現代のWebマーケティングにおいて、重要なツールとなったホワイトペーパー。ユーザーに役立つ情報を資料として配信し、ダウンロードしてもらうことでリード獲得や顧客育成を図ります。
他社の成功事例を聞いて、そろそろ自社でも取り組んでみようと考えるマーケティング担当者の方も多いでしょう。ホワイトペーパーの作成にはコツがあり、基本構成と型を押さえておけば効率的に書き進めることができます。
今回はホワイトペーパーのテンプレートが使用できる作成ツールも併せて紹介。初めてのホワイトペーパー作成の参考にしてください。
本記事では、ホワイトペーパーの基本構成について、
といった内容を解説します。
■ホワイトペーパーの基本構成を覚えよう
まずはホワイトペーパーの一般的な構成を紹介します。基本はプレゼン資料やランディングページ(LP)などと同じで、5パラグラフと呼ばれる以下の5つの要素で成り立っています。
・イントロダクション
・問題提起
・解決策の提案
・商品・サービスの紹介
・結論
5パラグラフの法則では、上記の流れに沿ってストーリーテリングすることで、読み手の心理を意図したとおりに誘導していきます。それぞれ詳しく解説します。
イントロダクション
イントロダクションは、いわゆる「掴み」の役割を果たします。本文のなかでユーザーが最初に読む部分のため、ここで続きを読みたいと思わせることが大切です。
イントロダクションの内容は、このホワイトペーパーには何が書かれていて、読めばどのような課題が解決できるかの説明がメインです。ユーザーはタイトルに続くイントロダクションで、ホワイトペーパーを読み進めるかどうか判断します。手を抜かずにしっかりと作りこみましょう。
問題提起
問題提起は、ホワイトペーパーの説得力を高める役割を果たします。問題提起のロジックがしっかりしていれば、ユーザーはホワイトペーパーに書かれている内容を信頼するでしょう。
問題提起の内容としては、ユーザーが抱える潜在的な課題を指摘します。漠然と新規の契約件数が上がらないと悩んでいるユーザーに、具体的にマーケティングや営業フローの問題点を提示するといった形です。
問題提起では「確かにそのとおりだ」とユーザーを納得させなくてはなりません。ユーザーを結論まで誘導していくには、この問題提起で信頼を得る必要があるのです。
解決策の提案
問題点を指摘されると、当然ユーザーはその解決方法を知りたくなります。次のパラグラフでは、ユーザーが知りたいと思っているタイミングを逃さず解決策を提案することが大切です。
自社の商品やサービスの関心を高めて購入への誘導を目的とする場合、解決策の提案は次のパラグラフである商品・サービスの紹介へのつなぎとなります。適切なマーケティングツールの導入が必要と提案して、具体的に自社が販売しているツールを紹介するといった流れです。
しかしホワイトペーパーは営業資料ではないので、必ずしも自社の商品・サービスのアピールに主眼を置く必要はありません。むしろこの解決策の提案のパラグラフをメインにして、次に続く商品・サービスの紹介はおまけ程度にしておくほうが、ユーザーに良い印象を与えられる可能性が高いでしょう。
商品・サービス紹介
前のパラグラフで提示された解決策の具体例として、自社の商品・サービスを紹介します。商品・サービス紹介のボリュームや内容は、ホワイトペーパーでどの程度まで購入を見込むかによって変わります。
自社商品を購入してもらうことが主目的の場合、ここでは具体的な製品情報や他社との比較データでアピールし、ユーザーを申し込みのアクションへ誘導します。
ただし、多くの場合ホワイトペーパーの目的は、購入の前段階であるリード獲得や顧客育成です。本来の目的を忘れてつい自社の商品・サービスの宣伝に力を入れてしまうと、押し売りのような印象を与えてしまうかもしれません。自社商品をアピールしたい気持ちは抑えて、一例として紹介するくらいのほうが、かえってユーザーの信頼が高まるでしょう。
結論
最後の結論では、ユーザーの頭にホワイトペーパーの内容がしっかりインプットされるように要約を記載しておきます。
特に問題提起から解決策の提示までのロジックがしっかりと印象づけられるよう、要点をしっかりまとめましょう。有益な情報を提供したという印象を与えれば、ユーザーの自社への信頼を高めて顧客育成につながります。
また、結論部分でユーザーを何らかのアクションへ誘導することも有効です。無料相談や自社商品の資料請求など、気軽に申し込めるような選択肢を提示しておけば、商談へとスムーズに移行できます。
