営業の現場では「リード獲得が大切」「リードが足りない」「リードスコアリングは適正か」といった言葉が飛び交っていることでしょう。事業拡大や契約数増大に不可欠な「リード」ですが、実は立場や施策内容によって意味が異なるケースがあり、正確な位置付けをするのは困難です。
リードについて「いまさら人に聞けない」「単純に“見込み客”だと思っていたが、どうやら違う認識の人もいるようだ」と感じている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、リードの概要とリード獲得にまつわる用語、さらにリード獲得手法の分類について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
■リードとは?
リードとは、英語の「Lead」をビジネス用語として採用したものです。Leadは、動詞では「道案内する・指導する・導く」、名詞では「手がかり・きっかけ・糸口」を意味します。ビジネス用語としては「目的達成を導いてくれるもの」「購入・契約へと至る糸口となる見込み客情報」を指しています。
マーケティング部門や営業部門で目にする機会が多い用語ですが、企業単位・部署単位・チーム単位でリードの定義が異なる場合があります。マーケティング運用や営業活動において、どこからどこまでを「見込み顧客」とするのかが異なるため、さまざまな解釈が生まれてしまうのです。
このような現象が起こる要因のひとつに「リードとは、その段階によってさらに細分化されるものだ」との考え方があるためでしょう。細分化の一例として、リードはその対象の心理状況から「商品・サービスを知っている」「親しみを感じている」「購入を検討している」「購入後利用している」「ファンになっている」の5段階に分けられます。
また、マーケティング施策によって得られたリードを「MQL:Marketing Qualified Lead」、営業担当がコンタクトして絞り込んだリードを「SQL:Sales Qualified Lead」と分ける考え方もあります。
「リード」に関わる方がその解釈に迷ったときは、何を指しているのか正確に共有することが大切です。
マーケティングにおけるリードの意味
マーケティング部門周辺でリードと呼ばれるものは、マーケティング施策によって得られた企業情報・個人情報を指すことが多いでしょう。一次的な施策で得られた情報は、興味関心度や契約に至る確度などのふるいにはかけられていない状態です。
相手の温度感を把握できた場合は「コールドリード」と「ホットリード」に分けられ、「コールドリード」はリードナーチャンリングの対象として、「ホットリード」は営業部門へ受け渡して活用していきます。
営業におけるリードの意味
営業部門周辺においてのリードは、マーケティング部門から引き継いだ「SAL:Sales Accepted Lead」と営業担当自身が生み出した「SGL:Sales Generated Lead」とがあります。「マーケによってえり抜かれたリードは確度が高い」といった文脈はSALを指し、「電話営業で反応が良かったのでリードとして対応していく」といった文脈はSGLを指しています。
■リードに関連する4つの用語
リードは、大まかには「見込み客」と言い換えて問題ありませんが、部門や施策によって厳密には異なる層を指すことがあります。リードに関連する4つの用語を解説するので、それぞれの項目での「リード」の存在をイメージしてみましょう。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、見込み顧客を獲得するための活動のことで「リード獲得施策」と言い換えると理解しやすいでしょう。BtoC企業の売上拡大には、マスマーケティングとしてメディアの活用やテスター配布、キャンペーンなどが有効です。
一方、BtoB企業においては、個人情報と企業内での所属・立場などがひも付けられた情報を得ることが売上拡大に重要であり、展示会や見本市での名刺交換や自社サイトを経由した資料請求などがリードジェネレーションとして考えられます。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、見込み顧客を育成していくことです。製品・サービスを知っている段階から「検討および購入・契約」の段階へと、見込み顧客の購買意欲を高めていく活動をします。
また、コールドリードへ継続的に情報提供を行って、システム更新・設備投資などの購入・契約機会に第一候補として挙げられる存在となれるよう、関係を深めることを目指します。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングを進めている見込み顧客のなかから購買・契約へと至りそうな、ホットなリードを絞り込む活動のことです。リードジェネレーションからリードクオリフィケーションへと進める活動を、デマンドジェネレーション(営業案件の創出)とも呼びます。リードの絞り込みは、営業効率のアップや見込み顧客との信頼関係の構築に役立ちます。
リードスコアリング
リードスコアリングとは、見込み顧客がとった行動の一つひとつを数値化し、リードに対する営業活動を最適化したり、よりホットなリードを見つけ出したりするための評価制度です。スコア設定には、顧客にどのような行動をとってもらいたいか、既存顧客がどのような道筋で購買に至ったかを分析する必要があります。
