売上を右肩上がりに改善・維持するためには、営業活動の最初のステップとなるリード獲得の施策が重要です。しかし、どこの企業もリード獲得のための予算は限られているため、少しでもコストパフォーマンスに優れた施策を選びたいと考えるのは当然でしょう。
今回は一般的なリード獲得施策の種類と、その単価相場を解説します。他社がどのような施策で、実際どのくらい費用をかけているのかが気になるマーケティング担当の方は、ぜひ参考にしてください。
さらに記事の後半では、効率的なリード獲得戦略のために必要なKPIの設定方法も解説しています。無駄な費用をおさえつつ、リード獲得の成果を上げる仕組みを理解しましょう。
■リード獲得単価とは?
リード獲得単価とは、見込み顧客(リード)1人を獲得するためにかかる費用を意味します。マーケティング用語ではCPL(Cost Per Lead)と呼ばれ、マーケティング活動の効果指標として重要な概念です。
リード獲得単価の数値が低いほど、コストパフォーマンスに優れたマーケティングが実施できていることになります。現在では、より費用が安いオンライン施策が増え、旧来の展示会やテレマーケティングよりもリード獲得単価は低い傾向にあります。しかし、旧来の施策には成約まで至りやすい質の高いリードが獲得できるメリットなどもあり、単純にリード獲得単価だけで選ばないことも大切です。
ちなみに似た用語にCPA「Cost Per Acquisition」があります。こちらはコンバージョン1件を獲得するのにかかった単価のことです。
■リード獲得の単価相場と有効な施策
現在は昔ながらのオフラインの施策に加え、便利で低価格なオンライン施策も増えて、リード獲得方法の選択肢が多くなりました。今回は、なかでも人気のリード獲得施策と、その単価相場を解説します。おすすめのリード獲得施策は以下の6つです。
それぞれの仕組や手順を詳細に解説するので、自社のビジネススタイルや特徴に合う施策を検討しましょう。
Web広告
Web広告は現在さまざまな種類のサービスがあり、その種類や設定する条件によって価格が大きく異なります。
例えば、Googleなどの検索機能と連動させて、ユーザーが特定のキーワードで検索したときに上位に表示されるリスティング広告の場合、検索ボリュームが大きいキーワードほど高額で、自ずとリード獲得単価も高くなります。1件5万円以上になる可能性もあるため、見合った効果が得られるか十分な検証が必要です。
他にも通常の広告枠に表示されるディスプレイ広告、SNS上に表示されるSNS広告、通常の記事コンテンツのようにPR記事を表示するタイアップ広告などがあります。いずれもリード獲得単価にして1件数円〜数万円と価格帯に幅があるので、契約前によく確認しておきましょう。
外部メディア掲載
外部のメディアに広告などを掲載して、問い合わせや申込からリードを得る方法もあります。この場合、掲載先のメディアに払う料金から、リード獲得単価を算出できます。
外部メディア掲載の場合、リード獲得単価の相場は5,000円〜1万円ほど。ただし、メディアの閲覧・会員数や専門性によって価格は変わるので、あくまで目安として考えてください。またリードの数だけでなく、質の高さを売りにしているメディアもあるので、単純なリード獲得単価だけで選定しないようにしましょう。
ホワイトペーパー
有効なリード獲得手段として新たに注目されているのが、ホワイトペーパー(Web資料)の配信です。ユーザーの興味を惹く内容の資料を無料で提供し、ダウンロードの際にリードを得る仕組みです。ホワイトペーパーの内容によっては、リード獲得だけでなくリード育成までの効果が見込めるところもポイント。
ホワイトペーパーのリード獲得単価の相場は、3,000円〜5,000円程度です。自社で取り組む部分が多いため、広告掲載などに比べると費用が抑えられる傾向にあります。
ただし数あるホワイトペーパーのなかで、ターゲットの目に留まるためには、タイトルや表紙のデザインなどに工夫を凝らす必要があるでしょう。
セミナー開催
セミナー開催は、昔からあるリード獲得手段です。現在は実際に会場を用意して来場客を集めるセミナーの他、オンライン上で開催されてユーザーがどこからでも参加できるウェビナー(Webセミナー)も人気です。
通常のセミナーの場合、リード獲得単価の相場は8,000円〜と、やや高めになっています。しかしオンライン会議システムを用いて自社で運営するウェビナーは、うまく活用すればリード獲得単価を0円に抑えることも可能です。
展示会・イベント
展示会などのイベントを開催して、リードを得る方法もあります。イベント開催の場合、内容にもよりますが8,000円〜1万円ほどがリード獲得単価の相場になります。
特に展示会は、多くの場合かなり広いスペースが必要になるため、それだけ会場の使用料がかかるでしょう。
セミナー同様、会場の準備や告知などの手間がかかりますが、実際に見込み顧客とコミュニケーションをとり、質の高いリードが得られるのは大きなメリットです。顔を合わせて名刺交換したことで得たリードは、その後の信頼関係が築きやすく、手軽なWeb広告から得たリードより契約につながりやすいでしょう。
お問合せ
自社で運営するWebメディアにユーザーを集め、問い合わせからリードを獲得する方法もあります。
問い合わせによってリードを得るまでには、メディア内のコンテンツを充実させ、SEO対策をしてページを上位表示させるなど、長期的な取り組みが必要です。必然的にリード獲得単価も高くなり、おおよそ3万円〜10万円が相場とされています。