■ホワイトペーパーの型
ひとくちにホワイトペーパーといっても、その内容は企業によってさまざまです。すべてのホワイトペーパーは、一般的に以下の6つの種類に分類できます。
・ノウハウ型
・事例紹介型
・調査レポート型
・トレンド型
・チェックシート・テンプレート型
・用語集・入門ガイド型
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ノウハウ型
ノウハウ型は、これまで説明してきた5パラグラフで構成されるホワイトペーパーです。ユーザーの潜在的な問題点を明らかにしたうえで解決策を提示し、場合によっては具体的な例として自社の商品やサービスを紹介します。ノウハウ型においてはストーリーテリングが重要であり、他の種類のホワイトペーパーに比べると作成の難易度は高めです。
また自社独自のノウハウを盛り込む場合、どこまで無料で開示するか社内で慎重に検討するべきでしょう。
事例紹介型
事例紹介型は、自社の商品やサービスを実際に導入した事例集をまとめたホワイトペーパーです。
事例紹介型は、すでに自社の商品やサービスへの興味が高まっているユーザーに対して発信するものです。実際に商品やサービスを購入した企業の事例を見て、具体的な導入後のイメージを掴みたいというニーズに応えています。
より多くの見込み顧客に訴求するためには、幅広い事例を紹介する必要があります。さらにユーザーがピンポイントで自社に近い事例を読めるよう、業種や企業規模ごとに分けてホワイトペーパーを作成するのがよいでしょう。
調査レポート型
調査レポート型は、ユーザーに客観的な情報を提供するタイプのホワイトペーパーです。自社で独自に市場調査などを行い、その結果をまとめてユーザーに結論として提示します。
調査レポート型のホワイトペーパーを作成するには、調査会社やアンケートサイトなどを運営する会社に依頼するのが一般的です。ただしインターネット上で完結する内容であれば、規模にもよりますが自社で調査も可能でしょう。
調査レポート型のホワイトペーパーでは自社の商品やサービスの宣伝はできませんが、ユーザーにとって有益な情報を提供することでファン作りに役立ちます。
トレンド型
トレンド型は業界の最新情報を提供するタイプのホワイトペーパーです。
トレンド型は情報の鮮度が命なので、比較的短いスパンで次々に新しいホワイトペーパーを配信する必要があります。あるいは一度配信したホワイトペーパーの内容を更新していくスタイルもありますが、顧客育成の観点では常に新しいホワイトペーパーでユーザーの興味を引き続けるほうが効果的でしょう。
デジタル技術が急速に進化している現在では、ビジネスの現場でも情報の鮮度が落ちるスピードが速くなっています。特定のジャンルで常に最新の情報を配信できれば、一定数のユーザーを見込み顧客として獲得できるでしょう。
チェックシート・テンプレート型
チェックシート・テンプレート型は、ユーザーの仕事に役立つツールを提供するタイプです。
ダウンロードしてそのまま使えるチェックシートやテンプレートは、少しでも効率的に作業がしたいユーザーに人気があります。純粋にユーザーの利便性を追求している点で強い訴求力があり、より多くのダウンロードが見込めるでしょう。
次に紹介する用語集・入門ガイド型同様、すぐに使えるお役立ちツールや情報を提供するホワイトペーパーは新規リード獲得に有効です。徹底してユーザー目線のホワイトペーパーを配信することで、自社のイメージアップにもつながるでしょう。
用語集・入門ガイド型
用語集・入門ガイド型は、業界で使用されている専門用語や基礎知識について解説するホワイトペーパーです。
これは手っ取り早く必要な知識を得たい担当者に訴求効果があり、多くのダウンロードが見込まれます。用語や基本的な知識は箇条書きで記載でき、レイアウトもシンプルで、比較的作成の難易度が低いのも魅力です。
用語集・入門ガイド型とトレンド型をうまく併用すれば、ターゲットとする業界の担当者を新人の頃からファンとして囲い込むことも可能でしょう。
■ホワイトペーパーのテンプレートがある作成ツール3選
ホワイトペーパーは、作成に大変な手間がかかります。しかし現在は、ホワイトペーパーのテンプレートを備えたさまざまな作成ツールが展開されていて、ゼロから作成するより遥かに効率的に作業できます。
今回は初めてホワイトペーパーを作成する方向けに、おすすめのツールを3つ紹介します。
・Adobe Express
・Microsoft Word
