営業の現場では、リードという用語がよく用いられます。リードの獲得や育成といった使われ方をしますが、実は定義がはっきりわかっていない若手営業の方もいるかもしれません。
今回は営業部門におけるリードの定義と、具体的なリードの獲得方法、役立つツールを紹介します。この記事を読めば、営業パーソンとしてどうやってリード獲得に取り組めばよいかが理解できるでしょう。
■リードとは?
リードとは見込み顧客、あるいは見込み顧客の情報を意味します。自社の名前や商品・サービスを認知しているけれど、契約には至っていない層を指す言葉です。営業部門だけでなく、マーケティング部門でも頻繁に用いられます。
気をつけるべきなのは、営業部門とマーケティング部門では、リードの意味が少し変わることです。具体的には、契約にいたるまでのプロセスで、どの段階にいる見込み顧客を指す言葉なのか、その定義が異なります。ここでは営業部門、マーケティング部門それぞれのリードの意味を解説します。
営業におけるリード
営業におけるリードは、マーケティングのリードよりも受注に近い段階の見込み顧客を指します。
営業では、自社の名前や商品・サービスを認知しているだけ、あるいは問い合わせのアクションを起こしただけの見込み顧客はリードとは呼びません。自社の営業が担当者と関係性を持ち、契約を得るまでの道筋がある程度描けている状態をリードと定義しています。
営業として担当者と名刺交換している、もしくは電話やメールでコミュニケーションをとり、相手の購入意欲の度合いを推察できて、初めて営業におけるリードといえるでしょう。
マーケティングにおけるリード
マーケティングにおけるリードは、営業のそれよりも広い範囲を指します。マーケティング部門は、営業のように実際に顧客と関わることはあまりありません。ユーザーに向けて広告を打ったり、SNSやWebサイト上で情報を発信したりして、まずは自社を認知してもらうところから始めます。
そのため、それらの施策が成功して、自社の名前や商品・サービスを認知した段階のユーザーもリードとして扱います。
各企業によって異なりますが、ユーザーから問い合わせがあり、ある程度の受注確度が見込まれる場合、そのリードはマーケティング部門から営業部門へと引き渡されます。最初にリードとして獲得したのがマーケティング部門でも、商談やクロージングを担当するのは営業になるパターンが多いでしょう。
■営業ができるリード獲得方法7選
次に、営業ができる具体的なリードの獲得方法を紹介します。主なリード獲得のための手法は以下の7つです。
- 飛び込み営業
- テレアポ
- イベント、展示会
- ダイレクトメール
- 問い合わせフォーム
- SNS
- メール
それぞれ詳しく解説します。
飛び込み営業
飛び込み営業は、日本で昔からある営業手法です。アポイントをとらず、ターゲットとなる企業に直接訪問して商品・サービスを紹介します。
相手の状況などを把握せずにいきなり訪問するので、担当者との名刺交換もできずに終わる可能性が高いでしょう。次の訪問先への移動時間もかかりますし、効率的な方法とはいえません。
ただし、特に年齢の高い担当者のなかには、昔ながらの足で稼ぐ営業スタイルに好感を持っている人も多くいます。メールや電話でアプローチしてくるより誠意があると捉えてもらえれば、信頼関係を築く第一歩となるでしょう。相手と顔を合わせて名刺交換すれば、Webからの問い合わせで得たものより、受注確度の高い上質なリードを獲得できる可能性があります。
テレアポ
テレアポも飛び込み営業同様、昔からある手法です。営業リストに端から端まで電話をかけて、1件でも多くの担当者とのアポイントを獲得します。
アポイントが取れれば名刺交換ができて、営業部門におけるリードが獲得できたといえるでしょう。また商談の機会が得られなくても、電話口で担当者の名前や連絡先などを聞き取れれば、少なくともマーケティング部門としてのリードは得られます。
テレアポも、営業をかける側のタイミングで一方的に連絡をとるので、断られる可能性が高い手法です。飛び込み営業ほど時間的コストや労力はかかりませんが、顔が見えない分、相手側に与えるインパクトも小さくなります。うまく相手にニーズがあるタイミングを捉えられるまで、根気強く続ける必要があるでしょう。
