リード(見込み顧客)獲得の方法はSNSやセミナー、ダイレクトメールなど種類がいろいろありますが、最近注目を集めているのがホワイトペーパーです。多くのメリットがあるため、効率的にマーケティングを進めたいなら作ることをおすすめします。とはいえ、メリットばかりではありません、
そこで今回は、ホワイトペーパーのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。成果を出すためのポイントにも触れているので、すでに導入している企業も、これから導入を考えている企業もぜひ参考にしてください。
本記事では、ホワイトペーパーについて、以下のような内容を解説します。
■ホワイトペーパーの意味と目的
ホワイトペーパーという言葉を、最近になって聞くようになった方もいるかもしれません。ここでは簡単にホワイトペーパーの意味と目的を解説します。
ホワイトペーパーの意味
元々ホワイトペーパーは、政府が経済や政治の状況を国民に知らせるための報告書のことでした。イギリスでは、この報告書の表紙が白色だったために白書、つまりホワイトペーパーと呼ばれていたといわれています。日本では「経済白書」がこれにあたります。
最近では、マーケティング業界でも広く使われるようになりました。マーケティング業界においては、一般的にリード獲得や育成のために企業がノウハウや事例をまとめた資料を指します。
ホワイトペーパーを作る目的
多くの企業は、集客やリード獲得のために導入しているのではないでしょうか。基本的にホワイトペーパーは、Web上でダウンロード可能な資料としてまとめられます。
ダウンロードするためには、Webサイト上のフォームに企業名や担当者名、メールアドレスや電話番号など企業情報を入力しなければなりません。
つまり有益な資料の無料提供により、新しい企業情報が獲得できる仕組みです。定期的なメンテナンスや改善は必要ですが、ホワイトペーパーを設置することで、少ない人的リソースでも効率的な営業活動が可能となります。
■ホワイトペーパーのメリット
ホワイトペーパー導入には、リード獲得を含めて多くのメリットがあります。主なメリットは次の4つです。
- 新しいリードを継続的に獲得できる
- リードの育成ができる
- リードのニーズを把握できる
- 顧客満足度を上げられる
それぞれ詳しく解説します。
新しいリードを継続的に獲得できる
1つ目は前章でも触れた、新しいリードの獲得です。ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうことができれば、企業情報を得られます。
もし自社のサービスが高額であれば、導入を迷うのは当然のことです。決めるまでに時間がかかることも多いでしょう。そのあいだに不要になったり、競合にアプローチされたりしてしまう可能性もあります。
「資料請求や問い合わせは、売り込みされるかもしれないからしたくない」と考えているケースもあるでしょう。ホワイトペーパーはあくまでも資料なので、問い合わせや資料請求よりもハードルが低い傾向にあります。
そのような検討段階にある企業情報を、得られるのがホワイトペーパーの大きなメリットです。質の高いホワイトペーパーを作成すれば、コストをかけずに継続的にリード獲得が可能となるでしょう。
リードの育成ができる
ホワイトペーパーがダウンロードされたからといって、興味関心が高いとは限りません。とはいえ、少なからず自社の商品やサービスに興味がある見込み客です。そのようなリードに長期的に関わることで、将来的に顧客となる可能性があります。
この場合、強い売り込みは避けましょう。セミナーやイベントの案内、関連するホワイトペーパーなどの情報を提供するのがベターです。サービスの導入事例や、有効な使い方などを紹介してもよいでしょう。
定期的に情報を提供していくうちに、リードの購買意欲を刺激します。有益な情報を提供しながら継続的に関係を持つことで、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
リードのニーズを把握できる
ホワイトペーパーを複数配布すれば、リードのニーズも把握できます。例えばメール配ツールを提供している企業が、以下のホワイトペーパーを配布したとしましょう。
- メール配信ツール「○○」の有効な使い方
- 営業活動を効率化させる3つの方法
- メール配信ツールを導入している企業数の調査結果
1が多ければ、すでに自社のサービスが企業に認知されており、サービスに高い関心を持っていることが推測できます。2が多ければ営業活動に悩みを持っており、解決策を探していると考えられるでしょう。
3が多ければ、自社のサービスは知らないけれどメール配信ツールの存在は知っており、導入するかどうかの判断材料を探していると考えられます。メール配信ツールの良さを伝え、自社のサービス紹介につなげることで受注率アップが狙えるでしょう。
このようにダウンロードされたホワイトペーパーによって、リードのニーズも自社サービスに対する興味関心も異なるため、アプローチ方法が変わってきます。ニーズが把握できれば営業戦略も立てやすいのではないでしょうか。
顧客満足度を上げられる
ホワイトペーパーが有効なのは、リードに対してだけではありません。既存の顧客に対しても有効です。すでにサービスを導入している顧客には、定期的に新しい活用方法や事例などを定期的に配信するとよいでしょう。
例えば、自社のサービス導入により新たな課題が発生した場合、顧客は競合サービスへの乗り換えを考える可能性があります。そのようなときに課題解決につながる有益な情報を提供することで、サービスへの理解が深まり、乗り換えを防ぐことにもつながるのです。結果的に顧客満足度の向上につながるでしょう。
