「『協賛』とは?正しい意味を知りたい」「協賛とは違うけど似ている『協力』はどう違うの?」
協賛とは、イベントなどでよく使用されていますが、真の意味を説明できる人は少ないかもしれません。そこで今回は、イベントやプロジェクトを成功に導くためには、資金調達やリソースの確保として重要な役割を果たす協賛とは、どのような意味なのかを分かりやすく説明します。
また、協賛とは異なるけれど、似たような使い方をされている言葉の「主催」「後援」「協力」「スポンサー」「共催」とはどのように意味が異なるのかなども解説していきます。
本記事では、以下のような内容を解説します。
協賛とは
まず協賛とは、企業や団体が特定のイベントやプロジェクトに資金やリソースを提供し、その対価として広告や宣伝の機会を受ける取引の形態です。
英語に翻訳すると、Sponsorshipです。
主催者は協賛により必要な資金調達や運営の支援を受け、協賛者は提供した支援に対してブランド露出やターゲット層へのアピールを期待します。
この相互の関係は、イベントの成功に貢献し、企業や団体にとって広告効果や市場認知度向上といったメリットを生む重要なビジネスパートナーシップの一形態です。
協賛と似た言葉との違い
協賛とは、イベントなどに資金を提供し、対価として宣伝の機会を得る取引の形態と説明しました。
しかし、イベントやプロジェクトにおいては、協賛と似たような言葉が存在します。
ここでは、「主催」「後援」「協力」「スポンサー」「共催」と似ている言葉と協賛とは、どのように意味が異なるのか、それぞれ説明します。
「主催」と協賛の違い
協賛とは、イベントへの関わり方という点で「主催」とは大きく違います。
協賛とは管理者である主催者に資金やリソースを提供し、その対価として広告や宣伝の機会を得る形態です。
一方主催とは、主管としてイベントやプロジェクトを企画し、計画を策定し、全体の遂行責任を負う立場です。一方で、主催者はイベントの創造者であり、協賛者はその成功に協力するパートナーであると言えます。
協賛は主催者に対してサポートを提供し、その一方で自身のブランド露出や関連性の向上を期待します。
この関係は、イベントの成功を共有することにより、両者が相互に利益を得る形態となっています。主催者はイベントやプロジェクトを立案し、計画を立て、実施する責任を持つ一方、協賛者は資金やサービス、商品などを提供することで、イベントの成功に貢献するということです。
「後援」と協賛の違い
協賛とは、重点を置く支援の内容が後援とは大きく違います。
協賛とは、主に資金やリソースの提供を通じてイベントの運営や実現に貢献するパートナーシップを指します。協賛者はイベントの成功に貢献する見返りとして、広告や宣伝の機会、ブランド露出などを期待することが一般的です。この関係は相互利益を基に成り立っており、資金面での援助が中心となります。
一方、後援とはイベントの宣伝や広報活動を行う組織や会社が、その代わりに主催者に資金やリソースを提供する形態です。後援は主に広報活動に焦点を当て、後援者は自らのブランドイメージ向上や市場拡大を期待します。
後援と協賛の違いは、提供される対価としてのメリットが広告や宣伝に重点を置いている点にあります。
「協力」と協賛の違い
協賛とは、催しなどの成功のアプローチの部分で協力と大きく異なります。
協賛とは、主に資金的な支援を提供し、商品やサービスを提供することで、プロジェクトやイベントを支える形態です。
一方で、協力は知識や専門性、スキルなどを共有し、共同作業を通じて目標を達成することを指します。
協賛とは、主に物的なリソースを提供する傾向があり、協力は主に情報やスキルを共有することに焦点を当てています。協賛がプロジェクトの経済的側面に重点を置くのに対し、協力は知識やスキルの提供に焦点を当て、より総合的な成功に寄与するのです。
「スポンサー」と協賛の違い
協賛とは、イベントやプロジェクトへの関与の仕方がスポンサーと異なります。
協賛とは、企業や団体がイベントやプロジェクトに対して資金やリソースを提供し、その対価として広告や宣伝の機会を得るパートナーシップです。
一方で、スポンサーは一般的に資金提供が中心であり、その代わりにブランド名やロゴがイベントに関連付けられ、広告媒体に掲載されることが期待されます。
スポンサーシップは、企業が広告やブランド露出を通じて市場認知度を高め、ターゲット層にアプローチする手段として捉えられます。
一方で協賛とは、主にイベントの成功に貢献し、相互の利益を追求するパートナーシップとしての性格が強調されます。
「共催」と協賛の違い
協賛とは、イベントやプロジェクトにおける関与の形態で共催と異なります。
協賛とは、企業や団体が資金やリソースを提供してイベントを支援する形態であり、対価として広告や宣伝の機会を期待します。