イベント・展示会
イベントや展示会はマーケティング部門が担当する企業も多いですが、営業のメンバーも参加することで、直接ターゲットとなる担当者と名刺交換するチャンスがあります。
イベントや展示会は、飛び込み営業やテレアポと違って、相手が自発的に参加している場です。そのため、意欲が高まっているタイミングで名刺交換でき、商談や契約につながる可能性も高いでしょう。
一方で、開催準備のために飛び込み営業や、テレアポにおとらぬ手間やコストがかかるのがデメリットです。そのため現在は、手軽なオンラインセミナーなども広まっていますが、顔を合わせての名刺交換ができないため、リードの質は落ちる傾向にあります。
ダイレクトメール
ターゲット企業に郵便やFAXでDM(ダイレクトメール)を送る方法もあります。今はメール営業が増えていて、アナログなDMは減っていますが、その分担当者の目に留まりやすくなっています。Webメールに比べて写真やイラストなども多く使えるため、魅力を伝えやすいのはダイレクトメールのメリットでしょう。
ただし、相手にニーズがあるかわからない状態で送るため、アクションにつながる確率は高いとはいえません。
興味関心を高めるためには、商品・サービスの訴求ポイントを明確にしてキャッチコピーやデザインを工夫し、一目で担当者の注意を引きつけるDMを考えることが大切です。
問い合わせフォーム
ターゲット企業のホームページに設置された、問い合わせフォームへ営業をかける方法もあります。
ユーザーからの問い合わせを放置しているとイメージ悪化につながるため、多くの企業が問い合わせフォームから届いたメールは、なるべく早く開封しているのではないでしょうか。そのため、担当者の目に留まる可能性は高いでしょう。
しかし、ユーザーからの問い合わせと思って開封してみたら他社からの営業メールだったとなれば、心象は悪くなります。問い合わせフォームへの営業メールは、それを覆せるほど訴求ポイントがある場合など、限られたシーンで活用するのがよいでしょう。
SNS
営業部門でSNSのアカウントを運用して、興味を持ったターゲットにアプローチするのも効果的な手法です。
SNSは広告掲載と違い、手間さえかければ無料で多くのユーザーに情報を発信できますし、拡散力もあります。有益な情報を提供したり、表現を工夫したりすれば、フォロワーが情報を自発的に広めてくれるのです。
ただし、SNS上でセールス色の強い投稿ばかりでは、敬遠される傾向にあるため注意が必要です。あくまでユーザー目線で有益な情報の発信に努め、興味を持って接触してきたターゲットにアプローチするようにしましょう。
メール
ターゲット企業のホームページで公開されているアドレス宛てに、メールで営業をかける方法もあります。
DMと同じく訴求ポイントを明確にして、開封前に目に留まるタイトルを使ってアピールする必要があります。公開されているアドレスには他にも多くのメールが届くので、埋もれてしまう可能性は高いでしょう。それでも大量のリストに一斉に配信すれば、興味を持ったターゲットから連絡がくることもあります。
メール営業は何度も試行錯誤を繰り返し、反応を見ながらタイトルや文面をブラッシュアップしていきましょう。
■営業活動で効率的にリード獲得するならSFAがおすすめ
営業部門のリード獲得方法は、飛び込み営業やテレアポなど、手間のかかるものが多いのは事実です。そのため、マンパワーを必要としない工程においてはツールを導入し、できる限り効率化するのがおすすめです。
ここではリード獲得で役立つSFA(Sales Force Automation)について解説します。SFAは営業支援ツールとも呼ばれ、営業活動で得た顧客情報をデータとして管理・活用するツールです。SFAの一般的な機能と、類似ツールとの違いを理解しておきましょう。
SFAでできること
SFAは営業部門のあらゆる情報をデータ化して、一括管理・活用するツールです。従来の営業は属人的なスタイルで、情報も営業メンバーがそれぞれ管理しているのが一般的でした。
