ChatGPT(チャットジーピーティー)を始めとする、人工知能(AI)のテキスト生成技術は、近年大きな進化を遂げています。中でも特にOpenAIが開発したChatGPTは、その代表的な存在として注目を集めています。
ChatGPTは、自然な文章を生成する能力に優れ、様々な応用が期待されています。本記事では、ChatGPTの概要や活用に欠かせないAPIの連携に焦点を当てています。
ChatGPTの基本知識
ChatGPTは、アメリカのAI開発企業であるOpenAIによって開発された自然言語処理のための大規模な人工知能チャットボットです。GPT(Generative Pre-trained Transformer)という名前が示すように、このモデルはTransformerという深層学習アーキテクチャをベースにしており、生成(Generative)と事前学習(Pre-trained)が特徴的な要素です。
ChatGPTは巨大なデータセットを用いて事前学習されており、さまざまなソースから集められたインターネット上のテキストデータを学習しています。これにより、ChatGPTは豊富な知識を持ち、膨大な文脈に基づいて自然な文章を生成する能力を備えています。
ChatGPTは主に対話型のインターフェースによって利用されます。ユーザーはChatGPTにテキストの入力を与えることで、その文脈に応じた応答が生成されます。この対話型の能力により、ChatGPTは自然なコンバーシェーションをシミュレートし、質問応答や文章生成といった様々なタスクに適用することができます。
ChatGPTの仕組みと注意点
ChatGPTの成功の一因は、その事前学習の方法にあります。巨大なデータセットを用いた事前学習によって、モデルは言語の構造や文法の理解に長けており、文脈に基づく意味の理解も高度です。
このため、ChatGPTは特定のタスクに直接適用される前に、追加の微調整(Fine-tuning)を受けることで、特定のドメインやタスクに適応できるようになります。
しかしながら、ChatGPTにもいくつかの制約があります。一つは、データセットに含まれる偏見や不正確な情報を学習してしまう可能性がある点です。また、完全に自律的なシステムであるため、生成されるテキストの品質に一定の制御が必要となります。
ChatGPTとAPI
ChatGPTの応用範囲を広げるために、APIが提供され、開発者や企業がChatGPTを独自のアプリケーションに統合できるようにしています。
これにより、より多様な分野でChatGPTの力を活かすことが可能となっています。
ただし、ChatGPTとAPIとの連携を進める際には、倫理的な側面にも注意しながら、ChatGPTの応用を進めることが重要です。
ChatGPT APIとは?
API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやアプリケーションが他のプログラムと相互に通信するためのインターフェースです。APIは、外部のソフトウェアが提供する機能やデータにアクセスする手段を提供し、異なるソフトウェア間の連携や統合を可能にします。
つまりChatGPTをこれまでのようにブラウザから使用するだけではなく、アプリケーションやサービスに組み込んで使用するために必要なのがAPIというわけです。
しかも、動作の命令だけを行う一方通行ではなく、対話型のChatGPTですから動作による結果もデータとして得ることができるため、さまざまな業務に活用させることが可能なのです。
ChatGPTの最新モデルであるChatGPT-4にも対応していますので、テキストはもちろん、処理した画像を活用することも可能です。
活用方法
以下は、ChatGPTをAPI連携する活用方法の例です。
「ChatGPT API」の使用方法
ここではChatGPT APIの使用方法を順を追ってご紹介いたします。
使用するソフトウェアやアプリケーションなどによって違いが出てくることもありますが、基本的な流れを押さえておけば安心です。
ChatGPTをどのようにAPI連携していくのか、そのために事前準備を行う必要はあるのかを確認することができます。
アカウント開設
ChatGPT APIを使用するためのアカウントをまだ取得していない場合は、登録作業を行います。
OpenAIの公式サイトより必要事項を入力するだけで登録が行えます。
また、GoogleやMicrosoft等のアカウント認証での登録を選択すれば、さらに簡単にアカウント開設が完了します。
APIキーの取得
無事にOpenAIのアカウントが開設できたら、次にAPIキーの取得が必要になります。
OpenAIにサインアップし、API用のサイトへ移動します。
移動先のページは、ChatGPT APIのポータルサイトとなっており、APIキーの生成だけではなく、ドキュメントへのアクセス・アカウント設定などでも利用します。
