マーケティング業界で注目を集めているホワイトペーパー。しかし、いざ作ろうと思っても、どのように作ればよいのか悩む担当者は少なくありません。ホワイトペーパーで成果を出すためには、ただノウハウをまとめれば完成ではなく、ユーザーを惹きつけるためのデザインを考える必要があります。
では、デザインできる人材が社内にいない場合、どうすればよいのでしょうか。そこで諦める必要はありません。今回は、ホワイトペーパーの作成を助けるツールを5つ紹介します。デザインを考える際のポイントや準備にも触れているので、これからホワイトペーパーを作成しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
本記事では、以下のような内容を解説します。
■ホワイトペーパーを作成できるツール5選
ここでは次の5つのツールを紹介します。
それぞれ特徴を解説します。
Canva
デザイン系のソフトをまったく使った経験がない方には、Canvaがおすすめです。SNS投稿用やプレゼンテーション用、チラシや名刺用など、さまざまなジャンルのテンプレートが豊富にあり、選択するだけですぐにおしゃれなデザインのホワイトペーパーが作れます。
またイラスト素材やアイコン素材も豊富なので、組み合わせればオリジナルデザインも簡単。操作もドラッグ&ドロップなど直感的なので、デザインソフトを使ったことがない人でも簡単に使えるでしょう。
テンプレートや素材によっては有料ですが、基本機能は無料で使えるので、試しに作ってみたいと考えている方は、まずCanvaを試してみてはいかがでしょうか。
Microsoft Word
ビジネスソフトの定番であるMicrosoft Wordは、業務で使用したことがある方も多いのではないでしょうか。実はWordにもホワイトペーパー向けのテンプレートが用意されています。デザイン専門ツールに比べると、デザイン性は高くありませんが、シンプルな見た目のホワイトペーパーを作りたいと考えている場合は、Wordでも十分です。
Microsoft PowerPoint
こちらもビジネスソフトの定番ですよね。営業用の資料を作る際に、使う方も多いでしょう。プレゼンテーション用のスライド作りに特化しているので、デザインが重要なホワイトペーパーを作るために重宝するツールの一つです。
素材やグラフの挿入も簡単なので、デザインの専門知識がなくても比較的容易にホワイトペーパーを作れるでしょう。公式でホワイトペーパー用のテンプレートは確認できませんでしたが、Webで検索するとIT系企業などがPowerPointで使えるホワイトペーパー用のテンプレートを配布しているので、活用するとよいでしょう。
Adobe Express
Adobe Expressは直感的な操作で、デザインできるツールです。プロがデザインしたテンプレートや素材が豊富にあり、ホワイトペーパー用のテンプレートも多数用意されています。基本となるテンプレートを選び、画像やフォントを変えていけば、おしゃれなオリジナルホワイトペーパーも簡単。基本機能は無料で使えます。
Canvaも基本機能が無料で、テンプレートや素材が充実していますが、テキストや背景のデザイン設定など細かい機能が豊富なのはAdobe Expressです。オリジナリティを出しやすいため、デザインが他の企業と被りたくない場合は、Adobe Expressを活用するとよいでしょう。
Adobe Illustrator
Adobe Illustratorは、ポスターやチラシなどのデザインができるグラフィックツールです。さまざまな図形やロゴの作成ができる機能が豊富に揃っており、レイアウトも自由自在です。デザイン性の高いホワイトペーパーを作成できるでしょう。
ただし、複数のページをデザインするために作られているわけではないので、ページ数が多いホワイトペーパーの場合は、操作が重たくなる可能性があります。また、操作の難易度がやや高めなので、デザイン上級者向けといえるでしょう。
■ホワイトペーパーのポイント|デザイン編
ホワイトペーパーに興味を持ってもらうためには、デザインが重要です。ここではホワイトペーパーのデザインを考える際のポイントを、以下の3つに分けて解説します。
- 表紙デザイン
- 目次デザイン
- 中面デザイン
それぞれ意識したいポイントを見ていきましょう。
表紙デザイン
最初にユーザーが目にする表紙部分のデザインは、特に重要です。ダウンロードするまで、ユーザーには中身がわかりません。どんなに内容がユーザーにとって有益で優れていても、表紙デザインで魅力が伝わらなければダウンロードされないでしょう。
ホワイトペーパーの表紙のデザイン要素には、以下があります。
- メインタイトル
- サブタイトル
- ビジュアル
- 企業ロゴ
【例】
メインタイトル「SNSで成果を出す10のポイント」
サブタイトル「マーケティング担当者必見!」
タイトルが決まったら、どのようにタイトルを見せるのか、イラストやロゴをどこに配置するか考えていきます。
目立たせたいメインタイトルを赤字で大きめに、サブタイトルを吹き出しで表現するなど、いろいろ工夫してみましょう。
目次デザイン
次は目次のデザインです。ダウンロードするか決める際に、表紙とセットで見られることが多いため、目次にも手を抜いてはいけません。大事なのは中身だからと、目次を適当に作ってしまうと「表紙を見て興味を持ったけど、目次を見たら大したことなさそう」と思われてしまうこともあります。
そのため、見出しもユーザーが興味を持つように意識して考えることが大切です。ホワイトペーパーの全体が把握できるような見出しを考えてみましょう。
