リード獲得や顧客育成の手法として、注目されているのがホワイトペーパーです。今やマーケティング担当者としては避けて通れない課題であり、ホワイトペーパー作成のノウハウは、Webマーケティング全般に活かすことができます。
今回はホワイトペーパーを作るうえで基礎知識となる基本の構成と、ホワイトペーパーの種類を解説します。作成のちょっとしたコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
本記事では、ホワイトペーパーの基本的な知識について、
といった内容を解説します。
■ホワイトペーパーの意味と由来
ホワイトペーパーは、各企業がWeb上で配信している資料の総称です。元々は公的な調査結果を報告する資料、白書を指す言葉でした。
内容は自社独自のノウハウを伝えるもの、市場調査の報告書、あるいは業界の最新情報や基本的な用語をまとめたものなどいろいろあります。営業資料と似ていますが、目的がそれぞれ異なります。
商品やサービス紹介が主となる営業資料とは違い、ホワイトペーパーはユーザーが求める情報の提供が目的です。ユーザーと信頼関係を築くことにより長期的な成果が見込めるとして、BtoB向けのWebマーケティング手法として人気があります。
ホワイトペーパーは基本的にダウンロードの際、企業名や担当者の連絡先を入力する必要があります。提供する側の企業は無料で有益な情報を渡す代わりに、ユーザーの情報を得てリードとして獲得するのです。
■ホワイトペーパーの基本構成
まず知っておくべきは、ホワイトペーパーの基本構成です。あとに紹介するホワイトペーパーの種類によって最適な構成は異なりますが、ここでは一般的な構成を見ていきましょう。ホワイトペーパーは「5パラグラフの法則」と呼ばれる、文章構成のルールに則って作成します。5パラグラフの内容は以下のとおりです。
・要約
・問題提起
・解決策の提示
・サービスの情報
・結論
それぞれ詳しく解説します。
要約
まず冒頭部分には、ホワイトペーパー全体の内容を要約する文章を記載します。ユーザーはホワイトペーパーをダウンロードしたからといって、最後まで読んでくれるとは限りません。冒頭にだけ目を通して興味を引かれない場合は、それ以上読み進めない可能性も十分にあるでしょう。
そのため、最初にこのホワイトペーパーを読めばどんな課題が解決できるのか、どのような成果が得られるのか記載します。それを読んだユーザーが「この情報は自分にとって必要だ」と感じることが、続く4つのパラグラフを読むモチベーションとなるのです。
問題提起
次に問題提起によって、ユーザーの納得を引き出します。ホワイトペーパーをダウンロードするユーザーは、現状に漠然とした課題を感じています。しかし、多くの場合は根本の要因に気づいていません。売上が向上しない、新規契約が増えないといった表面的な問題には、より潜在的な課題が存在します。
例えば「メルマガを配信しても問い合わせが増えないのは、まだ購買意欲の低い見込み顧客にセールスレターばかり送りつけているから」といった問題を指摘します。指摘を受けて、ユーザーが自身のやり方の問題点に気づくことで、ホワイトペーパーに書かれている内容への信頼がグッと高まるのです。
解決策の提示
問題が明確になれば、ユーザーは次に解決策を知りたいと考えます。ユーザーの関心が最も高まっているタイミングで、具体的な解決策を提示しましょう。先ほどの例でいえば「見込み顧客へのアプローチは、購買意欲のレベル別に変化をつけるべき」といった内容です。
解決策の提示は、ユーザーが最も興味を持っているパラグラフです。ホワイトペーパーを提供する側は、続く自社商品やサービス紹介のパラグラフを重視するかもしれません。うまくいけばそのまま商品・サービスの購入申し込みにつながるからです。
しかし、ホワイトペーパーはあくまでも、ユーザーが知りたいと思う情報を提供するものだということを忘れてはいけません。本来の目的に従い、解決策の提示をメインとして、しっかりと作り込みましょう。
サービスの情報
解決策の一例として、自社商品やサービスを紹介します。例えば先ほどの見込み顧客へのアプローチについての解決策として、自社のMA(マーケティング・オートメーション)ツールを紹介するといった流れです。
すでに述べたように、このパラグラフは解決策の提示のおまけとして扱いましょう。商品やサービスの宣伝ばかりしてしまうと、ユーザーは押し売りされていると感じて、せっかく築いてきた信頼関係が崩れる恐れがあります。導入事例を簡潔に紹介し、お客様の声などの第三者からの情報を記載する程度にとどめるのがおすすめです。
ただし、解決策の提示で十分にユーザーの購買意欲が高まったと確信が得られる場合は、もっと強く宣伝して購入申し込みに誘導するケースもあります。ある程度ホワイトペーパー作成のノウハウが蓄積されれば、どの程度宣伝に比重をおいてよいかの判断もできるようになるでしょう。
結論
結論では、問題提起から解決策の提示への流れを要約します。ユーザーによってはホワイトペーパーを読む時間を短縮するために、冒頭の要約と結論だけを読もうとする場合があります。そのため、この2つのパラグラフだけを読んでも要点が伝わるように工夫しましょう。
