアップさせる
これまでリターゲティング広告(リタゲ広告)でのトラッキングで成果を上げてきた会社も、今後は自社のデータ分析力を活用した宣伝方法にシフトする必要があります。これまでは自社名やサービス名を使って再度検索流入してきたユーザーが購入に至った場合も、効果を測定できていました。
しかし、今後はサイトを横断したトラッキングが規制されるため、上記のような場合の効果を測定できません。サイトの訪問履歴があるユーザーに対するコンバージョン率などを、Google Analyticsなどを活用して正しく把握・分析する能力が求められます。
サードパーティーcookieの規制に伴い、自社のデータ分析能力があってこそ、効果的なマーケティング施策が打ち出せる時代に移り変わっていくでしょう。
3.消費者から選ばれる仕組みを整える
ターゲティングに頼った広告戦略ではなく、消費者から選ばれるような仕組みを作り上げていくことが大切です。サードパーティーcookieが規制された後には、行動パターンを活用した販促方法はできなくなります。
大手検索エンジンが将来的にサードパーティーcookieに代わる独自の機能を開発したとしても、現在のような直接的なトラッキングには及ばないでしょう。新しい時代でビジネスを展開させていくには、ペルソナの見直しから始め、マーケティング施策を刷新していく必要があります。
4.動画広告を有効活用する
現在広告業界で将来性を期待されているのが、動画広告です。動画投稿プラットフォームの人気もあり、さまざまな企業が動画広告の利用に乗り出しています。
動画広告はリターゲティング広告(リタゲ広告)のようにダイレクトなターゲティングはできませんが、定められた秒数の視聴がユーザーに強制されるなど、違った角度からアピールが可能です。商品やサービスのコンセプトを視覚・聴覚に訴えられるため、企業のブランディングもしやすい宣伝方法だといえるでしょう。
時代の流れに合わせて新たなマーケティング施策に挑戦するのも、事業のチャンスを拡大するカギとなります。
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5.出稿する広告媒体を厳選する
リターゲティング広告(リタゲ広告)では「個人」をターゲットに興味関心に合わせた情報を提供できましたが、今後は出稿する広告媒体を絞っていく必要がありそうです。サードパーティーcookieの機能を利用して、サイトを横断してのトラッキングができていれば、ユーザーがどんなジャンルのコンテンツを閲覧していても、自社の広告を表示させることが可能でした。
cookieの規制に伴い、個人に対するマーケティング施策の実行が難しくなった後は、商品やサービスのニーズやターゲッティングを徹底的に分析し、信頼のできる広告媒体に出稿する流れが強まるでしょう。自社商品と関連のあるジャンルのサイトであれば、訪問したユーザーも違和感なく商品に興味を持ってくれる可能性が高まります。
■まとめ|リタゲ広告の「次」に備えを
cookieの規制強化の流れによって、今後はリターゲティング広告(リタゲ広告)が利用できなくなる可能性があります。現在リターゲティング広告で成果を上げている会社であっても、状況の変化を敏感に察知し、来たる規制実施に向けてあらかじめ準備をしておく姿勢が欠かせません。
各社のサードパーティーcookie規制状況は、常にアップデートされています。マーケティング担当者として、今後もcookie規制とリターゲティング広告の将来に関心を寄せておきましょう。
また、cookie規制の動きはリスティング広告にも影響を及ぼす可能性があります。こちらにも同様に注意を払う必要があるでしょう。
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