目次の文字はあまり小さすぎると読みづらくなってしまうので、大きめがポイントです。また統一感を出すため、基本的に色味は表紙に合わせるとよいでしょう。
中面デザイン
メインのデザインは、本文とイラストや図のバランスを考えましょう。文字ばかりが多すぎると、見づらく最後まで読む気が失せてしまう可能性があります。なるべく図やイラストを活用してビジュアル化することを意識しましょう。
どこまで読んだのかがわかるように、ページ番号を入れることも忘れずに。強調したい箇所は文字を大きくしたり、色を変えたりすることでメリハリがついて読みやすくなりますよ。
■作成する前に考えておくべきこと
魅力的なホワイトペーパーを作るために、事前に考えておきたいことがいくつかあります。それが次の3つです。
- 作成する目的・ゴール
- ペルソナ
- 全体の構成とストーリー
それぞれ解説します。
作成する目的・ゴール
ホワイトペーパーを作成したいと考えたら、最初に考えたいのが作成目的とゴールです。求める目的やゴールによって最適なホワイトペーパーの形は異なります。例えば新しい商品の認知拡大やブランディングが目的であれば、多くの人が興味を持ちそうなテーマを取り上げたノウハウ型がよいでしょう。
すでに商品を認知していて検討段階にあるリードを獲得したいならば、ユーザーが抱えている課題に対するアドバイスを提示する課題解決型や、実際に使っている企業のインタビュー内容をまとめた事例紹介型が適しています。
読んでもらったあとに、読者にどのような行動を起こしてほしいのかも明確にしておきましょう。
ペルソナ
次に設定したいのがペルソナです。ペルソナとは、本来「仮面」や「人格」を意味する用語ですが、マーケティング業界におけるペルソナは、自社の商品を利用するユーザー像を指します。
「たくさんリードを獲得したいなら、万人受けする無難なデザインのホワイトペーパーを作れば良いのでは?」と思うかもしれません。しかし万人受けするデザインを作るというのは難しく、結果的に誰にも刺さらないホワイトペーパーになってしまうリスクが高くなるでしょう。
また「30歳、男性」など属性で分類するターゲットに比べると、ペルソナのほうがユーザーへの理解を深めやすくなります。細かく設定することで新たなニーズも見えてくるでしょう。
【ペルソナ例】
名前:山本直哉
年齢:36歳
住所:神奈川県横浜市西区
職業:IT企業マーケティング部リーダー
家族構成:妻32歳、長男10歳、次男6歳
趣味:釣り
休日の過ごし方:家族と公園で過ごす、休日出勤も時々あり
全体の構成とストーリー
作成に入る前に、全体の構成とストーリーを考えておきましょう。あらかじめ考えておくことで、作成がスムーズに進みます。
例えばユーザーの課題に対するアドバイスや、解決方法を提示した課題解決型ホワイトペーパーの場合、5パラグラフの法則を用いることが一般的です。論文やエッセイで使われる文章の基本構成で、次の5つの要素から成り立っています。
- 導入・要約:内容の要約を提示。ユーザーの興味を惹きつける
- 問題提起:ユーザーが抱える問題や悩みを掘り下げる
- 解決策:提示された問題に対する解決策を提示する
- 製品上紹介:解決策を実践するための商品紹介
- 結論:なぜ提示された解決策がベストなのかを記載する
法則になぞって作成すれば、説得力のあるホワイトペーパーを作れるでしょう。構成を作らないまま制作に入ってしまうと、何を伝えたいのかわからない、まとまりのないホワイトペーパーになってしまうので、しっかりと作っておきたい部分です。
ただし、淡々と課題と解決策を書くだけでは少し物足りないでしょう。そこで読者の購買意欲を刺激するようなストーリーを入れていきます。
まるで一つの物語のように、課題解決までの苦労や思いを織り込むことで、読者の感情を揺さぶることが可能です。ペルソナにあわせた語りかけにより、次の行動へ促すこともできるでしょう。
■社内では無理!……制作代行がおすすめ
作成のポイントは理解できたけれど、社内のリソースが足りないと悩むケースもあるでしょう。そのような場合は、制作代行へ依頼するのも一つの手段です。すでにホワイトペーパー作成に関するノウハウを持っているので、スムーズにクオリティの高いホワイトペーパーを作ることができます。
費用は依頼範囲によって幅がありますが、5〜10ページのボリュームで20〜30万円程度が相場です。実際のライティングやデザイン以外にも、目的やゴールに合った構成作成や、公開後の効果測定などをフォローしてくれる制作代行もあります。
どこまで依頼するかによって、同じページボリュームでも大きく価格が異なるので、依頼範囲を明確にし、複数の代行業者に見積もりを依頼して比較検討するとよいでしょう。
■まとめ
ホワイトペーパー作成に使えるツールと、作成時のポイントを解説しました。最近は簡単にデザインできるツールも多く、専門知識がなくてもクオリティの高いホワイトペーパーを作ることは可能です。
しかし、おしゃれでデザイン性が高いからといって、大きな成果が見込めるかといえばそうではありません。デザイン以外にも、なぜホワイトペーパーを作りたいのか、誰に読んでほしいのかを明確にし、戦略を立てていく必要があります。
効率的に成果を出すホワイトペーパーを作るためにも、ポイントを押さえておきましょう。自社のリソースが足りない場合は、制作代行を活用すればスムーズに作れるので検討してはいかがでしょうか。
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