「顧客ロイヤルティを向上させたい」
「顧客ロイヤルティが低く、高める方法や指標を知りたい」
そんな悩みを抱えている企業担当者はいますか?
顧客ロイヤルティは、単に商品やサービスを提供するだけでなく、顧客がその企業やブランドに対して持つ信頼や感情的なつながりを意味します。顧客が一度購入した後も継続して利用したいと感じるかどうかは、顧客ロイヤルティの高さに左右されます。高い顧客ロイヤルティを持つ顧客は、リピーターとして定期的に商品を購入するだけでなく、口コミや紹介を通じて新たな顧客を引き寄せる力を持っています。
また、ロイヤルティが低い場合に企業がどのような影響を受けるのか、さらに顧客ロイヤルティが高い企業の事例を紹介します。
顧客ロイヤルティとは?
顧客ロイヤルティとは、顧客があるブランドや商品、またはサービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のことであり、企業に対する忠誠心の度合いです。
簡単に言うと、顧客がどれだけその会社やブランドに対して忠誠心を持っているかを示すものです。たとえば、何度も同じお店で買い物をしたり、友人にそのお店をすすめるような行動は、顧客ロイヤルティが高いことを意味します。単に満足しているだけではなく、その企業を信頼し、継続的に利用し続ける気持ちを持っているかどうかがポイントです。
顧客ロイヤリティ(こきゃくロイヤリティ、英: Customer Loyalty, CL)とは、顧客があるブランドや商品、またはサービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のことを指す。ロイヤルティとは、もともと忠誠心を表す「Loyalty」から派生しており、企業に対する信頼や愛着の大きさを、ロイヤルティが高い(低い)と表現する。
Wikipedia
顧客が企業やブランドに対して抱く長期的な信頼や愛着が高いと、以下のようなメリットがあります。
顧客ロイヤルティは、商品やサービスに満足するだけでなく、顧客が企業とのつながりを感じ、繰り返し利用したいと思う関係性を築くことが重要です。たとえば、お気に入りのコーヒーショップを定期的に訪れる顧客は、その店の顧客ロイヤルティが高いと言えます。
「顧客ロイヤルティ」と「顧客満足度」との違い
顧客満足度と顧客ロイヤルティは似ていますが、異なる点があります。一般的に、顧客満足度は商品やサービスを利用した瞬間の評価を表しますが、顧客ロイヤルティは長期的な視点での信頼関係です。満足しただけでは、顧客が再び利用するとは限りません。しかし、ロイヤルティが高ければ、顧客は何度もその企業を選び、他の人にも勧める可能性が高まります。
顧客ロイヤルティ・顧客満足度はどちらも大切な内容ですが、下記は、EC事業者が事業を展開する上での課題の調査結果です。
最も多い課題が、「新規顧客の開拓」でしたが、次に多い課題は「既存顧客の継続化」です。既存顧客が継続してECを利用するには、顧客満足度・顧客ロイヤルティが高める必要があります。
企業が成長を続けるためには、顧客満足度を高め、顧客ロイヤルティを育てる(ナーチャリング)ことが不可欠です。
「顧客ロイヤルティ」と「顧客ロイヤリティ」はどっちが正しい?