アカウントページからAPI生成へ移動し、これから使用するAPIキーの名称を入力してCreateをクリックすると、APIキーが表示されます。
ここで表示されるAPIキーは、他者に知られて利用されることを防ぐため、再度ここで確認・表示することができません。
ChatGPT APIを利用するための最重要キーですので、取得したAPIキーは自身で控えておくことが必要です。
使用するAPIでの呼出を行う
ここからAPIを呼び出すために先ほど取得したAPIキーを利用しますが、使用するアプリケーションやその環境によってその方法に違いがあります。
こちらはPythonの一例です。
アプリケーション側に、OpenAIのAPIクライアントをインストールしておき、コマンドを実行するための入力を行います。
APIキーをセットして、実装を完了します。
ChatGPT APIの準備には、プログラミング言語の入力を行って開始準備をするものもあります。
APIキーをセットした後、アプリケーション側で使用するためのコードが必要になる場合もあります。
また、ChatGPT APIへの実装時に引数を追加しておけば、ChatGPTの行動のカスタマイズも可能です。
「ChatGPT API」のコスト
ChatGPT APIが便利なのはわかっているけれども、かかるコストが気になっているという方も多くいることと思います。
ここでは、気になるChatGPT APIのコストについてご紹介いたします。
これまでのようにブラウザ版のChatGPTは無料での利用ができましたが、ChatGPT APIは有料での利用となります。
ChatGPT APIは、無料で使用できるわけではありませんが、既にChatGPT APIを利用している方々からは、費用対効果はとても高いという意見が多いようです。
料金設定
ChatGPT APIにかかるコストは、月額〇〇円という費用ではなく、ChatGPT APIの利用料に応じて費用が変わってくるところがポイントです。
OpenAIのサイトでは、1000トークンあたり0.002ドルと設定されています。
この「トークン」は、ChatGPT APIの課金にかかる単位となります。
1トークン=英語の1単語とされています。
コスト節約の注意点
ChatGPTの応答・投稿どちらもコスト計算の対象となり、日本語はひらがな1文字で1〜2トークン、漢字は1文字で2〜3トークンです。
そのため、ChatGPTをコストを上げずにAPI利用するには、少し工夫が必要です。
ChatGPTからの回答の精度は少し下がってしまいますが、過去のやりとりを全て利用しないようにする、予め上限回数を登録しておいたり、回答数を制限しておいたりすることも有効です。
また、日本語よりも英語の方がトークンの消費が少なくて済むため、翻訳サイトなどを上手に使用して、ChatGPT APIを英語で使用することも効果があります。
OpenAIは、新しいモデルのGPT-4oを発表しましたが、GPT-4 turboと比較して、半額の料金でAPIを利用できるようになりました。
「ChatGPT API」の連携先
ChatGPTをAPI連携で利用すると便利そうだけれども、改めてAPI連携するためにまた別のソフトウェアやアプリケーションを導入しなければならないだろうかという心配があるかもしれません。
ChatGPTからのAPI連携先は多数ありますが、その中からおすすめの10選をここでご紹介いたします。
Dialogflow
「api.ai」が、2016年よりGoogleによって提供されることになった自然言語処理のプラットフォームで、AIエンジンとして、チャットボットをコーディング不要で簡単に作成します。
Google提供であるため、膨大なデータや確かなノウハウに沿った自然言語処理が可能で、ChatGPT と連携すれば、AI チャットボットの開発が拡大できます。
英語や日本語だけではなく、20以上もの言語に対応していること、連携先にはデバイスやプラットフォームの制限がないことも魅力です。
Amazon Comprehend
Amazon Web Services(AWS)で運用されている、自然言語処理サービスです。
Amazon Comprehendという、Amazonが独自に開発した文書の解析サービスにより、通常なら知識がないと行えない、テキストや感情の分析を、 プログラミングを行わなくても利用できる点がポイントです。
ChatGPTとAPI連携を行えば、固有名詞やキーワードからなる短い簡単な言語からでも
抽出を行って、感情分析を行うことが可能です。
Wit.ai
Wit.aiは、Facebookが提供しており、テキストや音声を使って製品を操作できる、自然言語処理プラットフォームです。
Wit.aiは無料利用が可能な点がうれしいところですが、 適度なプログラミング知識を会得していることが必要です。