・Canva
それぞれの特徴やメリットを解説します。
Adobe Express
Adobe Expressならハイクオリティな画像やフォントを自由に使用して、デザイン性の高いホワイトペーパーを作成できます。
Adobeブランドのデザイン作成ツールで、同ブランドの画像やフォントのダウンロードサービスと連動しているのが特徴。さらにデザイナーによるテンプレートも豊富で、デザインに頭を悩ませることなくホワイトペーパーの内容の作り込みに集中できるでしょう。
スマホやタブレットでも操作できるため、移動中などの隙間時間を活用してホワイトペーパーを仕上げることも可能です。
Microsoft Word
ビジネスパーソンに馴染み深いMicrosoft Wordでも、ホワイトペーパーを簡単に作成できます。
Microsoft社がWord形式のホワイトペーパーテンプレートを配信していて、個人情報などを入力する必要もなく、すぐにダウンロードして使用できます。同じMicrosoft社のPower Pointでもホワイトペーパーは作成可能ですが、Wordのほうが使い慣れている人も多いでしょう。
デザイン性の点では他のデザイン作成ツールに及ばないところもありますが、まずは気軽に資料の形にまとめてみたいときに便利です。
Canva
直感的な操作で人気なのは、オーストラリアのスタートアップ企業が提供するCanva。多様なデザイン作成に対応していて、簡単にハイクオリティなホワイトペーパーが作成可能です。
プレゼンテーション用のテンプレートに、使用したいフォントや画像をドラッグ&ドロップではめ込んでいくだけなので、初めて使用する人でもストレスなく操作できます。見映えの良いホワイトペーパーを作成したいと考える方におすすめのツールです。
■ホワイトペーパーの命!魅力的なタイトルをつける2つのコツ
ホワイトペーパーのタイトルは、ダウンロード数を左右する重要な要素といわれています。ユーザーのほとんどはタイトルに目を通して、自分にとって必要な内容かどうかを判断するからです。どれだけ価値のある情報を記載していても、タイトルでユーザーを振り向かせることができなくてはダウンロードされません。
ここではホワイトペーパーのタイトルをつける際のポイントを2つ紹介します。しっかりとユーザーにアピールする要素を盛り込み、ダウンロード数を増やしましょう。
一目で有益だとわかるタイトルにする
まずはホワイトペーパーに記載された情報の有益性をアピールすることです。どのような課題が解決できて、どのような成果が得られるのか簡潔にまとめる必要があります。
タイトルは少ない文字数ですが、しっかりと推敲してユーザーに伝わりやすい表現になっているかチェックしましょう。作成したタイトルを第三者に見せて、アピールしたいポイントが伝わるか確認してもらうのもおすすめです。
また「Webマーケティングの担当者様必見!」のように、ターゲットを明確にしたサブタイトルを記載することも有効です。
具体的な数字やデータを入れる
ユーザーの注意を引くには、具体的な数字やデータを盛り込むのも効果があります。ユーザーは具体性のある情報ほど信頼する傾向にあり、さらに数字は視覚的にもインパクトがあるからです。
例えば「97%のユーザーが効果を実感」や「ダウンロード数が平均30%アップ」といったデータを盛り込む方法もありますし、「5つの注意点」のように数字を入れるだけでも効果的です。
これらの数字を使ったタイトルのテンプレートを一度作成してしまえば、2回目以降のホワイトペーパーのタイトルは、ある程度システマチックにつけることができます。まずは他社のホワイトペーパーやネット上の記事のタイトルを参考に、効果的な数字の使い方を勉強しましょう。
■まとめ
今回はホワイトペーパーの作成にあたって知っておくべき、基本の構成や種類を解説しました。
ホワイトペーパーも、基本的には他の多くのビジネス資料と同じです。5パラグラフの法則に沿ってストーリーテリングを展開し、望む方向性へユーザーを導いていきます。
ただしホワイトペーパーの多くはリード獲得を主目的としているため、内容以上にダウンロード数を左右するタイトルの作り込みが重要という側面もあります。基本の構成とデザインのパターンを身につけておけば、2回目以降は内容部分にそれほど手間をかけずにすむので、労力とクオリティのバランスに気をつけながら作成していきましょう。
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