マーケティングを成功させるためには、時間と費用がかかります。かかる費用に対して、どのくらいの効果が見込めるのか把握しながら進めなければ、費用に見合った効率的なマーケティング活動はできません。
特にリードを獲得するうえで重要になるのが「リード獲得単価」です。今回はリード獲得単価の意味や算出方法、抑えるためのポイントを丁寧に解説します。注意点や相場にも触れているので、リード獲得のコストに悩んでいる方は参考にしてください。
■リード獲得単価(CPL)とは?
まずはリード獲得単価の意味や、他の用語との違いを解説します。
リード獲得単価の意味
リードとは見込み顧客、将来的に自社の商品やサービスを購入してくれる可能性がある顧客のことです。つまりリード獲得単価とは、見込み顧客を獲得するためにかかった費用を指します。
英語に訳すと「Cost Per Lead」になるため、頭文字をとってCPLともいわれます。リードを獲得できたとしても、リード獲得単価が予想以上に高いと、企業にとって大きな負担となるでしょう。コストをかけた分、さらに売上を伸ばさなければならない状況になってしまいます。
そこで定期的にリード獲得単価を算出し、適切な取り組みをしていく必要があるのです。リード獲得単価は、どのような手法を用いるかによって変わります。相場については、記事の後半で詳しく解説します。
リード獲得単価とKPI
リード獲得単価は、安いほど良いわけではありません。確かに費用負担は減りますが、たくさんリードを獲得できたとしても、目標とするゴールにつなげられないリードばかりでは意味がありません。
そこでリード獲得のための予算や状況に合わせた、KPI設定が大切です。KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語に訳すと「重要業績評価指数」となります。言葉を見ると難しそうなイメージを抱くかもしれません。
簡単にいえば目標達成までのプロセスの途中で、達成度合いを検証するための中間目標を意味します。例えばマーケティング活動を進めるうえでの主要なKPIには、以下があります。
KPI用語 | 意味 |
---|---|
PV数 | Webサイトのページ閲覧数 |
CV(コンバージョン) | 商品購入・資料請求などWebサイトにおける最終的な成果 |
CVR(リードコンバージョン率) | Webサイトに訪問したユーザーがSVに至った割合 |
適切なリード獲得単価を知るためにも、KPIの設定を忘れずに行ないましょう。
CPAとの違い
CPLと似た用語に「CPA(Cost Per Action)」があります。CPAとは、コンバージョン(CV)を1件獲得するためにかかった費用のことです。先ほども触れましたが、コンバージョンは、Webサイトにおける最終的な成果を意味します。
コンバージョンは業界やサービスによってさまざまです。例えば資料請求やお問合せの数などが設定されることもあれば、リード獲得がCPAとなる場合もあります。
■リード獲得単価の算出方法と条件
では、リード獲得単価はどのように算出すればよいのでしょうか。ここでは具体的な方法と条件、算出するタイミングを解説します。
リード獲得単価の算出方法
リード獲得単価は、以下の計算方法で算出可能です。
例えば100万円の費用をかけて500人のリードを獲得した場合「リード獲得にかかったコスト(100万円)÷リード獲得数(500人)」で、リード獲得単価は2,000円となります。
リード獲得単価を算出する条件
リード獲得単価を算出するためには、何をもってリード獲得とするのか定義を決めておく必要があります。なぜなら、定義によって獲得単価は大きく変わるからです。例えばイベントやセミナーに来場した人をリードと定義するなら、リード獲得単価は低くなる傾向にあります。
しかし商談につながりやすい問い合わせや資料請求してきたユーザーをリードと定義するなら、リード獲得単価は高めになるでしょう。
また算出するためには、獲得したリードのデータが必要です。すでに多くのデータがあり、一つのデータベースにまとまっているなら算出は容易ですが、そうでない場合はデータを集めるところから始める必要があります。
リード獲得単価を算出するタイミング
リード獲得単価を算出するタイミングは、基本的にユーザーリストを入手した直後です。リード獲得の方法がダイレクトメールやWeb広告などの場合は、獲得までに時間を要するため、数週間〜数か月後に算出します。
■リード獲得単価制御の5大ポイント
継続的に質の高いリードを獲得するためには、時間が必要です。リード獲得単価が高いと、大きな負担となるでしょう。ではどうすればよいのでしょうか。ここではリード獲得単価を抑えるポイントを、以下の5つに分けて解説します。
それぞれ詳しく解説します。
自社サイトを強化する
リード獲得の方法は、広告など費用がかかるものだけではありません。費用をかけずにリード獲得する方法もあります。
自社で保有しているサイトがあるなら、コンテンツを充実させてアクセス数アップを目指しましょう。強化することで検索エンジンからの流入が増え、コストを安く抑えられます。
ただし、短期間で成果が出るものではありません。検索結果に上位表示させるためのSEO施策を施しつつ、定期的に情報発信することが大切です。
SNSを活用する