ChatGPTとAPI連携すれば、AIチャットボットの開発に期待ができます。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、マイクロソフトから提供されているクラウド型のコンピューティングサービスです。
なんといってもマイクロソフトの各製品のユーザーにとっては初期費用不要で利用でき、製品との相性も良いところが最も大きな特徴といえます。
ChatGPTとAPI連携をすれば、業務の自動化が期待でき、連携方法も容易になっています。
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IBM Watson
IBM Watsonは、IBMが開発した知能システムです。
AIプラットフォームと説明されていることもありますが、拡張知能と定義されています。
IBM Watsonの特徴は、人間が持つ自然言語を用いて音声認識により質問に答えたりする質問応答機能、またIBMが誇る膨大なデータから抽出して人類に必要な情報を投げかける意思決定支援です。
ChatGPTとAPI連携をすることで、より高度な自然言語処理が可能になります。
Kintone
Kintone (キントーン)は、サイボウズ株式会社によるクラウドサービスです。
現在人気急上昇中であり、これまでに累計で30,000社以上取り入れられ、毎月500社以上の企業が新規で導入しています。
スピーディーさと低価格がモットーで、データベース、プロジェクト管理などを、従来の専門システムを使用するより快適で柔軟に使えることを実現しました。
さらにCRM、ビジネスプロセス管理など、他にも様々な業務の効率化を実現し続けているプラットフォームであり、ChatGPTとAPI連携させることで、タスクの自動化はもちろん、データの取得・更新、アプリ間連携などの自動化が望めます。
Miro
Miro(ミロ)は、複数人でオンラインでの共同作業やビジュアルコミュニケーションを閲覧したり編集したりすることをサポートするツールです。
オンラインホワイトボードという特徴的な機能が使え、ホワイトボードをオンライン上で利用できるイメージですので、テキストや画像を書き込みながら、メンバー間での認識共有や情報整理が可能です。ChatGPTとAPI連携すれば、プロジェクトの進捗状況の確認はもちろん、ミーティング時間の短縮や新たなアイテムの取り入れなどもスムーズに行えます。
Slack
Slackは、チャンネルと呼ばれている専用スペースを利用するクラウド型のビジネスメッセージアプリです。
個別のチャンネルからメンバーが集まるグループに参加したり、必要な情報を掴んだりしながら、社内・社外の人との連携も簡単に行えます。
Slackの利用者にとってタイミングの良いアクセスが可能でありながらメンバー間との情報共有も実現します。
ChatGPTとのAPI連携でサービスの自動化が図れるようになり、さらにSlackにより指定されたスレッドに、通知することも可能です。
Chatwork
Chatworkは、ビジネス用のチャットツールで、オンラインやコラボレーションでの活動をサポートしてくれるツールです。
メンバーChatwork間での個別のチャットだけではなく、チーム内全体でのコミュニケーションや情報共有が可能です。
ChatGPTとのAPI連携の例では、翻訳機能を活用して、外国語での文章を自動的に翻訳した状態でChatworkの所定のメンバーに送ることができます。その間の時間と手間を大きく削減し、業務の効率化が図れます。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、Microsoft社のExcelと同様の機能を持った表計算プログラムで、クラウド型となっているため、数人での同時作業が可能です。
データの共有や管理、受け渡しも効率良く行うことができるため、遠方の人との共同作業にも向いています。
ChatGPTとGoogleスプレッドシートをAPI連携すると、ChatGPTでの検索結果がそのままGoogleスプレッドシートに反映され業務の大幅な時間短縮を図ることができます。
ChatGPT API まとめ
ChatGPTをAPI連携することで、さまざまなサービスの設定が自動化され、より便利に日常や業務が進むことが期待できます。
ChatGPTから使用するソフトウェアへAPIを連携することで、情報の受け渡しが自動化されるため、手動でデータ入力するよりも正確性が上がり、時間短縮にもなります。
また、これまでそれぞれ単体ではできなかった方法を選択することができたり、新しい機能がいち早く利用できたりもするのは嬉しいところです。
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