「顧客ロイヤルティ」と「顧客ロイヤリティ」は同義です。英語では、「Customer Loyalty」と表記しますが、日本語の発音が人によって違うことが要因です。
顧客ロイヤルティの指標
顧客ロイヤルティを効果的に測るためには、いくつかの指標を使って評価することが大切です。これにより、企業はどれだけ顧客がブランドに対して愛着や信頼を持っているかを数値化し、改善策を立てることができます。
顧客ロイヤルティを測る主な指標は以下の通りです。
顧客ロイヤルティを図るための他の指標として、CESとNRSとDWBがあります。
1. CES(カスタマーエフォートスコア)
CESは「Customer Effort Score」の略で、顧客が自身の課題解決にどれだけの労力をかけたかを測定する指標です。顧客が問題を解決する際に感じたストレスや負担が少ないほど、満足度が高いという考えに基づいています。CESは、7段階の選択肢を使い、「どのくらい簡単に解決できたか?」を尋ね、顧客が感じた労力を数値化します。
2. NRS(Net Repeater Score)
NRSは「Net Repeater Score」の略で、製品やサービスを今後も利用する意思を測定する指標です。顧客に「1年後もこの製品を使い続けたいか?」という質問をし、以下の5段階で評価してもらいます。
- 5点:積極的に継続したい
- 4点:同じ程度に継続したい
- 3点:まだわからない
- 2点:できれば継続したくない
- 1点:絶対に継続したくない
この結果に基づき、5点を「リピーター」、4点を「中立者」、1〜3点を「離反リスク者」に分類します。NPSと組み合わせて使うことで、行動ロイヤリティが低いが心理的に高いユーザーを特定するのに役立ちます。
3. DWB(Definitely Would Buy)
DWBは「Definitely Would Buy」の略で、特定の商品を「絶対に買いたいか」を問う指標です。顧客に「絶対に買いたい」「買いたい」「どちらでもない」「あまり買いたくない」「全く買いたくない」の5段階で回答してもらい、その中で最高評価をつけた顧客の割合をブランドロイヤリティの指標として使用します。このデータは、顧客の購入意思を明確にし、ブランド戦略に役立てることができます。
また、補足として、アップセル率やクロスセル率の成功率が高ければ、顧客ロイヤルティが高いと判断できるかもしれません。
指標の活用方法
これらの指標を使うことで、企業は顧客ロイヤルティの状況を具体的に把握し、改善すべき点を見つけやすくなります。例えば、NPSが低い場合、顧客が不満に思っているポイントを特定して、サービス改善につなげることができます。また、LTVを意識することで、長期的に顧客との関係を深める施策を考えることが可能です。
3. 顧客ロイヤルティを高めるための方法
顧客ロイヤルティを高めるためには、顧客がブランドや商品に対して信頼感や愛着を持つようにすることが重要です。
以下に、顧客ロイヤルティを強化するための具体的な方法を紹介します。
これらの方法を活用することで、顧客との長期的な関係を築き、企業の売上や顧客満足度を向上させることが期待できます。
顧客ロイヤルティが低いとどうなる?
顧客ロイヤルティが低い状態が続くと、企業にとってさまざまな不利益が発生します。以下に、顧客ロイヤルティが低い場合に起こり得る主な影響を紹介します。
顧客ロイヤルティを低いままにしておくと、短期的な売上への影響に留まらず、長期的には企業全体の成長にブレーキをかける要因になりかねません。
顧客ロイヤルティの高い企業事例
日本企業で顧客ロイヤルティの向上に成功した事例として、いくつかの企業がポイントプログラムや会員制システムを活用しています。
顧客ロイヤルティを高める施策に成功した企業事例を3つ紹介します。
出前&宅配のUberEats
アメリカを代表するフードデリバリーサービスの一つであるUberEatsは、顧客ロイヤルティが高いとされています。その理由として、顧客がUberEatsを繰り返し利用する要因はいくつかあります。
ロッキング・オン・グループが開催する音楽フェス
日本のロッキング・オン・グループが主催する音楽フェスは、音楽愛好家の間で非常に高いロイヤルティを持っています。例えば「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」や「COUNTDOWN JAPAN」など、長年にわたる成功を収めているイベントは、以下の要素がロイヤルティの高さに寄与しています。
キャッシュレス決済アプリのPayPay
日本で人気のキャッシュレス決済アプリPayPayは、ポイント制度を活用して顧客ロイヤルティを高めています。
PayPayの運営会社は、PayPayの株式会社です。PayPay株式会社はキャッシュレス決済の普及を目指して、ソフトバンクとLINEヤフーの両社によって2018年6月に設立された会社です。
PayPay株式会社には、下記の関連会社があります。
顧客ロイヤルティのまとめと今後の展望
顧客ロイヤルティは、企業が長期的に成功するための重要な要素です。顧客が企業やブランドに対して信頼を持ち続けることが、再購入や口コミでの紹介、ブランドのファンを生み出す結果に繋がります。顧客ロイヤルティを高めるためには、継続的なコミュニケーション、顧客のニーズに応じた柔軟な対応、そして付加価値を提供する戦略が不可欠です。
今後、AIやデータ分析を活用したパーソナライズされた体験の提供が、さらに顧客ロイヤルティの向上に寄与するでしょう。また、エシカル消費やサステナビリティへの関心が高まる中で、これらの社会的課題に取り組む企業は、顧客との関係をより強固にしやすくなると考えられます。未来の顧客ロイヤルティ戦略は、単に売上を上げるだけでなく、顧客の価値観や社会的責任を考慮したアプローチが求められる時代に突入しています。
企業が顧客との長期的な関係を築き、維持していくためには、信頼、価値提供、そして持続可能な取り組みが大切となるでしょう。
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