■ホワイトペーパーのデメリット
多くのメリットがあるホワイトペーパーですが、デメリットもいくつかあります。
- ダウンロードされたものは修正できない
- 商品やサービスによっては不向き
- 成約まで遠回りになるケースもある
それぞれ解説します。デメリットも把握したうえで、正しくホワイトペーパーを活用しましょう。
ダウンロードされたものは修正できない
ホワイトペーパーは、基本的にWeb上で公開します。もし情報に誤りを見つけた場合、公開されているホワイトペーパー自体は修正できますが、ダウンロードされた分に関しては修正できません。
もしホワイトペーパーに記載されている情報が誤っていた場合、企業の信頼を落とすリスクがあります。公開前には何度も読み返して、誤りがないか確認しましょう。トレンド情報を載せているホワイトペーパーは、古い情報を提供しないように定期的なアップデートも大切です。
また、どこが情報源か分からない情報も避けるべきです。外部データを引用する際は、信頼性のある情報のみを記載してください。
商品やサービスによっては不向き
ホワイトペーパーは、商品やサービスによって不向きな場合もあります。向いているのは基本的に単価が高く、長い検討期間が必要なBtoB向けの商品です。
BtoC向けでも高額で検討期間が長い商品には活用できますが、食品や雑貨、アパレルなど検討期間が短い商品には向いているとはいえません。別のマーケティング手法を検討したほうがよいでしょう。
成約まで遠回りになるケースもある
元々商品を購入するつもりだったユーザーの場合、ホワイトペーパーによって成約が遠回りになってしまうケースもあります。
前述した通り、ホワイトペーパーは検討期間が長いユーザー向きです。しかし基本的にダウンロードされたあとにアプローチ開始となるため、本来なら直接購入に進むはずだった購買意欲の高いユーザーにとっては遠回りになってしまうのです。
なかにはホワイトペーパーを挟むことで満足してしまい、購入をやめてしまうケースもあります。すでに購買意欲の高いユーザーの場合は、このようなリスクがあることも留意しておきましょう。
■ホワイトペーパーで成果を出す3つのポイント
ホワイトペーパーはリード獲得や育成、ニーズの把握や満足度向上に役立ちます。しかし、十分な成果を出すためには、ただ作ってWeb上に公開するだけでは足りません。いくつかのポイントがあります。ここでは3つのポイントを解説します。
- 露出方法を複数考えておく
- ダウンロード後のフォローを忘れずに
- PDCAを回す
それぞれ解説します。ホワイトペーパーマーケティングの参考にしてください。
露出方法を複数考えておく
クオリティの高いホワイトペーパーを公開すれば、すぐに多くのダウンロードが期待できるわけではありません。ホワイトペーパーの存在を、ターゲットとなるユーザーに知ってもらう必要があります。そのためには、公開後の露出方法も考えておくことが大切です。
自社メディアだけでなく、Web広告やメルマガ、SNSなどを活用して認知拡大を図りましょう。特にSNSを活用するならば、日頃からの情報発信が大切です。定期的に有益な投稿をすることでファンも増え、大きな効果を発揮します。
ダウンロード後のフォローを忘れずに
リードと良好な関係を築くためにも、ダウンロード後のフォローは忘れずにしましょう。具体的には「ダウンロードいただきありがとうございます。」などのお礼メールや、フォローコールなどです。
ダウンロードしてもらっても、こちらがなんのアクションも起こさずに放置すれば、リードの興味関心はどんどん薄れてしまいます。結果的に取りこぼしとなってしまうでしょう。ダウンロードしてもらったら、なるべく早いフォローが大切です。
PDCAを回す
ホワイトペーパーを公開したら、どのようなユーザーにダウンロードされているのか、一定期間でどのくらいダウンロードされたのかなどの分析も重要です。
行動を起こし、得た結果に対して分析や改善を繰り返していくことをPDCAといいます。PはPlan(計画)、DはDo(実行)、CはCheck(分析)、AはAction(改善)です。
例えば「SNSを活用したマーケティング手法」というタイトルのホワイトペーパーを公開したけれど、期待した数のダウンロードが得られなかったとします。この場合、中身が悪かったのではなくタイトルが原因かもしれません。
そこでタイトルを「マーケティング担当者必見!SNSを活用した最新のマーケティング手法3選」と変更したところ、ダウンロード数が2倍にアップしました。
このように、少しの改善で結果が大きく変わることがあります。もちろん原因が他の場合もあるので、PDCAを繰り返して検証する必要があるでしょう。
実際に公開し、あらゆる角度から分析して改善を繰り返すことで、より成果が出るホワイトペーパー作りができます。
■まとめ
ホワイトペーパーのメリットやデメリット、成果を出すためのポイントを解説しました。ホワイトペーパーには、リード獲得や育成以外にもメリットがある一方で、デメリットもあります。
ホワイトペーパーに入れる情報には十分注意し、ターゲットに合わせたホワイトペーパーを作成していきましょう。作るだけで満足せず、その後のフォローや戦略も大切です。日々分析と改善を繰り返しながら、ホワイトペーパーで効率的にマーケティングを進めていきましょう。
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