もうひとつ結論で大切なのは、ユーザーがホワイトペーパーを読んで何らかのアクションを起こしたいと感じたときに備えて、誘導先を用意しておくことです。例えばもっと詳しく知りたいと思ったユーザーのために無料相談、商品に興味を持ったユーザーのために資料請求の申し込み方法を記載しておきましょう。
■ホワイトペーパーの種類と構成例
ホワイトペーパーにはいくつかの種類があります。先ほど述べた5パラグラフの構成をもつのは、一般的にノウハウ型のホワイトペーパーです。ここではそれ以外に、導入事例型とチェックリスト・テンプレート型、それぞれの構成例を表にして紹介していきます。
ノウハウ型の構成例
ノウハウ型の構成は、前章で解説した5パラグラフの法則に則った形です。自社が保有している、課題解決のための知識やノウハウをホワイトペーパーを通して伝えます。各ページの内容と、ポイントは以下の表のとおりです。
ページ構成 | 内容 | ポイント |
表紙 | タイトルと画像 | ユーザーに視覚的に訴求する |
目次 | 見出しとページ番号 | 見出しで興味・関心を高める |
導入 | 全体の要約 | 詳しく知りたいと思わせる |
問題提起 | 潜在的な問題点を指摘 | ユーザーの納得を引き出す |
解決策の提示 | 問題点に対する解決策 | ユーザーを満足させる |
商品の紹介 | 例として自社商品の紹介 | 商品を宣伝して購買意欲を高める |
結論 | 要約と、申込への誘導 | ユーザーのアクションを促す |
導入事例型の構成例
ホワイトペーパーには、自社商品やサービスの導入事例を紹介するものもあります。この場合のターゲットは、商品やサービスに興味を持ったユーザーです。
実際に導入した企業の事例を見せることで、購入後のイメージを抱かせ、購買意欲を高めます。導入事例型のページ構成は、以下のとおりです。
ページ構成 | 内容 | ポイント |
表紙 | タイトルや画像 | ユーザーに視覚的に訴求する |
導入企業の紹介 | 企業が抱えていた課題の説明 | 導入企業の業種は幅広く、あるいは一覧表として記載する |
課題解決のストーリー | 商品の導入によって、課題が解決するまでを順序立てて解説 | プロセスをストーリー仕立てにして共感を引き出す |
効果の検証 | 導入による効果を解説 | 数字・グラフを用いて説得力を出す |
チェックリスト・テンプレート型の構成例
新規リード獲得の手法として効果的なのが、チェックリスト・テンプレート型のホワイトペーパーです。
ユーザーがすぐに使えるホワイトペーパーを提供することで、多くのダウンロードが見込めます。このタイプのホワイトペーパーの基本構成はシンプルで、以下の表のとおりです。
ページ構成 | 内容 | ポイント |
表紙 | タイトルと画像 | ユーザーに視覚的に訴求する |
シート | 汎用性のあるフォーマットで テンプレートを記載 | WordやExcelを使用して、ユーザーが自身でカスタマイズしやすくする |
■構成を作る際のポイント
最後にホワイトペーパーの構成を作るときに、意識すべきポイントを紹介しておきます。ホワイトペーパーを読みやすくするためにはデザインやライティングも工夫しなくてはなりませんが、実は作成前の企画が重要です。
どのようなマーケティング成果を狙うのか、ターゲットはどのような層なのかを明確にして取り組みましょう。
ターゲットを明確にする
まずは自社の見込み顧客となり得る層を見定めましょう。ターゲット選定を間違えると、せっかくホワイトペーパーを作成しても最終的に自社商品・サービスの購入へはつながりません。自社が新しく開拓したい見込み顧客の層を明確にしたうえで、ユーザーが求めている情報をリサーチする必要があります。
マーケティングにおいてターゲットは、よりピンポイントに絞り込むのが効果的です。少しでも多くのユーザーにアプローチしようとすると、ありきたりな内容のホワイトペーパーになり、かえって反応が薄くなります。ターゲットを限定すれば、ホワイトペーパーに記載する情報も他社と差別化できるでしょう。
目的を設定する
ホワイトペーパーごとに明確な目的設定も大切です。目的によって、ホワイトペーパーの種類も作成のポイントも変わります。
連絡先などの情報を得てリードとして獲得するのが目的の場合、より多くのダウンロードを狙わなくてはなりません。ユーザーがダウンロードを判断するタイトルや表紙のデザインが何よりも重要です。
顧客育成が目的の場合は、複数のホワイトペーパーを継続的に配信して、信頼関係の構築に努めるのがよいでしょう。ユーザーが最終的に商品やサービスの必要性を感じられるように、業界の最新情報や課題解決に関する知識を提供していくのが効果的です。
■まとめ
今回はホワイトペーパーの種類や基本の構成について解説しました。ノウハウ型のホワイトペーパーは、要約・問題提起・解決策の提示・サービスの情報・結論の5パラグラフの法則に基づいて構成されます。
ただしホワイトペーパーの種類はさまざまで、ターゲットや目的によって効果的な構成も変わってきます。まずは企画段階でホワイトペーパーが目指すべきゴールを明確にし、そこに至る最適な構成を見極めましょう。
コメント