オウンドメディアにユーザーを集めるためには、魅力的なコンテンツが必要です。自社のブランディングにもつながるので、リードを獲得した後のユーザーへのフォローも丁寧にしましょう。
オウンドメディアは自由にカスタマイズできるので、試行錯誤を繰り返すうちに、自社にとって最適なリード獲得ツールになる可能性があります。
■リード獲得の単価算出に重要なKPIの設定方法
リード獲得の目標を定めるためには、その前段階であるKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。
KPIとは最終的な目標に到達するまでの中間目標です。プロセスの進捗を客観的な指標で評価することで、最終目標までの長い道のりを着実に進めていくことができます。
営業活動では売上で結果を出すことが最終目標で、リード獲得数はその過程のKPIをさらに具体的な数値に落とし込んだものになります。下記でリード獲得数を設定するまでを、順を追って解説します。
KGI(目標金額)を設定する
まず、最終目標である売上金額・KGIを設定します。プロジェクトの目標設定で大切なのは、数字で明確に表すことです。関係者の誰もが達成の度合いを判断できるよう、具体的な数値目標を設定しなくてはなりません。また、その定義や算出の論拠としたデータの意味を周知・一覧化し、共通のゴールを目指せるようにしましょう。
KGIはプロジェクト全体のゴール地点であり、メンバーはみんなKGIを目指して力を尽くすことになります。モチベーションを低下させないよう、達成可能な範囲で、高い目標数値を見定めることが大切です。
また、プロジェクト全体の目標のみでは、メンバー各人がどのように取り組めばよいのかわからずモチベーションが上がりにくいケースがあります。できれば、スキルや経験に合わせて個人別に目標数値を振り分け、みんなが協力して目標を達成できるよう工夫をしましょう。新人や商談に慣れていないメンバーには目標を低く、中堅社員やリーダーには目標を高く設定するなど、きめ細かい設定がおすすめです。
KPI(受注数と商談数)を設定する
KGIを達成するまでのプロセスで段階的にチェックしていく中間目標が、KPIです。KGIが売上金額であれば、KPIは受注数や商談数にあたります。KPIは、KGIを達成するための指標なので、KGIである売上金額に基づいて算出されます。
具体的には目標の売上金額を達成するために必要な受注数、さらにその受注数を達成するために必要な商談数というように、それぞれの目標から逆算して段階的に設定していくのです。
プロジェクトの進行中は、KPIの達成率や進行度合いを見て進捗を判断し、課題があればその都度見直します。全体の行動を左右する重要な数値になるため、KPIは慎重に設定しましょう。
リード獲得数を設定する
各所のKPIが決まれば、いよいよリード獲得の目標数値が決まります。商談1つを設定するのに必要なリード獲得数を考え、目標を設定し獲得施策を実行しましょう。
このとき、かけられる予算も念頭に置いて考えることが大切です。まずは1件の受注にかけられる費用がいくらかを計算します。そこからリード1件にかけられる予算を算出すると、自ずと自社のリード獲得平均単価の上限がわかります。
リード獲得単価の目安があれば、目標のリード獲得数を得るためにとるべき手法も選びやすくなるでしょう。
■リード獲得にコスト(単価)をかける必要性
リード獲得に多大な費用がかかることを知ると、リードを得るためだけに、それだけのコストをかけるべきか疑問に思うこともあるでしょう。しかし、リード獲得は企業活動の基礎ともなるものです。
紹介営業が通例だという業界もあるでしょう。しかし、事業を継続していくためには、常に売上を上げ続けなければなりません。そのためには既存顧客だけでなく、新規顧客の開拓が必須です。まず大量のリードを獲得し、そのなかから契約につながるものを選別・育成していく過程が欠かせないのです。この過程は多くの場合、漏斗(funnel)の形をとるためマーケティングファネルともいわれます。
獲得したリードはすべてが売上になるわけではありません。そのため、すぐに費用対効果に注目してしまうと「費用をかけた分の成果が目に見えない」と焦ることもあるでしょう。しかし、最初は購入意欲の低かったリードでも、時間をかけたり状況が変化したりすれば、商談につながる可能性は十分あります。
費用をかけて獲得したリードは、すべてが自社の大切な財産です。獲得したあともメールでのフォローなど一つひとつ丁寧に育成施策を行い、確実に売上へつなげていく仕組みを作り上げましょう。
さらには、担当者それぞれがリード獲得にどれだけのコストがかかっているのか知っておくことも大切です。リードのコストを知りながら行動するのと知らないままでいるのとでは、リード1件に対する扱いが異なるでしょう。
■リード獲得単価 まとめ
効率的なリード獲得の戦略のため、各施策とそのリード獲得単価を解説しました。企業が売上を伸ばして成長を続けるためには、常に新しいリードをリストに加えていく必要があります。また、リード獲得の施策を選ぶには、単価だけに注目するのではなく、得られるリードの質に注目することも大切です。
変化し続ける時代のなかで、競合他社も効率的なリード獲得の方法を模索しています。ウェビナーやホワイトペーパーなど新しい手法も積極的に取り入れて比較しながら、量・質ともに自社の商品やサービスにマッチした良いリードが得られる方法を追求していきましょう。
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