購買・契約に至る流れを「カスタマージャーニー」と呼び、カスタマージャーニーのイベントに沿って、スコアを設定していきます。「カタログ閲覧:1点」「資料請求:3点」「DM開封:2点」「DMからのリンク表示:2点」などと細かく設定する必要があるため、マーケティングオートメーション(MA)ツールなどを活用して自動化するとよいでしょう。
■BtoB企業のリード獲得方法
リード獲得には、さまざまな方法がありますが、ターゲットによって刺さる施策が異なるので、目的によって使い分けるとより効果的です。大まかな分類として、オンライン施策とオフライン施策があります。
一般的にオンライン施策のほうが、リード1件あたりの獲得コストは低い傾向にありますが、商談化率も低い点が課題です。
一方でオフライン施策では、リード1件あたりの獲得コストが数万円かかることも珍しくありませんが、商談化率が高く質の高いリードを得やすいでしょう。
リードのターゲットには「明確層」「顕在層」「準潜在層」「潜在層」の4段階があります。幅広く集めたいのなら「潜在層」向けに、ニーズの明確なターゲット情報を得て効率的な影響活動を展開したいのなら「明確層」向けのものを実施しましょう。9つのオンライン施策と5つのオフライン施策を紹介します。
オンライン
- コンテンツマーケティング:潜在層・準潜在層
- オウンドメディアでのSEO:潜在層・準潜在層
- リスティング広告(検索連動型広告):顕在層・明確層
- ディスプレイ広告(コンテンツ連動型広告):潜在層・準潜在層
- ウェビナー:顕在層・明確層
- SNS(Instagram・Facebook・Twitter・LINEなど):潜在層~明確層
- オンラインカンファレンス:顕在層・明確層
- メディア掲載/広告掲載:準潜在層・顕在層
- メルマガ:顕在層・明確層
オフライン
- セミナー:顕在層・明確層
- 展示会:顕在層・明確層
- 看板広告:潜在層~明確層
- タクシー広告:潜在層~明確層
- 異業種交流会:準潜在層・顕在層
■効率的にBtoB企業のリードを獲得するコツ
効率的にリードを獲得するためには、いくつかポイントがあります。なかでも重要な3つのコツを解説します。
ターゲットを明確にする
「手頃なリード施策だから取りあえずオンラインで集めてみよう」「ホワイトペーパーが流行しているから、うちもまねしてみよう」といった理由でリード獲得施策を進めることはおすすめできません。
「何のためにリードが必要なのか」「どのようなターゲットを求めるのか」「リード獲得後どのように活用するのか」「リードナーチャリングの体制は整っているか」などの点を整理してから、目的に対して有効な施策を検討しましょう。
例えば、すでに商品を認知している層をリードとして獲得したいなら、詳細なターゲットの絞り込みができるSNS広告やリスティング広告が有効です。
反対に潜在層に広くアプローチしたいなら、イベントやセミナーを主催したり、電車広告や新聞などのマスメディアを活用するとよいでしょう。
複数の方法を組み合わせる
Webリード獲得の目的とターゲット層の条件が整理できたら、具体的な施策を検討していきます。リード獲得施策は単独で行うより複数の方法を組み合わせたほうが、相乗的な効果が得られやすいでしょう。
しかし、漫然とさまざまな方法に手をつけては、コストばかりかかってしまい「さまざまなタイプのリードがあり、リードナーチャリングのルートに乗せにくい」「大量のリードが得られたが、営業リソースが足りない」「質の高いリードの絞り込みに時間がかかる」などのミスマッチが起こりかねません。
自社の営業活動における目標を数値化し、PDCAを回しながら最も効果的な組み合わせを検出できるよう工夫していきましょう。
リードデータは常に最新の状態を保つ
リード施策を新たに始める場合、従来のリード情報を過去のものとするのではなく、照らし合わせたり追跡したりして有効活用しましょう。営業部門全体で「営業担当者とリードとのコンタクト履歴」「リードの反応」「担当者の変遷」「対象企業の動向」などを共有することで、新たな気づきも得られます。
リードデータの適切な運用には、MAツールの活用がおすすめです。MAツールはMarketing Automationの略語で、文字通りマーケティングを自動化してくれるITツールです。
MAツールには情報を一元化して管理・共有できる機能やWeb解析機能、オンライン施策の効果測定機能などが搭載されています。ツールによっては、次に営業担当者がどのような行動をとるのが最適かといった予測機能が搭載されているものもあります。
情報共有によって最新の情報がキープされていれば、いわゆる無駄打ちや空振り、度重なるコンタクトによる不興なども避けられるのではないでしょうか。
■まとめ
リードとは、関わる部門や立場によって意味合いが異なるビジネス用語です。単純に個人情報を指すこともあれば、見込み顧客の温度感を含めた情報を指すこともあります。
マーケティング部門や営業関連で「リード情報」「リード獲得」などの用語が登場したら、厳密に何を意味しているのか、メンバー間で共有しておきましょう。
リード獲得方法には、大きく分けてオンラインとオフラインがあり、求めるリード層やターゲットによって、適切な手法が異なります。分析と改善を繰り返し、自社にとって高い効果を出せるリード獲得方法を見つけていきましょう。
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