一方、共催は複数の主体が協力してイベントを企画・運営する形態であり、各主体が等しく責任を負います。共催者はイベントの成功に共同で貢献し、ブランドやイベント自体に対して共同の利益を追求します。
協賛とは支援者と主催者の関係を指し、共催は複数の主体が賛同してイベントを開催する関係を指す点で、意味や目的に違いがあります。
成功した協賛とは
世界中でさまざまなイベントやプロジェクトが協賛を活用して成功を収めています。
例えば、スポーツイベントや音楽フェスティバル、学術大会など、さまざまな分野で協賛活動が展開されています。
ここでは、具体的な協賛活動の成功事例を3つご紹介します。
オリンピックのIOCでのCoca-Colaの活動
Coca-Colaは、国際オリンピック委員会(IOC)とのパートナーシップを通じて、オリンピック大会の長期的なスポンサーでもあります。その歴史は長く、1928年のアムステルダム大会から始まりました。
1972年のミュンヘン大会では、公式清涼飲料水の協賛企業に認定されています。
以降、Coca-Colaは広範な視聴者に向けてブランドをプロモーションし、グローバルな視聴者層にアクセスできると同時に、IOCは大会の運営に必要な資金とリソースを得ることができます。
FIFAワールドカップでのアディダスの活動
アディダスは、FIFAワールドカップの長期的なスポンサー企業のひとつです。
大会の公式ボールや、ボランティアスタッフのユニフォームを提供しています。その他、ワールドカップ関連のグッズなどの販売事業も行っています。
これにより、アディダスは世界中のサッカーファンに向けてブランドを強化し、大会の成功に貢献しているのです。
映画『アバター』(20th Century Fox)でのMercedes-Benzの活動
映画『アバター』では、2020年にMercedes-Benzが事業の一環として、映画に登場する未来的な車両を提供し、これにより映画とメルセデス・ベンツのブランドが相互に連携しました。コンセプトカーのユニークな車体もさることながら、横やななめにも動かせることでも話題になりました。
これは視聴者に対して独自の体験を提供し、同時にメルセデス・ベンツの革新性を強調するのに成功した協賛活動の一例です。
これらの事例により、協賛が異なる分野でどれほど効果的で多岐にわたるかが分かります。成功の鍵は、相互の信頼と利益をもたらす形での協力があることを示しています。
協賛を成功につなげる方法
協賛とは、イベントやプロジェクトを実現するための強力な手段であり、成功に不可欠な要素です。
ここでは、企業がイベントやプロジェクトに協賛する際、成功につなげるためのポイントを6つご紹介します。
協賛を成功に導くためのポイントは、次のようになっています。
それぞれ、簡単に解説します。
・ニーズの明確化
企業はまず、自身のマーケティング目標や戦略に基づいてイベントやプロジェクトにおける具体的なニーズを明確にします。協賛先が提供する価値が企業のビジネス目標と一致していることが重要です。
・ターゲットオーディエンスの一致
協賛先のイベントが企業の目指すターゲット層と一致することが重要です。ターゲットオーディエンスの関心や特性にマッチするイベントに協賛することで、効果的なターゲティングが可能となります。
・相互の価値提供
協賛は相互の利益を追求するものであり、企業は提供する支援に見合ったリターンを期待します。協賛先も企業の期待に応え、広告機会やブランド露出などの形で相互の価値を創出することが重要です。
・透明性とコミュニケーション
透明性とコミュニケーションは信頼関係の構築に欠かせません。企業はイベント主催者との間で期待値や条件を明確にし、協賛契約における各種事項についてオープンで円滑な対話を重視します。
・ROIの測定手段
協賛先は企業にとってのリターンオンインベストメント(ROI)を測定する手段を提供することが求められます。企業は投資に見合った成果を求め、イベントの成功を定量的・定性的に評価できる仕組みが必要です。
・長期的な戦略
協賛活動は長期的なパートナーシップを築くことが大切です。企業は一連のイベントやプロジェクトを通じて持続的なブランド展開や顧客獲得の機会を探り、戦略的な視点で協賛先を選定することが重要です。
協賛とは成功を築くパートナシップ
協賛とは、企業とイベント主催者が共に成長し、成功を築く重要なパートナーシップ形態です。
相互の利益を追求し、ブランドの強化や市場認知度向上に寄与する一方で、主催者は資金やリソースを得てイベントの成功を支えます。
透明性、相互の価値提供、そして長期的な戦略が成功の鍵であり、協賛とはビジネスとイベントの両者にとって双方向の利益をもたらす協力関係を構築する優れた手段と言えます。
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