しかしSFAがあれば、顧客・見込み顧客の情報や案件の進捗、過去の商談の履歴などを可視化して、全員で共有可能です。さらにデータを分析して、売上予測や予算の無駄なども算出できます。
SFA導入のメリットは、営業活動を徹底的に効率化できることです。従来の方法の場合、売上向上は個々の営業メンバーのスキルに頼っていましたが、データを分析して得た情報は、全メンバーで共有できます。組織として戦略的に営業活動を展開できますし、人的リソースが少ない場合でも、成果が出しやすくなるでしょう。
MA・CRMとの違い
顧客の情報を扱うツールには、他にMA(Marketing Automation)とCRM(Customer Relationship Management)があります。SFAと混同されがちですが、それぞれ用途が異なるので、違いを理解しておきましょう。
MAはマーケティング活動を自動化するものです。見込み顧客がどのようなアクションを起こしたかなどの情報を集約し、購入意欲を分析してくれます。そして顧客を購入意欲ごとにグループ分けして、それぞれのグループに適した内容のメールマガジンの配信までしてくれます。
CRMはSFAに似ていますが、営業活動に限らず、自社と顧客との関係全般を管理するためのものです。これまでの問い合わせや商談の履歴、契約実績などをすべて収集・管理します。そのデータはニーズの掘り起こしのためでもありますが、商品・サービスを導入したあとの満足度を知るのにも使われます。より広い視野で、顧客との関係性を向上させることを目的としたツールです。
■営業が効率的にリード獲得するためのおすすめSFAツール3選
SFAツールが役立つことがわかったところで、ここでは具体的にSFAツールを紹介しておきましょう。おすすめのSFAツールは以下の3つです。
- Salesforce(セールスフォース)
- kintone(キントーン)
- Senses(センシーズ)
それぞれの特徴を解説します。
Salesforce(セールスフォース)
圧倒的なシェアを誇るのは、Salesforce社のSFAシステムです。大企業を中心に導入が進み、現在では中小企業向けの商品も展開されていて、ますますシェアを伸ばしています。
Salesforceの魅力は、必要な機能がひととおり備わっていることはもちろん、MAツールなど他のシステムとの連携が可能で使いやすいことです。導入後のフォローやシステム定着のためのサポートも充実していて、非常に顧客満足度が高いことも人気の理由でしょう。
kintone(キントーン)
より自社のスタイルに適したSFAを求めるなら、自分たちでアプリケーションを構築するのも1つの選択肢です。業務支援アプリケーションを自由に作成できるkintoneで、自社に最適なSFAになるようカスタマイズしてみましょう。
自社で作成といっても、kintoneにプログラミングは不要です。SFAに必要な基本機能、データの収集や管理などはあらかじめ備わっています。さらにkintoneで作成した他の業務支援アプリケーションからの情報もまとめて、kintone上で一元管理が可能です。使い方次第で全社的に業務を効率化できるでしょう。
Senses(センシーズ)
自社の営業部門で昔ながらのスタイルがなかなか抜けきらないと悩んでいるなら、Sensesもおすすめです。
直感的な操作など現場のメンバーの使いやすさを重視したつくりで、これまでSFAツールに馴染みがなかった企業からも好評を得ています。営業のスキルやノウハウを個々の営業メンバーが抱え込んでしまう状況を解消し、営業活動の効率化・可視化によって、すべてのメンバーが最大限の成果を出すことを目的としています。
■まとめ
営業におけるリードの定義や、実際にリードを獲得する方法、役立つツールを紹介しました。リードはすべてが契約につながるわけではありませんが、常に新規顧客を獲得して売上を維持していくためには欠かせないものです。
また、すぐに契約につながらなかったリードでも、ツールを駆使して管理・育成すれば、状況が変わってニーズが生まれるかもしれません。成約につなげるための重要なステップと心得て、精一杯取り組みましょう。
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