SNSも費用を抑えて取り組めるリード獲得方法です。最近では多くの企業がSNSを活用して自社商品の魅力や採用活動をしています。
ユーザーとの距離が近く、魅力的な発信ができれば一気に拡散されて多くのファンを獲得できる可能性があるでしょう。一方で、何気ない投稿が大きく批判されてしまう、いわゆる「炎上」のリスクも考慮しなければなりません。
企業の看板を背負っている意識を忘れず、見ている人を不快にさせない内容か十分注意したうえで情報発信しましょう。
徹底的に分析する
どのような方法を用いるにしても、リード獲得単価を抑えるためには日々の分析が大切です。PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを繰り返して、費用対効果に見合う施策を見つけましょう。
改善点を提案してくれる機能や、A/Bテストを実施できる機能が搭載されたツールもあります。うまく活用して定期的に見直しましょう。
セミナーやイベントを開催する
セミナーやイベントの開催も、コストを抑えるために有効な方法です。時間をかけて参加してくれるということは、すでに自社の商品やサービスに興味を持っている可能性が高く、質の高いリード獲得が期待できるでしょう。
参加者と直接話して解決方法や効果的な活用方法を提供できたり、疑問点をその場で解決できたりするため、すぐに成約に至るケースもあります。会場費や機材輸送費などのコストはかかりますが、一度に多くのリードを集めたい場合は、検討するとよいでしょう。
マーケティングファネルを考える
マーケティングファネルとは、ユーザーが商品やサービスを認知した段階から、購入に至るまでの一連の流れをステップごとに分けたものです。
一連の流れは、「認知→興味/関心→比較/検討→購入」となります。例えば美味しいケーキ屋さんをテレビで知った状態は「認知」の段階です。次に「行きたい」と感じれば「興味・関心」の段階に入ります。そして他にも美味しいケーキ屋さんをスマホで見つけ、迷っている状態は「比較・検討」段階です。最後に一番興味があるケーキ屋さんでケーキを買えば「購入」となります。
認知した人がすべて興味を示し、購入に至るかといえば、そうではありません。また比較検討した結果、最初に見つけた商品ではないものを買うケースもあります。ユーザーを購入まで進めるために重要なのは、ステップごとに最適なアプローチを考えることです。
重点的にアプローチをかけるべきはどの段階にいるユーザーか、どのような情報を提供するべきかを分析し、適切なアプローチをかけることでリード獲得単価を抑えることにつながります。
■リード獲得単価に関する2大注意点
リード獲得単価を考える際にはいくつか注意点があります。
リード獲得を成功させるためにも、理解しておきましょう。それぞれ解説します。
適切なリード獲得単価の設定
記事の冒頭でも触れましたが、リード獲得単価は安ければ良いわけではありません。リードによってCVRが異なります。それを踏まえたうえで適切なリード獲得単価を考えなければ、無駄なコストが増えることになるでしょう。また施策を進める過程で、日々の分析を怠らないようにしてください。
獲得したリードには期限がある
一度獲得したリードは、永久的に使えるわけではありません。メールアドレスや電話番号、所属している部署などは、時間が経てば変わる可能性があります。そのため、獲得したリードには期限があることを留意しておきましょう。
「多く獲得できたから、しばらく安心」ではなく、そこから成約、育成にスピーディーにつなげていくことが大切です。継続的にリードを獲得していくための戦略も、考えていきましょう。
■リード獲得単価の相場
最後にリード獲得の相場を、施策ごとにまとめました。
施策 | リード獲得単価の相場 | 内容 |
Web広告 | 3,000~5,000円 | インターネット上に広告を配信してリードを獲得する |
外部メディア掲載 | 5,000~10,000円 | 他社のメディアに情報を掲載してもらい、リードを獲得する |
SNS | 1,000~10,000円 | SNSアカウントを開設し、情報発信してリードを獲得する |
メルマガ配信 | 1,000~10,000円 | リストに沿って情報を提供し、リードを獲得する |
セミナー・ウェビナー | 0~10,000円 | セミナーや展示会を開催してリードを獲得する |
展示会 | 8,000~15,000円 | 展示会やイベントを開催し、名刺交換などをしてリードを獲得する |
ただし同じ施策でも内容によって幅があるため、一概にいくらとはいえません。あくまでも目安として参考にしてください。
■リード獲得単価 まとめ
リード獲得単価の意味や算出方法、費用を抑えるためのポイントを解説しました。見込み顧客を1人獲得するためにかかった費用をリード獲得単価といいますが、施策や戦略によって幅があります。
リードを獲得するための費用が高いと予算を圧迫し、さらなる売上を立てていかなければなりません。それは企業にとって大きな負担となるでしょう。コストを抑えて質の高いリードを獲得するためには、日々分析と改善を繰り返し、最適なリード獲得単価を算出する必要があります。コストを抑えたいと考えている担当者の方は、今日紹介したポイントや注意点を参考に、ぜひ現状を見直してみてください。
コメント